6月18日、Daniel Leviが「Meta strikes new 1.6-gigawatt AI computing deal with data center startup Crusoe」と題した記事を公開した。この記事では、MetaがAIインフラスタートアップCrusoeと合計1.6ギガワットのコンピューティング容量を確保する契約を締結したことについて詳しく紹介されている。
1.6GWという数字の意味
米EIA(エネルギー情報局)の換算基準では、1ギガワットは米国の一般家庭約75〜80万世帯分の電力に相当するとされている。Metaが今回Crusoeから確保する1.6GWは、その1.6倍、すなわち約120万世帯分に相当する規模だ。
Bloombergの報道によれば、MetaはテキサS州チャイルドレスとミズーリ州ウォレントンにあるCrusoeの2拠点から、このコンピューティング容量を調達する契約を締結した。財務条件は非公開で、容量の供給開始時期も明らかにされていない。
AI開発競争の軸が「モデルの性能」から「電力・コンピューティング容量の確保」へと移行しつつある現状を、この一件は端的に示している。
Metaが電力を買い続ける理由
CEOのマーク・ザッカーバーグはAIをMetaの中核事業と位置づけ、AIアシスタント、AIエージェント、推薦システム、大規模言語モデルへの投資を加速させている。オープンソースの大規模言語モデルLLaMAシリーズの開発・公開や、一般ユーザー向けのMeta AI Studioの展開など、AIを全サービスに組み込む戦略を推進中だ。Metaは最近、今後3年間で米国のインフラと雇用に6,000億ドルを投資すると表明しており、データセンターや計算インフラの整備はその中心に据えられている。
こうした動きはMetaだけにとどまらない。MicrosoftはOpenAIとの提携を軸に大規模なデータセンター投資を続けており、GoogleはTPU(テンソル処理ユニット)専用クラスタの拡張、AmazonはAWS向けの独自AI半導体Trainium/Inferentiaを活用したインフラ整備を急ピッチで進めている。大手テック各社がそろって電力・計算容量の確保に動いており、供給側の逼迫は業界全体の課題となっている。
Crusoeとはどのような会社か
Crusoeは2018年にChase LochmillerとCully Cavnessによって設立された。当初は「ストランデッドガス(採掘現場で廃棄される余剰天然ガス)」を利用して暗号資産マイニングを行うビジネスモデルだったが、AI向け計算需要の急拡大を受けてピボットし、大規模AIインフラの構築に軸足を移した。
現在はMicrosoft、Oracle、OpenAIといった大手と取引しており、2025年にはシリーズEで13億7,000万ドルを調達、企業価値は100億ドル超に達している。
Crusoeの差別化点は、エネルギー調達・施設建設・計算インフラ展開・クラウドサービスをほぼ一貫して自社で手がけることだ。この垂直統合的なアプローチが、供給不足の続くAI計算市場での機動力を生んでいる。
直近では、テキサス州アビリーンに建設中の1.2GWキャンパスが着工から1年で第一フェーズを稼働させた。ワイオミング州では1.8GWプロジェクトが進行中で、計画・稼働中の総容量は米国内外で3.4GW超に達している。
クラウド事業では、GPU特化型のCrusoe Cloudプラットフォームを通じてCursor、Fireworks、Together AIなどAI系スタートアップにGPUリソースを提供している。
AIインフラ争いの現在地
今回の契約は、Metaにとって電力確保競争の一環であると同時に、Crusoeにとっては大手テック企業との関係を積み上げる大きな実績となる。
AI開発において、いまや勝敗を左右するのはモデルのアーキテクチャだけではない。十分な電力、データセンター容量、そして計算ハードウェアを継続的に確保できるかどうかが、競争力の根幹になりつつある。ギガワットが、テクノロジー業界における最重要通貨の一つになった。
詳細はMeta strikes new 1.6-gigawatt AI computing deal with data center startup Crusoeを参照していただきたい。




