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ビジネス・マーケット

「AIで勝てる企業は全てではない」— Capgemini グループCTO Pascal Brierが語る、信頼・依存リスク・規制の現実

6月19日、Euronews Nextが「Capgemini AI chief: Humans and AI don't have the right chemistry」と題した記事を公開した。CapgeminiのPascal Brierが、AI導入における信頼構築・規制・モデル依存リスクについて語ったインタビューの内容だ。

6月19日、Euronews Nextが「Capgemini AI chief: Humans and AI don't have the right chemistry」と題した記事を公開した。CapgeminiのPascal Brierが、AI導入における信頼構築・規制・モデル依存リスクについて語ったインタビューの内容だ。


「AIで勝てる企業は、全てではない」

パリで開催されたテクノロジー見本市「VivaTech 2026」。フランスのITコンサルティング大手Capgeminiは、2026年をAIの「year of truth(真価が問われる年)」と位置づけている。エンタープライズレベルでのスケール展開と実際のビジネス成果を出せるかどうかが問われる年だ、という宣言である。

Capgeminiは売上高約220億ユーロ(2023年)、世界50カ国以上に約34万人の従業員を擁するグローバルITサービス・コンサルティング大手だ。ITインフラ・デジタルトランスフォーメーション・クラウド移行など幅広い領域で大企業向けサービスを提供しており、AI活用の最前線に位置する企業の一つとして、その見解は業界全体への示唆を持つ。

同社のPascal BrierはEuronews Nextに対し、「AIで勝てる企業は全てではない」と率直に語った。多くの企業がAIへの期待は正当だとしつつも、理解・実装・成果を得るまでに要する時間を過小評価しているという。


最大の課題は「Human-AI Chemistry(信頼関係)」

Brierが強調したのは、AIと人間の間の「化学反応(chemistry)」=信頼の構築だ。

「信頼を構築しなければ、いかなる技術も成功しない」と彼は言う。新技術が職場に入ってくる際に恐れを感じることは自然なプロセスであり、AIが何を助けてくれるかを理解した後、従業員は往々にして前向きに変わっていくとも述べた。

Capgeminiは今年1月、フランス国内で最大2,400人の削減計画を発表した。Brierはこの件についても言及し、「削減はAIと直接は結びついていない」と説明。AIが単純に仕事を奪うとは考えていないという立場を示した。「やり方が変わることと、人を減らすことはイコールではない」という言い方だ。


物理AI(ロボット)規制は「段階的に」

Brierは、実世界で動くロボットや機械を指すフィジカルAI(Physical AI)についても言及した。人間とロボットが同じ環境に共存するためには規制が必要だとしつつ、現時点ではまだ黎明期であり、技術の成長余地を残すために規制は段階的に進化すべきだと主張した。

優先すべき規制の内容として彼が挙げたのは、緊急停止制御など「人間の保護」に焦点を当てたものだ。

「現状、何百台ものロボットを一括運用している企業は存在しない」というのが彼の現実認識であり、生成AIが急速に普及したのと異なり、フィジカルAIは実際の職場で稼働するため普及には時間がかかると見ている。


最大のROIは「エージェンティックAI」

足元でCapgeminiが最も価値があると見ているのは、エージェンティックAI(Agentic AI)だ。AIシステムがタスクを自律的に実行し、企業の業務オペレーションそのものを変える領域を指す。

「これこそがAIが企業内のオペレーションを変える部分であり、最大のROIが生まれるところだ」とBrierは言う。


「プランBを常に持て」──特定モデルへの依存を避ける

企業にとって重要なもう一つの論点が、特定AIモデルや提供事業者への依存リスクだ。

今月、米国政府はAnthropicに対し、Fable 5・Mythos 5モデルへの外国籍ユーザーのアクセス停止を命令した。Anthropicはコンプライアンス対応のためこの2モデルを全顧客向けに無効化することを余儀なくされた。こうした事例は、特定プロバイダーへの集中リスクを如実に示している。

Brierの考え方はシンプルだ。「完全な主権(total sovereignty)は孤立を意味する」として、ヨーロッパを世界の技術潮流から切り離すような方向性には否定的だ。

代わりに提唱するのは、主権を「ビジネス継続性とリスク管理の問題」として捉えることである。

「市場には約1,000のモデルが存在する。小さいものも大きいものもあり、オープンソースもあれば非公開のものもある。欧州製も米国製も中国製もある。選択できる」と彼は述べた。

目指すべきは一つの技術に依存しないことであり、「常にプランBを持つこと」がその核心だという。


詳細はCapgemini AI chief: Humans and AI don't have the right chemistryを参照していただきたい。