6月23日、Amanda Caswellが「Anthropic will pay workers $85,000 to learn AI」と題した記事を公開した。この記事では、AnthropicがAI活用支援のフェローシップ制度を新設し、年収8万5,000ドルを支払って早期キャリア人材を育成する取り組みと、それが示すAI時代のキャリアトレンドについて詳しく紹介されている。
AnthropicがAI人材育成に1億5,000万ドルを投じる
AnthropicはClaude Corpsという1年間のフェローシップ・プログラムを発表した。参加者は非営利団体(NPO)に派遣され、それらの組織がAnthropicのAIモデル「Claude」を業務に組み込む支援を行う。
主な数字をまとめると:
- 初期資金:1億5,000万ドル
- 育成人数:フェロー1,000名
- 報酬:年収8万5,000ドル(参考:1ドル=約150円換算で約1,275万円)+福利厚生
- 受け入れ団体:400以上のNPO
- 第1期(100名)開始:2026年10月
- 応募締め切り:2025年7月17日(※第1期の応募はすでに締め切り済み。現時点では次期募集の詳細は未発表)
雇用主はAnthropicではなく、低所得層や第一世代大学生のテック就職を支援する非営利団体**CodePath**が雇用の受け皿となる。評価・測定はSocial Financeが担当する。
なお、第1期(100名)の開始は2026年10月が予定されており、応募締め切りは2025年7月17日だった。記事公開時点(2026年6月)では第1期はすでに採用選考を終えており、応募に関心のある読者は次期募集の情報を待つ必要がある。
前提知識は不要——「業界知識+AI活用力」が評価軸
このプログラムが注目されるのは、プロンプトエンジニアリングやコンピュータサイエンスの事前知識を一切求めていない点だ。応募資格は18歳以上・フルタイム就業経験2年未満であれば学歴不問。参加者の役割はNPOが自動化できる業務を特定し、Claudeを使ったワークフロー改善を実装することに絞られる。
記事が指摘するのは、求められるスキルの軸が「AIそのものを作れるか」ではなく、「自分の業界にAIをどう適用するか」に移りつつあるという点だ。
- 病院なら「医療知識+AI活用」
- NPOなら「資金調達知識+AI活用」
- 学校なら「教育知識+AI活用」
Claude Corpsはこの前提のもとに設計されており、スクリーニングもAIツールへの適性と判断力を重視する。
皮肉な同時発表——CEOはUBI(普遍的ベーシックインカム)を提唱
記事で最も示唆的な点のひとつが、このフェローシップ発表のタイミングだ。Anthropic CEOのDario Amodeiは、Claude Corps公開と同じ日に、AIによる雇用喪失は不可避だと主張するエッセイを公開し、AI企業への課税やキャピタルゲイン税の引き上げによってUBIを賄うことを提言した。元記事ではこのエッセイへの言及があるが、現時点で確認できる正確なURLについてはAnthropic公式サイトから最新情報を参照していただきたい。
つまりClaude Corpsは「雇用が安全だという証拠」ではなく、雇用破壊があるからこそ存在するプログラムだという解釈が成り立つ。
中国でも進む教育の構造転換
Anthropicの動きと並行して、中国の高等教育でも構造転換が起きている。教育部のデータによれば、2021年から2025年にかけて中国の大学は1万2,200の学部プログラムを廃止・停止し、新たに1万200のプログラムを新設した。全学部専攻の30%超が入れ替わった計算だ。
廃止されたのは人文学・語学・経営系が中心で、新設はAI・ロボティクス・半導体・データサイエンスに集中している。9つの大学はAIと物理的なシステム(ロボット等)を組み合わせる「embodied intelligence(体化知能)」という専攻を新設した。こうした動きの背景には、16〜24歳の若年失業率が**15〜19%**で推移し、2026年だけで1,270万人超が大学を卒業する見込みであるという雇用環境の変化がある。元記事ではこの中国の事例は補足的な文脈として紹介されており、Claude Corpsが示すトレンドが一国に留まらないことを示す材料として位置づけられている。
AI時代に価値を持つスキルセット
記事が示す、今後需要が見込まれるスキルの方向性は以下の通りだ:
- AIの出力を評価する能力
- 効果的なプロンプトを設計する能力
- AIを既存ワークフローに統合する能力
- 自動化が有効な領域と人間の判断が必要な領域を見極める能力
機械学習エンジニアやデータサイエンティストといった技術職は引き続き重要だが、それらは全体の一部に過ぎない。業界知識とAIリテラシーを組み合わせた人材の需要が、より広い職種で生まれつつある——というのが記事の中心的な主張だ。
詳細はAnthropic will pay workers $85,000 to learn AIを参照していただきたい。




