6月23日、Rohail Saleemが「SpaceX Rented Out Colossus 1 Over Its 'Mish-Mash' Of GPUs, But Now It's Renting Out Colossus 2 Capacity As Well, Raising Doubts Over Grok AI's Future」と題した記事を公開した。世界最大級のAIデータセンター「Colossus 2」の大半が、Grok AIではなくAnthropicやGoogleといった競合他社へのGPUレンタルに充てられているという、業界の常識を揺さぶる事実が明らかになっている。
※本記事における「SpaceX」と「xAI」の関係について補足する。Colossusデータセンターはイーロン・マスク傘下のxAIが運営するが、元記事ではコンピュート契約の主体を「SpaceX」として報じている。両社は別法人であり、契約・財務上の帰属については元記事の表記に従う形で本稿でも「SpaceX」と記載している。
63億ドルの新契約——Colossus 2まで貸し出す理由
SpaceXは今月、国防総省と関係を持つReflectionとの間で63億ドル規模のコンピュート契約を締結した。2026年7月から2029年6月にかけて、Colossus 2データセンターのGB300 GPU群へのアクセスを月額1億5000万ドルで提供するという内容だ。
これで外部へのGPU貸し出し契約は3件目となる。
- Anthropicとの契約:Colossus 1データセンターにある約22万基のNVIDIA GPU(H100、H200、GB200を含む)へのアクセスを月額12.5億ドル(年間150億ドル)で提供
- Googleとの契約:「11万基相当のNVIDIA GPU、CPU、メモリ等」へのアクセスを月額9億2000万ドルで提供。こちらは主にColossus 2に紐づく
- Reflectionとの契約:Colossus 2のGB300 GPU群を月額1億5000万ドルで提供(今回の新規案件)
GPUの「寄せ集め」問題がAnthropicとの契約背景にある
Anthropicが割り当てられたColossus 1は、H100・H200・GB200が混在した、いわば「寄せ集め(mish-mash)」構成のデータセンターだ。記事によれば、Colossus 1の総FLOPSのうちxAI自身が使用しているのは**わずか11%**にとどまる。均質でないGPU構成はGrok AIの次世代モデルの学習には不向きとされており、Anthropicへの貸し出しはある意味で「使いにくい資産の有効活用」という側面もある。
一方、より新しくGB200・GB300で統一されたColossus 2は、GoogleおよびReflectionへの提供に充てられている。
なぜ自社AIのリソースを売り出すのか
問題の核心はここにある。Grok AIを競合させるための計算資源を、なぜ外部に売るのか。
記事ではこの点に対して明確な答えを示していないが、いくつかの状況を並べている。
- SpaceXはIPOと大規模な債券発行を経て、現金残高が1000億ドル超という潤沢な財務状態にある
- xAIによるコードエディタ「Cursor」の買収は全株式交換で行われており、現金支出は発生していない。この買収はGrok AIの開発・普及戦略と文脈を共にするものだが、コンピュートリソースをめぐる優先順位とは別の動きとして位置づけられている
- 中国発のオープンソースモデルの台頭により、AIモデルそのものがコモディティ化しつつあるという見方もある
Colossus 2のキャパシティを次々と外部へ売り出すSpaceXの動きは、「Grok AIへの本気度が薄れているのではないか」という疑問を呼び起こす。同時に、OpenAIやAnthropicが積極的にインフラ拡張を進める中で、SpaceXが計算資源の供給側に回る構図は、業界のパワーバランスにも影響を及ぼす可能性がある。
データセンター規模の参考値
| データセンター | GPU数 | 主な構成 |
|---|---|---|
| Colossus 1 | 約22万基以上 | H100、H200、GB200(約3万基) |
| Colossus 2 | 約55万基以上 | GB200、GB300 |
Colossus 2は現時点で世界最大級のAIデータセンターの一つだ。その大半が外部顧客に貸し出されている状況は、xAIの戦略的優先順位について、外部から読み解きにくい状態が続いている。




