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GitLabがAIトークン消費の最大化を拒否 — 「ゲーミフィケーションは誤った行動を生む」と業務をゼロから再設計

6月22日、Computer Weeklyが「GitLab CIO rejects 'tokenmaxxing' as it rebuilds work around agentic AI」と題した記事を公開した。

6月22日、Computer Weeklyが「GitLab CIO rejects 'tokenmaxxing' as it rebuilds work around agentic AI」と題した記事を公開した。

年商10億ドル超・従業員2,000人以上を抱えるGitLabのCIOが、AIトークン消費の最大化を促す「tokenmaxxing」を明確に否定し、エージェントAI(自律的にタスクを実行するAIシステム)を軸に社内業務をゼロから再設計しているという内容だ。既存のワークフローにAIを後付けするのではなく、仕事の本質から問い直すというアプローチは、エンタープライズAI活用の議論に一石を投じる。


GitLabのCIOであるManu Narayanは、就任からわずか9ヶ月で、AIを既存ワークフローに後付けするのではなく、業務そのものをゼロから再設計するという方針を打ち出した。

「AIを導入する方法」ではなく「仕事の本質から問い直す」

Narayanが明確にしたのは、出発点の違いだ。

「AIをどう導入するかという発想ではなく、AIを活用して社内の仕事の性質そのものを再考することが目的だった。プロセスをファーストプリンシプルで考え直し、そこにエージェントAIを当てはめていく」

具体例として挙げられているのが、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)の業務だ。CSMの本来の役割はクライアントとの深い関係構築だが、現実には四半期ビジネスレビュー資料の作成、議事録の文字起こし、CRMやデータウェアハウス、チャットチャンネルをまたいだ情報収集といった管理業務に多くの時間が費やされている。

AIエージェントにこうした雑務を委ねることで、「10〜15%の生産性向上」を超えた、投入リソースに比例した飛躍的なスケールアウトを目指すという。(※原文の "linear scale" は、人員を増やさずともAIで処理量を比例的に拡大できるという意味で使われており、段階的・漸進的な改善ではなく、構造的な拡張性の獲得を指している)

AIガバナンスの体制:ハブ・アンド・スポーク

社内のAI活用を管理するために、GitLabはハブ・アンド・スポーク型の運営モデルを採用している。中央のAIエンタープライズチームがガバナンス・技術構築・ガードレールを担い、各事業部門に埋め込まれた「AIトランスフォーメーションオーナー」が、自動化の余地がある反復的・時間のかかる業務を特定する。

この仕組みはすでに社内のIT・人事・営業にまたがる120名の社内サポートスタッフの支援に適用されており、AIエージェントが必要な情報をリアルタイムで引き出したり、定型チケットを自動対応したりしている。

「tokenmaxxing」をあえて拒否する理由

エンタープライズでのAI活用が広がる中、「tokenmaxxing」——社員や開発者がAIトークンの消費を最大化するよう促す戦略——が注目されている(参考: TechTargetの解説)。しかしNarayanはこれを明確に否定する。

「tokenmaxxingは意図的に避けている。ゲーミフィケーションは成果を促すこともあるが、誤った行動を引き起こすと思う。コンテキストを入れてコンテキストを出すことが成功の指標ではない。誰かがシステムをゲームしているかどうかは非常にわかりにくい。何をしているかわからないから過剰にコンテンツを送っているだけかもしれない」

代わりにGitLabが計測するのは、テックスタック全体のデイリーアクティブ利用率だ。ROIの算出は従来のビジネス指標に紐付ける。営業開発担当者向けAIエージェントの成功指標は、生成されたプロンプト数ではなく、送信されたアウトバウンドメッセージ数、アポ設定数、パイプライン転換率という標準的なKPIだ。

「SaaS終焉論」には懐疑的

AIがカスタムツール開発のハードルを下げる中、「SaaS終焉論」も浮上している。Narayanはこれを「大きく誇張されている」と見る。

社内開発するアプリの90%まで到達するのは容易だ。残り10%——ロールベースのアクセス制御、監査可能性、イミュータブルログ——これらは上場企業や規制対応が必要な顧客を持つ企業には必須だが、構築が非常に複雑だ。

Manu Narayan, GitLab

コアSaaSツールが持つガバナンスコントロールはなくならない、というのがNarayanの見解だ。インタラクション系とレコード系のシステムが分離していく可能性はあるとしながらも、基盤となるガバナンスは既存SaaSに依存し続けると見ている。

セキュリティ面では、データ分類基準を軸にAIガバナンスを運用している。パブリックデータはセルフサービスプラットフォームを通じて流れるが、独自データや顧客データはLLM(大規模言語モデル)との接続前に厳格なセキュリティレビューを要求する。

CIOの「夜も眠れない問題」

潤沢な予算と経営陣の支持があっても、チェンジマネジメントは課題として残る。AI活用に積極的な社員と慎重な社員の間のギャップを埋めるために、部門ごとのセンター・オブ・エクセレンス設置や社内AIハッカソンを活用している。

それでもNarayanを悩ませるのは「スピード」だ。

「夜に眠れなくなるのは、十分な速さで動けているかどうかという問いだ。AIの時代、意思決定は月単位・四半期単位ではなく、日単位・週単位で行われなければならない」

詳細はGitLab CIO rejects 'tokenmaxxing' as it rebuilds work around agentic AIを参照していただきたい。