6月26日、Techstrong AIが「Senate Committee Unanimously Advances NO FAKES Act to Combat AI Deepfakes」と題した記事を公開した。米上院司法委員会がAIディープフェイクを規制する「NO FAKES法案」を全会一致で可決し、連邦レベルの法整備が大きく前進したことを伝えている。
「NO FAKES法案」とは何か
NO FAKES法案(正式名称:Nurture Originals, Foster Art, and Keep Entertainment Safe Act)は、民主党のChris Coons上院議員(デラウェア州)と共和党のMarsha Blackburn上院議員(テネシー州)が共同提出した超党派の法案だ。
法案の核心は、個人が自身の声や外見・肖像をライセンス管理する権利を連邦法として確立する点にある。この保護は本人の死後70年間継続される。さらに、無断でディープフェイクを作成・ホスティングしたコンテンツ制作者とオンラインプラットフォームの双方に法的責任を課し、被害者は損害賠償訴訟を起こせる。
ディープフェイクとは、AIを使って実在の人物の顔や声を合成・改ざんしたコンテンツのこと。近年、詐欺や性的搾取、俳優・ミュージシャンの仕事を奪う目的での悪用が急増している。
ハリウッドとシリコンバレーが珍しく一致
今回の法案は、エンターテインメント業界と大手テック企業の双方から支持を得ている。
エンタメ側では、Walt Disney社、映画協会(MPA)、レコーディング・アカデミー、Warner Music Group、Universal Music Groupが賛同を表明。俳優組合SAG-AFTRAが主導し、議会宛てに送付された公開書簡には1万6,000人超が署名し、「無断複製は詐欺、搾取、人間のパフォーマンスの代替に現に使われている」と早期成立を訴えた。
テック側では、YouTubeやTikTok、OpenAIも支持を表明。OpenAIの国際政策担当VPであるAnna Makanjuは「クリエイターを不正な成りすましから守るために連邦立法は不可欠だ」と述べている。
ハリウッドとシリコンバレーが同一の法案を支持するのは、AIをめぐる対立が続く昨今では異例の構図だ。
表現の自由との衝突をどう処理したか
一方で、Center for Democracy & Technology(CDT)や電子フロンティア財団(EFF)を含む言論の自由を重視するグループは、修正第1条(言論の自由)に関わる懸念を理由に、現行の形での前進に反対する声明を出した。
これに対応するため、最新版の法案にはニュース、ドキュメンタリー、スポーツ、伝記、パロディを対象外とする除外規定が追加された。また、誤って削除されたコンテンツを復元するためのカウンターノーティス制度も盛り込まれている。
審議ではTed Cruz上院議員(テキサス州、共和党)が、AIで生成した選挙広告をロサンゼルス市長選に出馬したリアリティ番組出演者のSpencer Prattが使用した事例を挙げ、「こうした風刺的コンテンツが保護されなければならない」と強調した。
法案の位置づけと今後
NO FAKES法案は、**2025年に成立したTAKE IT DOWN Act**(非合意の親密なデジタル描写を禁止)の延長線上にある。ホワイトハウスの「AI国家立法フレームワーク」とも整合している。
Blackburn議員は、この法案を子供のオンライン安全法(KOSA)やアプリストア説明責任法(App Store Accountability Act)と抱き合わせでパッケージ化する可能性を示唆している。
同じ日には、別の超党派議員グループが「視覚芸術家の独自スタイルを商業的AIによる模倣から保護する」補完的な法案も提出した。現行の著作権法は登録された具体的な作品は保護するが、アーティストの作風やスタイル全体は保護対象外という空白を埋めるものだ。
上院司法委員会での全会一致通過は、本会議での採決に向けた重要な一歩となる。AIが生成するコンテンツに対する連邦レベルの包括的規制が現実味を帯びてきた。
詳細はSenate Committee Unanimously Advances NO FAKES Act to Combat AI Deepfakesを参照していただきたい。




