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トランプ政権がAnthropicのAIモデルを2週間封鎖後、一部解除 — 政府の承認なしにAIをリリースできない時代が始まりつつある

6月27日、Wiredが「Trump Administration Allows Anthropic to Release Mythos to Select US Organizations」と題した記事を公開した。トランプ政権がAnthropicの最先端AIモデル「Claude Mythos 5」へのアクセス制限を約2週間ぶりに一部解除し、米国内の100以上の組織への提供を認めた経緯を詳報している。この事案が業界全体に問いかけるのは、フロンティアAIの開発企業が政府の明示的な承認なしにモデルをリリースできない時代が現実のものになりつつあるという、より根本的な変化だ。

6月27日、Wiredが「Trump Administration Allows Anthropic to Release Mythos to Select US Organizations」と題した記事を公開した。トランプ政権がAnthropicの最先端AIモデル「Claude Mythos 5」へのアクセス制限を約2週間ぶりに一部解除し、米国内の100以上の組織への提供を認めた経緯を詳報している。この事案が業界全体に問いかけるのは、フロンティアAIの開発企業が政府の明示的な承認なしにモデルをリリースできない時代が現実のものになりつつあるという、より根本的な変化だ。


何がここまで大きな問題なのか

今回注目すべき点は、アクセス制限の解除そのものよりも、政府がAIモデルのリリース可否を実質的に決定する前例が生まれたという事実にある。OpenAIの戦略的未来チーム責任者でホワイトハウスの元AI顧問でもあるDean Ball(※肩書きは元記事の表記に基づく)は、6月16日のブログ投稿で「フロンティアAIのモデル開発者は政府からの明示的なゴーサインが必要な時代になった」と指摘している。さらに金曜日には、OpenAI自身もトランプ政権の要請を受けてGPT 5.6モデルのリリースを延期することを発表した。Anthropic一社の問題ではない。


政府指令から約2週間、Mythos 5が部分的に復活

6月12日(金)夜、米商務省はAnthropicに対し輸出規制指令を送付した。輸出規制は米国の輸出管理規則(EAR: Export Administration Regulations)に基づくものであり、安全保障上の懸念がある技術・サービスについて外国人・外国企業へのアクセスを制限できる法的枠組みだ。今回の指令では、Claude Mythos 5および消費者向けのClaude Fable 5について、米国在住・在勤の外国籍社員を含む外国人のアクセスを遮断するよう命じ、Anthropicはこれを受けて両モデルへのアクセスを全面停止した。

ここで両モデルの位置づけを補足しておく。Claude Mythos 5はAnthropicのエンタープライズ・セキュリティ領域向けに位置づけられる最上位モデルであり、Claude Fable 5は一般消費者・開発者向けのモデルだ(※編集部の考察:元記事の文脈および各モデル名の用途記述から整理)。

そこから約2週間後、商務長官Howard Lutnickがトム・ブラウン(Anthropic共同創業者兼最高コンピュート責任者)に宛てた書簡をWiredが入手。そこには「適切なセーフガードが整備されていると判断した」として、信頼できるパートナー組織へのMythos 5提供を許可すると記されていた。

Anthropicの広報担当Eduardo Maia Silvaは次のようにコメントしている。

「我々の最強のサイバーセキュリティモデルであるMythos 5を、少数のサイバー防衛者とインフラプロバイダーに再展開できるとの通知を受けた。承認された事業者へのアクセス回復を可能な限り速やかに進める」

今回の書簡では、承認組織の外国籍社員や、Anthropic自身の外国籍社員がMythos 5にアクセスすることも認められた。ただし、Lutnickは6月12日付の指令のその他の要件は引き続き有効であると明記した。


発端は韓国通信企業への提供問題

そもそもトランプ政権がAnthropicのモデル展開を問題視したきっかけは、Wiredの以前の報道によると、中国との関係が疑われた韓国の通信企業にMythosへのアクセスを付与していたことが判明したためだ。さらにAmazonとNSA(国家安全保障局)が別々に、Fable 5がジェイルブレイク(安全制約の回避)される可能性についてホワイトハウスに懸念を伝えており、これらが重なって政権は動いた。

EARの枠組みでは、外国政府や外国企業への先端技術の移転は商務省の判断で制限できる。今回のようにAIモデルへのAPIアクセス自体が「輸出」に相当しうるとの解釈が適用されたことは、AI規制の文脈で注目に値する。


Fable 5の一般提供再開はまだ交渉中

今回の部分解除はMythos 5のみが対象だ。消費者向けモデルであるFable 5については一切言及がなく、Anthropicは引き続きホワイトハウスと協議中で、週末をまたいで交渉が続く見通しだとされる。関係者によれば、両者はこの問題の解決が将来のモデルリリースに関する恒久的な政策枠組みの構築につながることに期待を寄せている。

直近では、AnthropicのサイバーセキュリティチームとAI安全チームの上級メンバーがワシントンDCに赴き、政府関係者との面会を重ねてきた。共同創業者のブラウンと公共政策責任者のSarah Heckが交渉を主導している。


業界全体への波紋——OpenAIも無縁ではない

Anthropicにとって、今回の政府との対立はビジネス上のコストも大きい。同社は今年初め、軍事請負業者による自社AIの利用について一定の制限を設けようとした結果、サプライチェーンリスクの指定を受け、トランプ政権を提訴している。6月12日の輸出規制指令が出た際には、一部の投資家が週末返上でAnthropicの事業継続性の検討を迫られたと報じられた。

Dean Ballの指摘が示すように、この問題はフロンティアAI全体の開発・展開サイクルに政府関与が常態化するかどうかの試金石でもある。今回の「2週間封鎖→部分解除」というプロセスそのものが、今後のAI規制の雛形になりうる。


詳細はTrump Administration Allows Anthropic to Release Mythos to Select US Organizationsを参照していただきたい。