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ビジネス・マーケット

OpenAIの純損失、売上が3.5倍になっても損失は7.6倍に拡大——2025年に385億ドルの赤字を記録した財務諸表が示す「現状では黒字化の見通しが立たない」構造

6月30日、CleanTechnicaが「OpenAI Went From $5.09 Billion Net Loss in 2024 to $38.53 Billion Net Loss in 2025」と題した記事を公開した。OpenAIの純損失が2024年の約50億ドルから2025年には約385億ドルへと1年で7倍以上に膨らんだことについて、リークされた監査済み財務諸表をもとに詳しく論じている。

6月30日、CleanTechnicaが「OpenAI Went From $5.09 Billion Net Loss in 2024 to $38.53 Billion Net Loss in 2025」と題した記事を公開した。OpenAIの純損失が2024年の約50億ドルから2025年には約385億ドルへと1年で7倍以上に膨らんだことについて、リークされた監査済み財務諸表をもとに詳しく論じている。


純損失が1年で7.6倍——流出した監査済み財務諸表が示す数字

このデータの出所は、テクノロジー業界の批評で知られるライター・Ed Zitronが自身のニュースレター「Where's Your Ed At」で公開したOpenAIの監査済み財務諸表のリークだ。「Where's Your Ed At」はシリコンバレーの大手テック企業に対する鋭い批判的分析で購読者を集めており、今回のリーク情報を最初に外部公開した媒体として注目を集めた。その後、Financial Timesが内容を独自に確認している。公式発表ではなくリーク情報である点は留意が必要だが、主要メディアが裏取りをしている以上、数字の信頼性は高いとみてよい。

2024年の主要財務数字は以下の通りだ。

項目 金額
売上高 37億ドル
売上原価 26.5億ドル
研究開発費 78.1億ドル
販売・マーケティング費 11.1億ドル
一般管理費 9.07億ドル
総コスト・費用 124.8億ドル
営業損失 87.8億ドル
純損失 50.9億ドル

2025年の主要財務数字はこうなる。

項目 金額
売上高 130.7億ドル
売上原価 75億ドル
研究開発費 191.8億ドル
販売・マーケティング費 57.3億ドル
一般管理費 15.7億ドル
総コスト・費用 340億ドル
営業損失 209.2億ドル
純損失 385.3億ドル

売上高は約3.5倍(37億→130.7億ドル)に伸びた一方、純損失は約7.6倍(50.9億→385.3億ドル)に拡大した。売上が増えるほど損失も膨らむ構造が、数字の上では明確に現れている。

なお、2025年の純損失(385.3億ドル)は営業損失(209.2億ドル)を約176億ドル上回っている点も注目に値する。元記事ではこの差額の内訳について明示的な説明はないが、株式報酬の費用計上や資産・投資の評価損といった非現金の特殊要因が含まれている可能性がある。この差額は財務分析上の重要な論点であり、今後OpenAIが公式に財務情報を開示した際には確認が必要な部分だ。


コストの内訳から見える問題の本質

数字の中で特に目を引くのが研究開発費の191.8億ドルだ。2024年の78.1億ドルから2.5倍近く増加しており、総コスト340億ドルの約56%を占める。データセンターの建設・運用、GPUの調達、ソフトウェアエンジニアの人件費といった固定費が急増しているとみられる。

また、販売・マーケティング費も2024年の11.1億ドルから2025年には57.3億ドルへと約5倍に膨らんでおり、ユーザー獲得コストの上昇も損失拡大の一因となっている。売上原価(75億ドル)を売上高(130.7億ドル)で割ると粗利率は約42%となり、この水準自体は極端に低いわけではないが、研究開発費と販売費が利益を大幅に上回る規模で積み上がっているため、営業段階で深刻な赤字となっている。

記事では、xAI(Grokを開発するイーロン・マスクの会社)も同様に資本投資を積み上げている点に言及しており、OpenAIに限らずAI業界全体が「規模の経済に達する前に資本を燃やし続けている」フェーズにあることを指摘している。


「AIバブル」への懐疑論が本格化しつつある

記事が提起する本質的な問いはシンプルだ——AIサービスは、巨大データセンターのコストを回収できるほどの価値を企業に提供できているのか?

現状では、OpenAIをはじめとするAI企業がサービスを原価割れで提供することで市場を維持している構図がある。しかしAIに多額の予算を投じている企業側でも「本当に費用対効果があるのか」という疑念が生まれ始めていると記事は述べている。

CleanTechnicaは関連記事として「Trillion-Dollar AI Bubble On Verge Of Popping?」も公開しており、AI投資バブルの崩壊リスクについての議論が続いている。


「将来の投資フェーズ」という説明はいつまで通用するか

「今の赤字は将来の覇権を握るための先行投資だ」という反論はある。実際、AmazonやAWS、Teslaも初期は巨額赤字を計上し続けた。しかしそれらのビジネスには、スケールすれば限界コストが下がる構造があった。

AIの場合、モデルの規模を拡大するほどインフラコストが線形以上に増大する可能性があり、「スケールすれば黒字化する」という前提自体が問われている段階に入っている。売上が3.5倍になっても損失が7.6倍になるという2025年の数字は、現時点のスナップショットとして、その疑念を裏付ける材料となっている。もっとも、これはリーク情報に基づく単年度の数字であり、OpenAIが今後どのような公式説明を行うかによって解釈は変わりうる。

詳細はOpenAI Went From $5.09 Billion Net Loss in 2024 to $38.53 Billion Net Loss in 2025を参照していただきたい。