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Anthropic

AnthropicがAI著作権訴訟で約2,250億円の和解成立 — 「AI学習はフェアユース」の先例は確定せず、Google・OpenAIへの訴訟は続く

7月22日、Techstrong.aiが「Federal Judge Approves Landmark $1.5 Billion Anthropic Copyright Settlement」と題した記事を公開した。AI企業を被告とした著作権訴訟として米国史上最大の和解額が確定した一方、AI業界が最も注目していた「AI学習はフェアユースか」という問いへの法的決着は先送りとなった。巨額の解決金を払っても「合法性のお墨付き」は得られない——この逆説こそが、今回の和解がAI開発者・法務担当者双方にとって重要な意味を持つ理由である。

7月22日、Techstrong.aiが「Federal Judge Approves Landmark $1.5 Billion Anthropic Copyright Settlement」と題した記事を公開した。AI企業を被告とした著作権訴訟として米国史上最大の和解額が確定した一方、AI業界が最も注目していた「AI学習はフェアユースか」という問いへの法的決着は先送りとなった。巨額の解決金を払っても「合法性のお墨付き」は得られない——この逆説こそが、今回の和解がAI開発者・法務担当者双方にとって重要な意味を持つ理由である。


米国史上最大の著作権和解が確定

カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所のAraceli Martínez-Olguín判事が月曜日、Anthropicと著作権者側との和解を最終承認した。15億ドル(約2,250億円)という規模は、米国史上最大の著作権回収額であり、かつ生成AI企業を被告とした著作権訴訟が最終和解に至った初のケースである。

和解の内容は、AnthropicのフラッグシップチャットボットClaudeの学習に無断使用された著作物1冊あたり約3,000ドルを支払うものだ。対象は約50万作品に上り、特定された48万2,000冊のうち91%以上の権利者がすでに請求手続きを済ませている。


訴訟の経緯:「シャドーライブラリ」が争点に

訴訟は2024年、ベストセラー・スリラー作家のAndrea Bartzら3名がAnthropicを提訴したことに始まる。なお、AnthropicはAmazonおよびGoogleから大型出資を受けていることで知られる企業だ。原告側の主な主張は、AnthropicがClaude(大規模言語モデル)の学習に著作者の許可なく書籍の海賊版コピーを使用したというものである。

訴訟の行方を左右したのが、William Alsup判事による中間的な判断だ。Alsup判事は「著作権で保護されたテキストでAIを学習させること自体はフェアユース(公正利用)として法的に保護される」と判断した。フェアユースとは、著作権者の許諾なしに著作物を一定の目的で利用できるとする米国著作権法上の概念であり、AI学習への適用可否はここ数年で最大の法的論点の一つとなっている。

一方で同判事は、AnthropicがLibrary Genesis(LibGen)やPirate Library Miraryといった、いわゆる「シャドーライブラリ」から数百万冊を調達した行為は法的に問題があると認定した。シャドーライブラリとは、著作権保護下にある書籍や論文を無断でデジタル化・公開している非合法のオンライン書庫の総称であり、LibGenやその派生であるPirate Library Mirrorはその代表例として知られる。学習データ自体の利用はフェアユースで守られうる一方、その調達経路が著作権侵害にあたると判断されたわけだ。

海賊行為をめぐる裁判と法定損害賠償で数十億ドル規模のリスクを前にして、Anthropicは和解を選択した。なお、訴訟の途中でAlsup判事は退任しており、最終承認はMartínez-Olguín判事が行った。退任前の中間判断が和解交渉の土台となったものの、控訴審での審査を経ていない点が後述の問題につながっている。


「フェアユース」の先例は宙に浮いたまま

エンジニアや法務担当者が注意すべき点がある。今回の和解は裁判外での解決であるため、Alsup判事のフェアユース判断は控訴審で審査されておらず、業界全体に適用できる拘束力ある先例としては確定していない。AI学習データの合法性をめぐる法的な決着は、依然として持ち越しとなっている。

15億ドルを支払ってもなお「AI学習は合法」と確定させることはできなかった——この点は、今後OpenAIやGoogleが同種の訴訟に直面した際にも引き続き重くのしかかる問題だ。

Martínez-Olguín判事は、3,000ドルの支払いは不十分だと反発した一部著作者の異議申し立てを退け、「裁判のリスクと報酬を現実的に評価したものではない」と指摘した。なお、原告側弁護士への報酬として1億1,000万ドル超が認められている。


残る訴訟と業界への影響

今回の和解からオプトアウト(離脱)してAnthropicに対し独自に訴訟を継続する著作者・出版社も存在する。また、Google、Meta、Midjourney、OpenAIを相手取った著作権訴訟も連邦裁判所で継続中であり、AIの学習データをめぐる法的争いは収束していない。OpenAIをめぐってはニューヨーク・タイムズが提訴した訴訟が広く知られており、著作権と生成AIの関係は引き続き業界全体の焦点であり続けている。

AI開発における学習データの調達方法は、今後も法的・倫理的な観点から厳しく問われる局面が続くだろう。


詳細はFederal Judge Approves Landmark $1.5 Billion Anthropic Copyright Settlementを参照していただきたい。