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GoogleがFlash系モデル3本を投入——フラッグシップ「Gemini 3.5 Pro」は競合に追い抜かれながら今も非公開

7月22日、The Decoderが「Google ships three new Gemini Flash models but its frontier 3.5 Pro remains lost in training」と題した記事を公開した。この記事では、GoogleがGemini Flashファミリーの新モデル3本を投入する一方、フラッグシップモデル「Gemini 3.5 Pro」が依然としてパートナー限定テストにとどまっている現状について詳しく紹介されている。

7月22日、The Decoderが「Google ships three new Gemini Flash models but its frontier 3.5 Pro remains lost in training」と題した記事を公開した。この記事では、GoogleがGemini Flashファミリーの新モデル3本を投入する一方、フラッグシップモデル「Gemini 3.5 Pro」が依然としてパートナー限定テストにとどまっている現状について詳しく紹介されている。


フラッグシップ不在のまま「Flash」3本を投入

GoogleはGemini 3.6 FlashGemini 3.5 Flash-Lite、サイバーセキュリティ特化のGemini 3.5 Flash Cyberの3モデルを発表した。なお、3.6 Flashと3.5 Flash-Liteが「3.5系」と「3.6系」で世代番号が混在しているが、これはGoogleの命名体系によるものであり、両者が並存する形で提供されている。

注目すべきは、この発表に「Gemini 3.5 Pro」への言及が埋め込まれている点だ。同モデルは現在もパートナー限定でテスト中であり、公開時期は「準備ができ次第」とされている。さらにGoogleは「Gemini 4のプレトレーニングはすでに開始済みで、最も野心的なトレーニングランだ」とも述べている。元記事はこの発言を「フラッグシップの遅延と並べて紹介された文脈」として取り上げており、Proの遅れから目をそらす効果を持つと示唆している。

Bloombergの報道によれば、3.5 Proはコーディング性能の改善に時間がかかっており、数ヶ月単位で遅延しているとされる。OpenAIはすでにGPT-5.6 Solを提供し、AnthropicはFableとMythosを持ち、Moonshot(Kimi K3)やZhipu(GLM-5.2)といった中国のラボもフロンティア性能に迫っている。Metaも最近、Googleの現ラインナップをコーディングで上回るモデルをリリースした。


Gemini 3.6 Flash:効率と低価格にフォーカス

今回の主力となるGemini 3.6 Flashの最大の特徴は、トークン効率の改善だ。

ベンチマーク集計サービスArtificial Analysis Indexによれば、3.6 Flashは3.5 Flashと比べて出力トークン数を約17%削減する。DeepSWE(ソフトウェアエンジニアリングのエージェント型ベンチマーク)では**65%**もの削減を達成している。

性能面でも改善がある。3.5 Flashとの比較では:

  • DeepSWE:37% → 49%
  • MLE Bench:49.7% → 63.9%
  • OSWorld-Verified:78.4% → 83%

価格は入力**$1.50/100万トークン、出力$7.50/100万トークン**。以前の3.1 Proより大幅に安く、ベンチマーク性能では3.1 Proを上回る。

DeepSWEにおける出力トークン数は276Kから97Kへ、3分の1強まで削減されている。Computer Use(モデルがブラウザやデスクトップを自律操作する機能)がGemini APIおよびGemini EnterpriseでAPIクライアントサイドのツールとして標準搭載されたことも追加された。

ただし、GoogleのテクニカルスタッフのメンバーであるLogan Kilpatrick氏はX上での批判に対して、「目標は明示的に効率性・使いやすさ・低コストであり、それでも性能は向上した」と述べており、マルチモーダルタスクや100万トークンのコンテキストウィンドウでは依然として米中の最強モデルに及ばないことは認めている。


Gemini 3.5 Flash-Lite:大量処理向けの低コストモデル

Gemini 3.5 Flash-Liteは低レイテンシと高スループットに特化した小型モデルだ。Artificial Analysisのデータでは毎秒350出力トークンを実現。価格は入力**$0.30/100万トークン、出力$2.50/100万トークン**。

前世代の3.1 Flash-Liteと比較してTerminal-Bench 2.1のスコアが**31% → 54%**へ向上し、より大きなモデルであるGemini 3 FlashをSWE-Bench ProやOSWorld-Verifiedで上回る。


Gemini 3.5 Flash Cyber:アクセス制限付きのサイバーセキュリティ特化モデル

Gemini 3.5 Flash Cyberはサイバーセキュリティ業務向けにファインチューニングされたモデルで、Google DeepMindのコードセキュリティエージェント「CodeMender」に組み込まれている。

CyberGymベンチマークでは**83.2%**を記録。OpenAIのGPT-5.5-Cyberの85.6%まで2ポイント差に迫っており、はるかに小さいモデルサイズでこの性能を出している点が特徴だ。

実用テストでの成果も具体的だ。GoogleのBig Sleepチームは同モデルをChromeとSafariの脆弱性探索に使用し、V8 JavaScriptエンジンのコミットスキャンでは55件の確認済みユニーク発見を得た(標準3.5 Flashは47件、Claude Opus 4.6は36件)。さらにFlash Cyberの発見のうち10件は他モデルでは検出されなかった。別のテストでは、Cloud脆弱性研究チームが公開APIをスキャンし、2時間以内にRCE(リモートコード実行)脆弱性を発見、セキュリティ保護を迂回するエクスプロイトを生成した。

このモデルは攻撃にも防御にも有用であるため、Googleはアクセスを厳しく制限しており、政府と信頼できるパートナー限定のパイロットプログラムとして提供している。CodeMenderエージェント自体はGemini Enterprise Agent Platformでプレビュー公開されているが、こちらは通常のGeminiモデルで動作する。対応言語はC/C++、Go、Java、Python、Ruby、Rust、TypeScriptだ。


まとめ:効率と特化で埋める「Pro不在」の穴

今回の3モデルはいずれもFlash系であり、Googleが「効率・低コスト・特化」という軸でラインナップを整備していることは明確だ。一方でフロンティアモデルのGemini 3.5 Proは依然として公開されておらず、競合他社との差は開きつつある。

フロンティアモデル不在の影響は、単なるベンチマーク上の遅れにとどまらない。APIを選定するエンジニアやプロダクトチームは、最上位の性能が必要なユースケースでは今のところGoogleを選びにくい状況にある。Gemini 4のプレトレーニングが始まっているとはいえ、現時点でトップ水準のモデルを提供できていないことは、開発者コミュニティでの採用判断に直接的な影響を与えうる。元記事が指摘するように、Flash系での着実な改善と特化モデルの投入は評価できるが、それはあくまでフラッグシップが存在する前提で成り立つ戦略だ。Proの公開がさらに遅れれば、Flashの優位性だけでは埋めきれない空白が広がっていく。

詳細はGoogle ships three new Gemini Flash models but its frontier 3.5 Pro remains lost in trainingを参照していただきたい。