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GoogleがAI脆弱性ハンターを実戦投入 — 防御・研究目的の専用モデルが2時間でRCE発見、エクスプロイト生成まで自動化

7月22日、Help Net Securityが「Google's Gemini 3.5 Flash Cyber becomes a vulnerability hunter」と題した記事を公開した。Googleが脆弱性の発見・検証・修正に特化したAIモデル「Gemini 3.5 Flash Cyber」を発表し、内部コードベースや外部パートナー向けに展開を進めているという内容だ。防御側のセキュリティ研究・脆弱性修正を主目的として設計されたモデルが、2時間以内にRCE脆弱性を発見し、代表的なメモリ保護機構を回避するエクスプロイトを100%の再現性で自動生成したという結果は、セキュリティエンジニアの目線では相当に重い事実である。

7月22日、Help Net Securityが「Google's Gemini 3.5 Flash Cyber becomes a vulnerability hunter」と題した記事を公開した。Googleが脆弱性の発見・検証・修正に特化したAIモデル「Gemini 3.5 Flash Cyber」を発表し、内部コードベースや外部パートナー向けに展開を進めているという内容だ。防御側のセキュリティ研究・脆弱性修正を主目的として設計されたモデルが、2時間以内にRCE脆弱性を発見し、代表的なメモリ保護機構を回避するエクスプロイトを100%の再現性で自動生成したという結果は、セキュリティエンジニアの目線では相当に重い事実である。


脆弱性を2時間で見つけ、エクスプロイト生成まで自動化

Gemini 3.5 Flash Cyberの実力を端的に示すのが、Google DeepMindのセキュリティ研究チームによるテスト結果だ。本モデルはあくまで防御・研究目的の脆弱性ハンターとして設計されており、発見した脆弱性の修正フローへの統合を前提としている点は前提として押さえておきたい。

元記事によれば、このモデルは2時間以内に公開APIのリモートコード実行(RCE)脆弱性と、機密性の高いプロダクションサービスのメモリ破壊脆弱性を発見したという。さらに、ASLR(Address Space Layout Randomization)W^X(Write XOR Execute)という代表的なメモリ保護機構を回避するRCEエクスプロイトを100%の再現性で生成した。

ASLRとW^Xはモダンなシステムに標準搭載されるメモリ保護の仕組みであり、これを突破するエクスプロイトの生成は従来でも高度なスキルを要する作業だ。本モデルがこれを自動化できることは、攻撃側の文脈ではなく、脆弱性が実際に悪用可能かどうかを防御側が検証するPoC(概念実証)生成能力として評価すべき点である。

V8 JavaScriptエンジン(Chromeのエンジンとして広く知られる)に対するテストでは、55件のユニークな確認済み問題を検出。そのうち10件はGemini 3.5 FlashおよびClaude Opus 4.6が検出できなかったものだという。


大規模コードベースへの実戦投入

このモデルが設計段階から意識しているのは「スケール」だ。

脆弱性検出には、プログラムの多数の実行パスを網羅的に解析する必要がある。単一の大規模言語モデルを1回呼び出す方式では分析速度がボトルネックになりやすい。Gemini 3.5 Flash Cyberはモデルを複数回呼び出すアーキテクチャを採用し、実行パスの解析・脆弱性の発見と検証・サブエージェントによるレポート生成を分担して処理する。

GoogleはすでにこのモデルをChrome、Android、Cloud、Ads、YouTubeといった内部コードベースの脆弱性発見・修正に実運用で活用している。コミットスキャンパイプラインへの統合も想定しており、CI/CDの中に組み込むユースケースが主な対象となる。

評価指標としては、Google Big Sleepチームが開発した**CyberGym**ベンチマークとChromeのプロダクション向けコミットスキャンパイプラインが使われた。Big Sleepチームはこれまでも実際のプロダクションソフトウェアにおける脆弱性をAIで発見する研究を継続してきたチームであり、CyberGymはその知見を体系化した評価フレームワークだ。Gemini 3.5 Flash Cyberはより大規模なモデルと比較しても競争力のある性能を示し、Gemini 3.5 Flash本体を上回る結果を出している。


CyberGym評価結果(出典: Google)


提供形態:限定パイロットから段階展開

現時点では政府機関および信頼パートナー向けの限定アクセスパイロットとして提供が始まっている。窓口となるのはGoogle DeepMindのAIコーディングエージェント「CodeMender」だ。

元記事によれば、CodeMenderはコードスキャンと修正のケイパビリティを提供するマネージドエージェントで、Gemini Enterprise Agent PlatformのAPIとして利用するか、AI Threat Defenseのコアコンポーネントとして組み込む形で使える。今後は段階的にアクセス範囲を広げる予定とされている。


同時発表された2モデル

今回はGemini 3.5 Flash Cyberと合わせて、2つの追加モデルも発表された。

Gemini 3.5 Flash-Lite は低レイテンシ・高スループット向けで、エージェント検索やドキュメント処理を主な対象とする。Reasoning(推論ステップ)のレベルを設定可能で、コンピュータ操作(computer-use)のケイパビリティも内蔵する。

Gemini 3.6 Flash はコーディング・マルチモーダルタスク・エージェントワークフロー向けの新モデル。Gemini 3.5 Flashと比べて出力トークン数・推論ステップ数・ツール呼び出し回数を削減し、マルチステップタスクのコストを抑えながらベンチマーク性能を向上させている。また、化学・生物・放射線・核(CBRN)領域とサイバー攻撃用途へのジェイルブレイク耐性を強化した「Frontier Safety」セーフガードを搭載している。


詳細はGoogle's Gemini 3.5 Flash Cyber becomes a vulnerability hunterを参照していただきたい。