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EC2が20年目で直面する「想定外の需要」— AWSがAMD EPYCとNitroシステムでエージェントAI・フィジカルAI時代のインフラを再設計する理由

7月25日、SiliconAngleが「AWS EC2 compute evolves for agentic and physical AI」と題した記事を公開した。この記事では、エージェントAI(人間の指示なしに自律的にタスクを計画・実行するAIシステム)およびフィジカルAI(ロボティクスや自律システム向けのAI)需要の高まりを背景に、AWS EC2コンピュートがどのように進化しているかについて詳しく紹介されている。特に注目すべきは、AWSのNitroシステムが実現する「オペレーターゼロアクセス」設計と、AIコスト最適化へのスポットインスタンス活用という二つの独自性だ。汎用クラウドインフラがAI時代にどう対応しているかを具体的に示す内容である。

7月25日、SiliconAngleが「AWS EC2 compute evolves for agentic and physical AI」と題した記事を公開した。この記事では、エージェントAI(人間の指示なしに自律的にタスクを計画・実行するAIシステム)およびフィジカルAI(ロボティクスや自律システム向けのAI)需要の高まりを背景に、AWS EC2コンピュートがどのように進化しているかについて詳しく紹介されている。

特に注目すべきは、AWSのNitroシステムが実現する「オペレーターゼロアクセス」設計と、AIコスト最適化へのスポットインスタンス活用という二つの独自性だ。汎用クラウドインフラがAI時代にどう対応しているかを具体的に示す内容である。


20年目のEC2が直面している「想定外の需要」

AWS EC2はサービス開始から20年が経過した現在、当初の設計者たちが想定していなかった用途へと押し広げられている。AWSのEC2プロダクトマーケティング責任者であるArt Baudo氏によれば、顧客はAMDベースのインスタンスをAI推論ワークロードと従来のHPC(高性能計算)タスクの両方に活用しており、クラウドへ移行するワークロードの幅広さは長年のクラウド推進派にとっても驚きだという。

「パフォーマンスが向上するにつれ、顧客に提供できるコストパフォーマンスも向上している。AIの急拡大により、あらゆる業界・インスタンスタイプをまたいで多様な活用が生まれている」(Baudo氏)

この発言は、2026年7月に開催されたAMD Advancing AIイベントにおいて、SiliconAngleのライブストリーミングスタジオtheCUBEのインタビューで語られたものだ。

エージェントAIとフィジカルAIはいずれも、従来の推論・学習ワークロードとは異なる負荷特性を持つ。エージェントAIは複数ステップにわたるタスク実行で断続的かつバースト的な計算需要を生み出し、フィジカルAIはリアルタイム性と低レイテンシを要求する。こうした新しいワークロードが、EC2のアーキテクチャ設計に新たな要件を課している。


AMD×AWSの関係が深化:EPYCからTurinまで

AWSがAMD EPYCプロセッサをEC2に導入したのは2018年。以降、毎世代のEPYCを採用し続けており、2026年2月にはTurinアーキテクチャベースのEC2 HPC8aインスタンスを発表している。

特に注目すべき変化は第6世代から第7世代にかけた設計思想の転換だ。マルチスレッド最適化からシングルスレッド最適化へシフトしたことで、AIワークロードやEDA(電子設計自動化)用途で大幅な性能向上を実現した。さらに直近では、5GHzクロック速度と拡張メモリ構成を組み合わせた高周波数インスタンスを投入し、ピーク演算性能と高速なデータアクセスを同時に要求するワークロードに対応している。

「最新のインスタンス群でも継続的にコストパフォーマンスの改善が見られる。これはAWSとして継続的に取り組んでいる課題であり、AMDインスタンスでも変わらない」(Baudo氏)


Nitroシステムが果たす役割:ゼロアクセス設計とポートフォリオ全体への統一基盤

EC2全体のアーキテクチャ基盤として機能しているのがAWS Nitroシステムだ。ハイパーバイザー機能を専用ハードウェア・ソフトウェアにオフロードすることで、以下を同時に実現している。

  • インスタンスタイプの高速・大規模なデプロイ
  • オペレーターによるゼロアクセス(AWSの運用担当者でもインスタンス内部にアクセスできない設計)
  • AMDインスタンスからGraviton、Trainium、Inferentiaに至るまで、全ポートフォリオで統一されたセキュリティベースライン

「クラウドの根幹であるセキュリティとオンデマンドなパフォーマンス提供の能力は、今まで以上に重要になっている。CPU負荷が急激にスパイクしたあと、しばらく不要になるようなバースト型のワークロードに対して、クラウドは圧倒的な強みを持っている」(Baudo氏)

このゼロアクセス設計は、エージェントAIが機密データを扱う企業環境へ展開される際のコンプライアンス要件に対しても、重要な差別化要素となりうる。


AIコスト最適化:2022年のクラウドコスト管理との並行性

コスト面では、AWSが2022年の汎用クラウドコスト管理で適用した顧客中心の最適化手法を、AIワークロードにも同様に展開しているとBaudo氏は説明する。

具体的には、スポットインスタンスの活用促進だ。どのリージョン・アベイラビリティゾーンにスポット容量があるかを顧客に可視化し、AI推論など断続的な処理に向けたコスト削減の選択肢として提示している。エージェントAIのバースト型の計算需要は、スポットインスタンスの利用特性と親和性が高く、コスト最適化の観点からも注目される動向だ。

「顧客がエコシステム内でコスト削減の手段を活用できるよう、スポットインスタンスに関する情報提供を強化している。どこにインスタンスが空いているかを示し、スポットをより積極的に使えるよう支援している」(Baudo氏)


EC2の20年の歴史において、AMD EPYCとの協業やNitroシステムの深化は、汎用クラウドがAI時代に対応し続けるための中核的な要素となっている。エージェントAIとフィジカルAIが実ワークロードとして本格的に立ち上がりつつある今、インフラ層でどの選択肢が有力かを判断するうえで参考になる内容だ。

詳細はAWS EC2 compute evolves for agentic and physical AIを参照していただきたい。