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ビジネス・マーケット

NvidiaがOpenAIに最大2500億ドルの債務保証——「チップで稼いだ資金でチップ購入を支援する」循環構造に市場が警戒、株価5%下落

7月29日、Los Angeles Timesが「Nvidia's $750-billion AI bet deepens fears of a circular tech bubble」と題した記事を公開した。Nvidiaが自社チップを買う企業の債務を保証し、その企業がさらにNvidiaからチップを買う——この「循環型ファイナンス」が7500億ドル超のスケールで展開されていることに、市場が本格的な警戒を強めている。

7月29日、Los Angeles Timesが「Nvidia's $750-billion AI bet deepens fears of a circular tech bubble」と題した記事を公開した。Nvidiaが自社チップを買う企業の債務を保証し、その企業がさらにNvidiaからチップを買う——この「循環型ファイナンス」が7500億ドル超のスケールで展開されていることに、市場が本格的な警戒を強めている。


7500億ドルが動く「円環構造」の正体

今回発表された主な動きは2件だ。

① SK Groupとの5000億ドル超の提携:韓国の複合企業SK Groupと、相互に5000億ドル超の取引を行う枠組みを締結した。Nvidiaはメモリチップを調達し、SK側はNvidiaのスーパーコンピュータを購入する。韓国半島に2ギガワット規模のAIデータセンターを共同建設することも含まれており、SK Telecomが建設する第1号施設は来年開業予定だ。2GWとは約150万世帯分の電力消費量に相当する規模だ。

② OpenAIへの最大2500億ドルの債務保証:OpenAIがSoftBank傘下のSB Energyがオハイオ州で開発中の総額5000億ドル・10GWのデータセンターからコンピューティングリソースをリースするにあたり、Nvidiaが最大2500億ドルの債務保証(guarantee)を提供する方向で交渉中だ。さらにOpenAIによるチップ購入3500億ドル分のファイナンスも議論されている。なお交渉は初期段階であり、条件変更や破談の可能性も残る。

批評家が「循環的(circular)」と呼ぶのはこの構造だ。Nvidiaはチップ販売で得た収益・信用力を元手に顧客の資金調達を支援し、その顧客がNvidiaからさらにチップを買う——資本が同一エコシステム内を環流する仕組みになっている。

なお同日、Nvidiaは元OpenAI主任研究員Ilya SutskeverらがCo-foundしたSafe Superintelligence Inc.への50億ドル出資も発表した。直接的な「循環」構造とは異なるが、Nvidiaが自社チップの主要顧客となりうるAI企業への資本参加を広げているという点で、同じ文脈に置かれやすい動きだ。


「循環」懸念は本物か

Goldman Sachsは今年初頭のリポートで、AI関連インフラへの巨額投資が収益化される前に資本循環が破綻するリスクを指摘していた。映画「マネー・ショート」で知られる投資家Michael Burryも数か月前から同様の警鐘を鳴らしており、今回の動きで両者の見方が改めて注目を集めている。

Allspring Global InvestmentsのポートフォリオマネージャーGary Tanはこう指摘する。

「Nvidiaの投資と提携は長期的なAIインフラへの信頼を強化するものだが、投資家は循環型ファイナンスへの懸念を拭えていない。資本は将来のAI顧客とインフラ展開のための資金調達に使われているに過ぎない」

Global X ManagementのBilly Leungも同様の見方を示す。

「NvidiaがOpenAIのデータセンター債務をより多く保証することで、既に精査されているベンダーファイナンスがさらに深まる。これはAIインフラ整備における資金調達の逼迫を改めて示すものだ」

一方、NvidiaのCEO Jensen Huangは「循環的」という批判に反論している。「CoreWeaveへの投資について言えば、彼らが最終的に調達しなければならない金額のごく一部だ。循環的だというのは——馬鹿げている」と述べた。


市場の反応:株価5%下落、債務保証コストは過去最大の上昇

この発表を受けた月曜日のニューヨーク市場で、Nvidia株は5%下落し196.51ドルとなった。6月5日以来最大の下落幅であり、Nvidiaは世界時価総額首位の座をAppleに明け渡した。

また、Nvidiaの債務デフォルトに備えるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のコストが過去最大の上昇幅を記録した。CDSとは、ある企業や債券が債務不履行に陥った際の損失を補填する金融派生商品であり、そのコスト上昇は「市場がデフォルトリスクを高く見積もり始めた」ことを示す指標として広く参照される。今回は年率で0.14ポイント上昇し0.82ポイントとなっており、投資家の懸念が数字にも表れた形だ。

Bloomberg IntelligenceアナリストのMandeep Singhはこう評する。「Nvidiaはこのペースでインフラ整備が続くことを確実にしたい。もし6か月でも停滞すれば、それは彼らにとって大きなリスクだ」


構造的リスクの連鎖

今回の問題をより複雑にしているのは、SoftBankの存在だ。SoftBankはOpenAIに対して約650億ドルの投資をコミットしており、OpenAIのIPOへの期待が同社の業績を大きく左右する状態になっている。さらに400億ドルのブリッジローン(アジア太平洋地域で過去最大規模の一つ)でその投資を賄っており、高レバレッジ構造が連鎖している。

Googleも同様の動きをしており、Anthropicに対して5か所のデータセンターのリース保証を行い、実質的に350億ドルの融資に相当する支援を提供している。

AI企業同士の財務的な相互依存が深まる中、「一社が傾けば連鎖する」というシステミックリスクへの懸念が業界全体に広がっている。Nvidiaは今年だけで、OpenAIとの交渉を除いても5400億ドル超の類似案件を発表済みだ。

詳細はNvidia's $750-billion AI bet deepens fears of a circular tech bubbleを参照していただきたい。