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Figmaがセキュリティ対応にAIエージェントを実戦投入 — アラート解決時間を70%短縮、未知の脆弱性100件以上を検出

9月6日、Renato Losioが「How Figma Uses AI Agents for Security」と題した記事を公開した。この記事では、FigmaのセキュリティチームがAIエージェントをアラート調査・脆弱性検出に実用投入した事例について詳しく紹介されている。

9月6日、Renato Losioが「How Figma Uses AI Agents for Security」と題した記事を公開した。この記事では、FigmaのセキュリティチームがAIエージェントをアラート調査・脆弱性検出に実用投入した事例について詳しく紹介されている。


セキュリティ運用における「アラート疲れ」は多くのエンジニアリング組織の課題だ。Figmaはこの問題にAIエージェントで正面から取り組み、その構築プロセスを公開した。

複雑なアラートの解決時間を70%短縮

Figmaのセキュリティエンジニアリングチームが構築したのは、セキュリティアラートの調査を自動化するエージェントシステムだ。Panther SIEMを中核に、AWS・Okta・GitHub・GCP・osquery(SQLでシステム情報をクエリできるオープンソースツール)など100以上のソースを横断して調査を行う。

元セキュリティエンジニアのMatthew Sullivan(現Nition)とセキュリティエンジニアリングマネージャーのBrad Girardeauによると、このシステムによって:

  • 複雑なアラートの解決時間を約70%短縮
  • オンコール対応(夜間・休日の緊急呼び出し)を20%削減(一部アラートの深刻度を下げることで実現)

を達成したという。

アラートトリアージエージェントの仕組み

システムの中核はアラートトリアージエージェントだ。Sullivan・Girardeauはその動作をこう説明する:

アラートトリアージエージェント(Claude Opusのようなモデルを使用)は、調査の大部分を担う。Slackのスレッド履歴全体をコンテキストとして受け取り、自身のステアリングメモリと、セキュリティオンコールエンジニアがトリアージ時に必要とするツール群を持つ。

バックエンドにはAWS Bedrock Knowledge BasesAmazon KendraTines・Snowflakeベースのツールを組み合わせ、過去のアラート履歴の検索やPantherデータの調査を行う。

「メモリ設計」が最も効いた

チームが最も重要視したのがメモリ設計だ:

メモリは、システムが時間をかけてどれだけ有用になるかに最も大きな影響を与えたものだった。複数の種類があり、それらを分離しておくことが重要だとわかった。

具体的には以下の3種類のメモリを分離して管理している:

  • 過去のアラート履歴:同様の事案の調査実績
  • 行動ガイダンス:エージェントへの運用指針
  • 習得済みDBスキーマ:クエリ対象システムの構造情報

この分離設計はアラートトリアージ精度の向上に直結している。エージェントが調査を重ねるごとに組織固有のコンテキストを蓄積できる点が、汎用的なLLM単体との最大の差異だとチームは述べている。

安全設計:エージェントが勝手にマージしない

自律的なエージェントがコード変更を行うとなると、安全性への懸念が当然生じる。Figmaはツール設計レベルで制約を組み込んでいる。エージェントが作成するPRはデフォルトでドラフト状態に設定され、必ず人間がレビューする構造だ。また、センシティブなデータがパブリックなSlackチャンネルに流出しないようプロンプト設計でも制御している。

これらの制約は、AIエージェントへのセキュリティ権限付与に伴うリスクを踏まえた設計判断だ。なお、クラウドセキュリティ企業のWizは最近、6種類のAIコーディングアシスタントが悪意あるリポジトリによって操作される可能性を報告しており(GhostApproval)、InfoQもClaudeのサンドボックス脱出に関するOpenAIの報告を取り上げている。※これらは元記事(InfoQ)が参照・言及している関連事例であり、編集部が補足として示したリンクではない。

脆弱性検出エージェントは「未知の脆弱性を100件以上」発見

元記事が参照するFigmaの公式ブログ「How Figma stays ahead of vulnerabilities with agents」では、脆弱性検出エージェントの成果も報告されている。これはInfoQ記事が出典として示しているFigma側の一次資料であり、上記のアラートトリアージシステムとは別の取り組みとして紹介されている点に留意されたい:

  • 従来ツールでは見つけられなかったクリティカルな脆弱性2件を含む、100件以上の未知脆弱性を検出
  • コードレビュエージェントが**1ヶ月以内に適合率80%**を達成
  • 二重レビューステップの導入で既知バグの検出率を約30%改善
  • 自動ガイダンス追加により一部コーディングエラーを約50%削減

ただし、チームはこうも警告する:

何をすべきかを正確に伝えることはできない。具体的な内容は会社の規模、直面するリスク、既存のフィードバックループによって異なる。ただ一つ言えるのは、再現率より先に適合率を改善すること。これは直感に反する順序だが、手元の過去バグで測れるのは再現率だけで、先に修正すべき適合率はほとんど測れない。

人間の承認をどこまで自動化するか

AIエージェントにセキュリティ上の権限を与えることには業界全体で議論が続いている。Figmaは「既存のAIエージェントは完璧ではないが、人間も完璧ではない」とした上で、自動化と人間による監視の適切なバランスはまだ模索中だと結論づけている。ドラフトPRや承認フローによるヒューマンインザループの設計は、その模索の現時点での答えといえる。


詳細はHow Figma Uses AI Agents for Securityを参照していただきたい。