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DeepSeekの新モデル、キャッシュヒット時のコストがGPT-5やClaudeの約100分の1 — エージェント用途を狙い撃ちにした超低価格設定が話題に

9月11日、Dataconomyが「DeepSeek launches V4.1-Flash with 1M-token context」と題した記事を公開した。DeepSeekが新たにリリースした「DeepSeek-V4.1-Flash」は、キャッシュヒット時の入力コストがGPT-5系やClaudeの約100分の1という破格の価格設定を打ち出した。同社はDeepSeek-V3(2024年末)やDeepSeek-R1(2025年初頭)でもAPI価格の常識を覆してきたが、今回はエージェント用途に特化した価格構造で、さらに踏み込んだ価格破壊を仕掛けている。

9月11日、Dataconomyが「DeepSeek launches V4.1-Flash with 1M-token context」と題した記事を公開した。DeepSeekが新たにリリースした「DeepSeek-V4.1-Flash」は、キャッシュヒット時の入力コストがGPT-5系やClaudeの約100分の1という破格の価格設定を打ち出した。同社はDeepSeek-V3(2024年末)やDeepSeek-R1(2025年初頭)でもAPI価格の常識を覆してきたが、今回はエージェント用途に特化した価格構造で、さらに踏み込んだ価格破壊を仕掛けている。


キャッシュヒット時の価格が桁違いに安い

V4.1-Flashの最大の特徴は価格体系にある。オフピーク時のレートは以下の通りだ。

区分 V4.1-Flash(オフピーク)
キャッシュヒット入力 $0.003 / 100万トークン
キャッシュミス入力 $0.15 / 100万トークン
出力 $0.60 / 100万トークン

ピーク時はこれらの2倍となる。ピーク時間帯は月〜金のUTC 01:00〜04:00および06:00〜10:00と定義されている。

この価格がどれほど破格かは、競合との比較で明確になる。記事が掲載している比較表によれば、50万トークンの再利用可能なプレフィックスを100リクエストにわたってキャッシュした場合(計5000万キャッシュ入力トークン)、コストは次のようになる。

  • V4.1-Flash(オフピーク): 約$0.15
  • Kimi K3(Moonshot AI製の大規模MoEモデル): 約$15
  • GPT-5.6 Sol(OpenAIのGPT-5系推論特化モデル): 約$20
  • Claude Opus 5(Anthropicのフラッグシップモデル): 約$25

上記の条件はキャッシュヒット率が高いシナリオに限定されており、キャッシュミスが多い場合や出力トークンが支配的なワークロードでは差が縮まる点には注意が必要だ。それでも、エージェント型システムにおいてリポジトリ、ツール定義、システム指示、会話履歴などを繰り返し参照するケースでは、キャッシュヒットのコストが総コストの大部分を占める。DeepSeekはこの特性を明確に意識した価格設計を採っている。

オフピーク時の入出力合計($0.75 / 100万トークン換算)は、比較対象の中ではMeta Muse Spark(Metaのエッジ向け軽量モデル、$0.30)とXiaomiのMiMo-V2.5 Flash(モバイル特化の小型推論モデル、$0.40)に次ぐ3番目の低価格に位置する。


アーキテクチャ:前世代から大幅に拡張

モデルの規模は前世代から大きく変わった。旧V4-Flashが総284Bパラメータ・アクティブ13Bだったのに対し、V4.1-Flashは総552Bパラメータへ倍増している。さらに疎アクセス型の「Engram条件付きメモリモジュール」に196Bパラメータが別途存在する。Engramモジュールとは、長いコンテキストから関連する記憶を動的に取り出す仕組みで、全パラメータを常時活性化せずに済む疎(スパース)アーキテクチャの一形態だ。

アーキテクチャは40のTransformerレイヤーを20層の因果エンコーダーと20層のデコーダーに分割する設計で、入力処理時に8Bパラメータ、出力生成時に16Bパラメータをアクティベートする。

KVキャッシュの効率化も大きな改善点だ。以下の3技術を組み合わせている。

  • Compressed Sparse Attention 2(CSA2):注意機構の計算を間引くことでメモリ使用量を削減するスパースアテンションの改良版
  • 階層型スパースインデックス:KVキャッシュをアクセス頻度に応じて階層化し、検索を高速化する仕組み
  • FP4 KVキャッシング:KVキャッシュの数値精度を4ビット浮動小数点(FP4)に圧縮し、メモリ消費を大幅に抑える手法

これらの組み合わせにより、グローバルKVキャッシュをトークンあたり890バイトに削減している。これはV4-Flashの約4分の1のサイズで、永続キャッシュストレージは約8分の1まで縮小した。


ベンチマーク性能

DeepSeek自身が実施したベンチマーク結果は以下の通りだ。

  • DeepSWE v1.1: 74.2(Claude Opus 5の74.0、GPT-5.6 Solの73.0をわずかに上回る)
  • CyberGym: 88.1
  • AutomationBench: 54.8

なお、推論のeffortレベルを25から100に引き上げると性能は向上するが、出力トークン数が約2.5倍に増える点には注意が必要だ。コスト試算の際はこの点を考慮すべきである。


既存モデルとの移行・既知の制限

DeepSeekのドキュメントによると、旧V4 FlashへのリクエストはすでにV4.1-Flashで処理されている。また、2026年9月14日以降はV4 ProのリクエストもV4.1-Flashに転送される予定で、将来リリース予定のV4.1 Proまでの暫定措置とされている。

一方、DeepSeekは新アーキテクチャに未検証の堅牢性の限界があることを自ら認めている。スパース選択エラーや近似状態の再構築が、特に非常に長いコンテキストでのスパース検索キャッシュ再開の境界においてエッジケースで性能を劣化させる可能性があると明記しており、追加ストレステストを計画中だ。本番環境への投入前に自社ワークロードでの検証を行うことが推奨される。


IPO準備の報道も

技術的な話とは別に、Reutersは今週、DeepSeekが上海のSTARマーケット(科創板)への上場準備としてCITIC証券を起用したと報じた。現在進行中の資金調達ラウンドと並行して進む上場準備であり、同社の評価額が5000億元(約750億ドル)に達する可能性があるとも伝えられている。技術的な価格攻勢と資本市場への本格進出が同時進行する形で、DeepSeekの動向はしばらく目が離せない状況だ。


詳細はDeepSeek launches V4.1-Flash with 1M-token contextを参照していただきたい。