powered by TechFeed
表示モード
主要ニュース

Sakana AIが「AIの司令塔」モデルを刷新 — 複数モデルを束ねて最適配分、コスト削減で競合に挑む

9月10日、MarkTechPostが「Sakana AI Launches Fugu Max and Fugu Ultra v2 for Cheaper, Stronger Multi-Agent Orchestration」と題した記事を公開した。東京を拠点とするAIスタートアップ・Sakana AIが、マルチエージェントオーケストレーション向けの新モデル「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」をリリースした。同社は出力トークン価格でSonnet 5やGPT 5.6 Terraといった競合を40〜60%下回る(同社発表値)と主張しており、コスト競争力を前面に打ち出した今回のリリースはAI開発者コミュニティの注目を集めている。

9月10日、MarkTechPostが「Sakana AI Launches Fugu Max and Fugu Ultra v2 for Cheaper, Stronger Multi-Agent Orchestration」と題した記事を公開した。東京を拠点とするAIスタートアップ・Sakana AIが、マルチエージェントオーケストレーション向けの新モデル「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」をリリースした。同社は出力トークン価格でSonnet 5やGPT 5.6 Terraといった競合を40〜60%下回る(同社発表値)と主張しており、コスト競争力を前面に打ち出した今回のリリースはAI開発者コミュニティの注目を集めている。


Sakana AIとFuguの背景

Sakana AIは、Google DeepMindで研究ディレクターを務めたDavid Haと、Transformerの原著論文「Attention Is All You Need」の共著者であるLlion Jonesが2023年に共同創業した東京発の研究志向スタートアップだ。自然界の分散・進化的なメカニズムをAIに応用する研究を特徴とし、国際的な研究コミュニティからも注目されている。

Fuguはそうした研究姿勢を体現したプロダクトラインだ。2025年4月にベータ公開、6月に一般提供(GA)開始、7月にはFugu-CyberとClaude Codeインターフェースを追加と、リリースペースも速い。


「オーケストレーター」としてのFugu

Fuguは単体の基盤モデルではない。クエリを受け取り、複数のモデルを束ねるエージェント的な処理フロー(スキャフォールド)をその場で構築する「学習済みオーケストレーター」だ。複数モデルを1つのAPIの背後に配置し、タスクの内容に応じて最適なモデルへルーティングする。

技術的な土台は2本のICLR 2026採択論文にある(論文はいずれも2025年12月にarXivで公開済み)。TRINITYは、軽量な進化的アルゴリズムで調整されたコーディネーターが、各ターンでThinker・Worker・Verifierの役割を割り当てる。The Conductorは強化学習で訓練され、自然言語による協調戦略と集中的なプロンプトを動的に発見する。トレーニング全体は大規模ファインチューニング・進化的アルゴリズム・強化学習の組み合わせで構成される。


Fugu Max:コストを抑えながら広く勝つ

今回の2モデルのうち、コスト効率の観点で特に押さえておきたいのがFugu Maxだ。

価格は入力$2/出力$6(100万トークンあたり)。Sonnet 5、GPT 5.6 Terra、Kimi K3と比較して、出力トークン価格が40〜60%低いとSakana AIは述べている。ただし、この数値はベンダー自身による比較であり、独立した第三者による検証は現時点では確認されていない。採用にあたっては実運用での検証を推奨したい。

Fugu Maxはオーケストレーション対象のモデルプールを拡張し、オープンウェイトモデルや特化型モデルを追加した。NVIDIAとの協業により、NVIDIA Nemotronファミリーも組み込まれている。各タスクを解決できる最も軽量なモデルへルーティングすることでコスト削減を実現する仕組みだ。

ベンチマーク結果として、Sakanaは以下を報告している:

  • Terminal Bench 2.1、GPQA Diamond、AA-LCR、GDP.pdf、AutomationBench、SWEFishの6つで最高スコアを記録
  • 10ベンチマーク中7つでコスト・性能のパレートフロンティア(※)を拡張

※パレートフロンティア:品質とコストのトレードオフにおいて、どちらかを犠牲にしなければ改善できない境界線。この境界を「押し広げる」とは、同コストでより高性能、または同性能でより低コストを実現することを指す。

なお、SWEFishはSakana自身のコーディング課題から構築した内部ベンチマークである。この結果はベンダー発の数字として割り引いて読む必要がある。


Fugu Ultra v2:視覚データと複雑推論で突出

Fugu Ultra v2のターゲットは、複雑な推論・自律的なリサーチ・フルスタックのソフトウェア開発だ。特に視覚データや構造化データを扱う継続的な推論で大きな性能向上が見られる。

注目の数値を挙げる:

  • Chartography(チャート・図表の視覚的推論):スコア48.3。Opus 5(27.3)、Fable 5(29.5)を大きく上回る
  • DeepSWE(実世界のソフトウェアエンジニアリング):スコア74.3。トークン単価が3〜5倍高いモデルを上回る
  • 8ベンチマーク中5つで最高またはタイスコア、7つでトップ2以内

重要な点として、Fugu Ultra v2のエージェントプールにはFable 5、Fable 5.1、GPT-6-Astraは含まれていない。特定の大手プロプライエタリモデルへの依存を避ける設計であり、Sakanaはこれを「ベンダーロックイン・API失効・突然のサービス停止へのリスク低減」と位置付けている。

モデルのトレーニングカットオフは2026年8月28日


利用方法

両モデルはOpenAI互換APIとしてすでに提供中だ。既存ユーザーは1行の変更で切り替えられる。セルフホスト用のオープンウェイトは公開されておらず、EU/EEA地域ではサービス提供対象外となっている。

詳細はSakana AI Launches Fugu Max and Fugu Ultra v2 for Cheaper, Stronger Multi-Agent Orchestrationを参照していただきたい。