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AIエージェントが自律的に395組織を侵害 — 「空のワークスペースからドメイン管理者権限まで6時間」、除外設定を無視した誤動作も確認

9月11日、Help Net Securityが「AI agents exploited PaperCut flaws to breach 395 organizations」と題した記事を公開した。この記事では、AIエージェントがPaperCutの脆弱性を悪用し、48カ国395組織・440インスタンスを自律的に侵害したキャンペーンについて詳しく紹介されている。

9月11日、Help Net Securityが「AI agents exploited PaperCut flaws to breach 395 organizations」と題した記事を公開した。この記事では、AIエージェントがPaperCutの脆弱性を悪用し、48カ国395組織・440インスタンスを自律的に侵害したキャンペーンについて詳しく紹介されている。


AIエージェントが「手足」となった攻撃キャンペーン

PaperCut NG/MFは、教育機関や企業で広く使われるプリント管理ソフトウェアだ。セキュリティ企業GreyNoiseはインターネット上のスキャンや攻撃トラフィックを大規模に収集・分析する脅威インテリジェンス企業であり、今回のキャンペーンをその観測網で捕捉した。

GreyNoiseの調査によると、攻撃者はPaperCut NG/MFに存在する2件の脆弱性(CVE-2026-81578およびCVE-2026-82078)を悪用した。前者は認証バイパスにつながる脆弱性、後者はリモートコード実行(RCE)を可能にする脆弱性とされており、組み合わせることで認証なしに任意コードの実行が可能となる。PaperCut Softwareは8月下旬にこれら2脆弱性の実環境での悪用を確認し、緊急パッチを公開している。

攻撃者はまず、脆弱なPaperCutとActive Directoryサーバーをセットアップしたプライベートなラボ環境でエクスプロイトを開発・検証した。並行して、インターネット上の公開サービスを横断検索できるスキャンプラットフォーム「Netlas.io」のAPIキーを使い、攻撃対象となるPaperCutインスタンスのリストを作成している。

AIエージェントは、元記事の記述によればOpenAIのCodexハーネスおよびDeepSeekモデルを活用した構成で動作し、公開されているオフェンシブセキュリティツールと連携して各種攻撃ステップを実行した。GreyNoiseはこのツールチェーンの詳細な構成については引き続き調査中としており、現時点では元記事に記載された範囲の情報が公開されている。


「空のワークスペースからドメイン管理者権限まで6時間」

このキャンペーンで際立つのは攻撃速度だ。

  • 空のワークスペースから実際の標的へのリモートコード実行(RCE)まで4時間未満
  • その2時間後にはドメイン管理者権限を取得
  • 自動化されたキャンペーン稼働後、26秒間で11組織が侵害
  • 米国内の高校では、初期アクセスからドメイン管理者権限取得まで7分

GreyNoiseは「AIが複雑なサイバーオペレーションの高速かつ効率的なオーケストレーションを可能にした」と記している。

ただし、エージェントがすべての場面で成功したわけではない。GreyNoiseの集計では、認証情報を窃取した被害組織が280件、OSやドメインの秘密情報を抜き取ったのが147件、ドメイン管理者権限の取得まで至ったのは12組織にとどまった。ドメイン管理者権限取得にかかった時間は最短5分、最長144分と幅があった。


「agents gone wild」——除外設定を無視したエージェントの誤動作

このキャンペーンで技術的に注目される点がある。攻撃者はロシア語話者とみられ、旧ソ連圏を中心に28カ国を攻撃対象から除外するリストを設定していた。ブラジル、トルコ、ナイジェリア、南アフリカなども除外対象に含まれていた。

ところがGreyNoiseの調査では、ロシア、中国、カザフスタン、パキスタンなど除外指定国でも被害組織が確認された。GreyNoiseはこれを「agents gone wild」と表現しており、自律的な反乱ではなく、自動化ツールが設定や制御の不備により操作者自身の意図から逸脱して動作した事例として位置づけている。

AIエージェントを用いた攻撃は効率を高める一方で、攻撃者の意図どおりに動作しないリスクも内包している点は、防御側にとっても攻撃者の挙動予測を難しくする要因となりうる。


被害の内訳——教育機関が突出

業種別では教育機関が204件と最多で、全体の半数超を占める。GreyNoiseはこれをPaperCutの顧客構成によるもので、意図的なターゲティングではないと分析している。小売、専門サービス、ホスピタリティがこれに続き、政府機関・医療・法律関連も一部含まれる。

国別では米国が98件でトップ、英国・フランス・スペイン・カナダが続く。

GreyNoiseは現時点でこの攻撃者の最終目的が「アクセス権の転売」なのか「データ窃取やランサムウェア展開」なのかは不明だとしており、引き続きキャンペーンを監視して侵害指標(IoC)を更新していく方針だ。


PaperCutを利用している組織は、Application Serverへのパブリックインターネットからのアクセスをすでに制限しているか確認するとともに、緊急パッチの適用状況を点検することが求められる。

詳細はAI agents exploited PaperCut flaws to breach 395 organizationsを参照していただきたい。