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Anthropic

Anthropicが評価額2兆ドル超でIPOへ — 「AIの速度を落とせ」と主張する創業者が公開市場に資金を求める

9月17日、Euronews.comが「Anthropic priced above $2 trillion as markets eagerly await IPO filing」と題した記事を公開した。AnthropicがIPO前評価額2兆ドル超に達し、市場が正式なS-1提出を待ち構えている状況について詳しく報じている。

9月17日、Euronews.comが「Anthropic priced above $2 trillion as markets eagerly await IPO filing」と題した記事を公開した。AnthropicがIPO前評価額2兆ドル超に達し、市場が正式なS-1提出を待ち構えている状況について詳しく報じている。


評価額は最後の調達ラウンドの2倍超

Anthropicは現在、IPO書類を秘密裏に提出済みで、上場先としてNasdaqを選択している。公開市場の投資家が財務諸表を目にするより前に、暗号資産市場のデリバティブトレーダーたちが独自の「値付け」を行っている状況だ。

直近の合意済み評価額は9,650億ドル(約836億ユーロ)。2025年5月末に完了したシリーズH(650億ドル調達、Altimeter Capital・Dragoneer・Greenoaks・Sequoiaが主導)で設定されたものだ。これ自体、2021年にDario・Daniela Amodei兄妹が設立した会社としては異例の数字だが、1年余り前の評価額が615億ドルだったことを踏まえると、約12カ月で約16倍という急騰ぶりである。

収益もほぼ同じ速度で拡大している。同社のAIアシスタント「Claude」の企業向け採用が牽引し、7月末時点の年換算売上高(ARR)は650億ドルを突破した。一方、損失も巨大で、フロンティアモデル(現時点で世界最高水準の性能を持つ大規模AIモデルの総称)のトレーニングコストを反映し、2025年の赤字は42億ドル近くに達したと報じられている。AmazonはAnthropicへの投資として最大330億ドルを確約しており、Anthropicは今後10年間でAWSテクノロジーに1,000億ドル超を支出することをコミットしている。

IPOの目標評価額は2兆ドルと報じられており、Goldman Sachs・JPMorgan・Morgan Stanleyが主幹事として600億ドル超の調達を目指す見込みだ。


暗号資産市場が先行して値付け中

正式なS-1提出を待つ間、唯一のリアルタイム価格が存在する場所がある。分散型デリバティブの最大プラットフォームであるHyperliquid上で取引されるIPO前永久先物(Perpetual Futures)だ。執筆時点での同市場の含意時価総額は約2兆1,500億ドルで、直近の高値は2兆3,600億ドルに達した。シリーズHの評価額の約2.2倍である。

マーケットメーカーDWF LabsのパートナーであるHeng Yu Lee氏は、このプレミアムについて「レバレッジではなく確信が反映されている」と述べる。

「レバレッジの有無にかかわらず、IPO前市場で取引している全員が、表示されている価格での本物の需要だ。プレミアムは、期待される収益数値や株式への市場需要といった公開情報を織り込んでいる」(Heng Yu Lee氏、Euronews取材)

ただし市場規模は小さい。24時間の取引高は約600万ドル、建玉(オープンインタレスト)は約3,100万ドルに過ぎない。Lee氏自身、「S-1公開前の現時点では、絶対的な価格に過度に依存すべきではない」と釘を刺しつつも、「価格の方向性は通常、企業に対するセンチメントの変化を正確に反映する」と述べる。S-1が公表された瞬間、株式市場が閉じている時間帯でもこのデリバティブが最初に反応し、価格と出来高が急変動することになる。


AI IPOが相次ぐ2026年の文脈

Anthropicの上場は、2026年を「AI IPOの年」として確定させるものとなる。

すでにチップメーカーのCerebras Systemsが5月にNasdaqへ上場した。ウェーハスケールプロセッサ(GPU1チップ分のウェーハ全体を1チップとして使う設計)でNvidiaの対抗馬と目されており、1株185ドル・調達額55億5,000万ドルで上場。初日の株価は89%高で寄り付き、約311ドルで初日を終えた。ただし直後の決算発表が期待を下回り、現在の評価額は約437億ドルと上場直後から大きく下落している。

続いてSpaceXが6月に上場し、850億ドル超を調達した。評価額は一時2兆8,000億ドルに達したが、現在は約1兆9,500億ドルに落ち着いている。

一方、OpenAIは今年の上場を見送った。Sam Altman CEOは「2026年の上場は得策でない」と発言し、2027年についても言質を与えなかった。現在の非公開評価額は8,520億ドル(2025年3月の1,220億ドル調達ラウンド時に設定)。


IPO直前のアンチクライマックス:「AIの速度を落とせ」

Anthropicが上場に向けて動く最中、Dario Amodei CEOは「We Must Pace the Frontier」と題した論考を公開し、AI企業が最先端モデルの改善速度を意図的に落とすべきだと主張した。提案の柱は、①フロンティアシステムへの社員レベルのアクセス権を持つ独立評価機関の設置、②民主主義国家間の安全基準の調整、③最も危険なカテゴリーの用途に関する国際協定の3点だ。

Sam Altmanはフロンティアのペースダウンへの同意を示し、Elon Muskも「Dario is right」と短く返した。一方、トランプ米大統領はアイルランド訪問中の発言でこれを一蹴した。

「我々はAIで中国をリードしている。誰がAIを制するかが勝者を決める」(Donald Trump大統領)

中国外務省もこの警告を「恐怖を煽るものだ」と批判した。この応酬を受け、SoftBank・Kioxia・SK Hynixの株価は翌月曜日に急落し、日韓の両社はそれぞれ6%超・4.3%超の下落を記録した。

Anthropicは「公共投資家にフロンティアAI開発の資金提供を求めながら、その開発速度を落とすべきと創業者が主張する」という緊張をはらんだ立場でIPOに臨むことになる。同社はペースダウンを停止とは位置づけておらず、「安全重視の企業こそフロンティアにいるべき」という主張を一貫して掲げている。だが、この論点はS-1のリスク要因セクションで市場から詳細に精査されることになるだろう。


詳細はAnthropic priced above $2 trillion as markets eagerly await IPO filingを参照していただきたい。