9月18日、Matthias Bastianが「OpenAI reportedly closes in on solving the Hodge conjecture, its second Millennium Prize Problem」と題した記事を公開した。OpenAIが数学の未解決難問「ホッジ予想」の解決に迫っているという。実現すれば、AIが初めて証明したミレニアム賞問題となる可能性がある。
ミレニアム賞問題とは何か
ミレニアム賞問題(Millennium Prize Problems)とは、クレイ数学研究所が2000年に選定した7つの未解決数学問題の総称だ。各問題の解決者には100万ドル(約1.5億円)の賞金が贈られる。本記事執筆時点でクレイ数学研究所が公式に認定した解決例はポアンカレ予想のみで、残る6問はいずれも世界中の数学者が長年挑み続けている難問である。
OpenAIが狙う2つ目のミレニアム賞問題
報道によれば、OpenAIはすでにナビエ–ストークス方程式(流体の運動を記述する偏微分方程式)の解決にも迫っているとされる。こちらはまだクレイ数学研究所による公式認定には至っておらず、同研究所の見解についても現時点では確認が取れていない点に留意が必要だ。
そして今度はホッジ予想だ。ホッジ予想は、代数幾何学の核心にある問題で、「複雑な幾何学的形状のある種の性質が、より単純な代数的な構成要素によって常に記述できるか」を問う。1950年に提唱されて以来、70年以上にわたって未解決のままだ。
事情に詳しい関係者によれば、OpenAI社内の従業員は近いうちに解決策が出ると見込んでいるという。ただし、発表のタイミングは遅れる可能性もある。
PR危機の教訓:ナビエ–ストークスの失敗
発表が慎重になっている背景には、ナビエ–ストークス問題をめぐるPR上の混乱がある。報道によれば、OpenAIの研究者が、数学上のブレークスルーに関する論文からAnthropicの共著者を外すよう数学者に圧力をかけたとされ、批判を浴びた。今回はメッセージを正確に伝えることを優先するとされている。
使用モデルと背景
ナビエ–ストークスの解決には、開発中の次世代事前学習モデル(コードネーム「Doug」)のバリアントが使われたとされており、そのコストは数百万ドル規模と推測されている。
チーフリサーチャーのJakub Pachockiは以前、OpenAIは数学よりも再帰的自己改善(AIが自身を最適化するプロセス)を優先すると述べていた。しかし社内では、こうした数学問題の解決がその再帰的自己改善に貢献し得るという見方もあるようだ。OpenAIが数学の難問解決から何を得ようとしているのか、明確な説明はまだない。
数学コミュニティの反応
一方、数学者コミュニティの反応は「感銘を受けた」よりも「怒っている」に近い。一部の数学者はAIが自分たちの分野全体を脅かしていると見ており、The Decoder の別記事では「AIは数学の分野を愚かにしている」と警告する著名数学者たちの声も紹介されている。
ホッジ予想が実際に解決されれば、AIによって初めて証明されたミレニアム賞問題となる可能性がある。数学の構造そのものを扱う問題でのブレークスルーが、AIの自己改善ループにどう接続されるのかは、現時点では不明だ。
詳細はOpenAI reportedly closes in on solving the Hodge conjecture, its second Millennium Prize Problemを参照していただきたい。




