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MCPが「ツールを呼ぶ」から「エージェントを呼ぶ」へ — 共同創設者がエージェント間通信を次の中核と明言

9月17日、The Stackが「MCP team focused on "agentic messaging" says co-creator」と題した記事を公開した。Linux Foundationがアムステルダムで開催した初のMCPCon Europeにて、MCPの共同創設者がエージェンティックメッセージングへの注力という開発方針を明言した。MCPがこれまでの「AIがツールを呼ぶ」用途から「AIがエージェントを呼ぶ」用途へと軸足を移しつつある——その転換を正面から示した発言として注目される。

9月17日、The Stackが「MCP team focused on "agentic messaging" says co-creator」と題した記事を公開した。Linux Foundationがアムステルダムで開催した初のMCPCon Europeにて、MCPの共同創設者がエージェンティックメッセージングへの注力という開発方針を明言した。MCPがこれまでの「AIがツールを呼ぶ」用途から「AIがエージェントを呼ぶ」用途へと軸足を移しつつある——その転換を正面から示した発言として注目される。


「ツールを呼ぶ」から「エージェントを呼ぶ」へ

Anthropicのテクニカルスタッフメンバーであり、MCP(Model Context Protocol)の共同創設者でもあるDavid Soria Parra氏は、MCPCon Europeの基調講演に登壇し、MCPチームの現状認識と今後の方針を率直に語った。

「人々は単にツールを呼び出したいのではなく、MCPクライアントからフル機能のエージェントそのものを呼び出したいと思っている」

この発言が象徴するのは、MCPの使われ方が設計当初の想定を超えて拡張されてきた現実だ。MCPはもともと、AIモデルが外部ツールやデータソースと標準的な方法でやり取りするための仕様として設計された。現在はClaude、Cursor、その他多数のAIクライアントが採用しており、急速に普及が進んでいる。しかし実運用では、単一のエージェントが外部ツールを叩くシンプルな構成にとどまらず、エージェントが別のエージェントを呼び出すマルチエージェント構成のニーズが高まっている。

Soria Parra氏はこの変化を踏まえ、「エージェンティックメッセージング(agentic messaging)」をMCPの中核に据える方向で開発を進めると明言した。目標は、MCPをAIクライアントとエージェントを接続するデファクトのプロトコルとして確立することだ。


エージェンティックメッセージングの技術的意義

現状のMCPは、比較的シンプルなリクエスト/レスポンス型の通信が主体だ。クライアントがツールを呼び出し、結果を受け取るという1往復の通信モデルは、単純なツール呼び出しには十分機能する。しかし、エージェントが別のエージェントを呼び出し、その処理が数秒から数分、場合によってはそれ以上続くようなマルチエージェント構成では、このモデルには構造的な限界がある。

そこでMCPチームが拡充を進めているのが、MCPのタスク拡張(MCP Tasks extension)だ。この拡張は長時間実行される操作(long-running operations)をプロトコル越しに扱えるようにすることを目的としており、エージェント間の非同期通信を標準化するための基盤となる。

エージェンティックメッセージングが整備されることで、あるエージェントが別の専門エージェントに処理を委譲し、完了通知を受け取るといった構成をMCPの標準的な作法で実装できるようになる。これはマルチエージェントシステムの構築コストを大きく下げる可能性を持つ変更だ。


認可・アイデンティティ管理も課題に

Soria Parra氏はエージェンティックメッセージング以外にも、今後のリリースで取り組む方針として以下の点を挙げた。

  • リッチなセマンティクスの追加:プロトコルが伝達できる意味情報を豊かにする。たとえばツール呼び出しの意図・優先度・依存関係といったメタ情報をプロトコル上で表現できるようにし、エージェント間の文脈共有を改善することが狙いだ
  • 認可(Authorization)とアイデンティティ(Identity)の整備:本番環境で動くエージェントの権限管理や身元確認をプロトコルレベルで標準化する

特に認可とアイデンティティの整備は、エージェンティックメッセージングと表裏一体の課題だ。エージェントが自律的に動作し、外部サービスや他のエージェントを呼び出す場面が増えれば、「どのエージェントが何をしてよいか」という権限の境界を明確にしなければセキュリティリスクが高まる。現状、この領域はアプリケーション側の実装に委ねられるケースが多く、プロトコルレベルでの標準化が求められていた。ここをMCP仕様として規定することで、マルチエージェントシステムの本番運用を安全に進めるための共通基盤を提供しようという意図が読み取れる。


Linux Foundation移管後、初の公開ロードマップ提示

MCPは2025年3月にLinux Foundationへの移管が発表された。今回のMCPCon Europeは、その移管発表後に開催された初の大規模な公式イベントにあたる。Linux Foundation傘下でのガバナンス体制への移行プロセスは継続中であり、移管の完了時期については引き続き公式発表を待つ必要がある。

イベントにはMCPの採用企業や開発者コミュニティから多数が参加しており、共同創設者が直接ロードマップを語った場として、MCPを採用・検討しているエンジニアにとって一次情報として価値が高い。エージェンティックメッセージングへの注力が公式に明確化されたことで、MCPをマルチエージェント構成の通信基盤として位置づけていく開発チームの意図が改めて示された形だ。


詳細はMCP team focused on "agentic messaging" says co-creatorを参照していただきたい。