9月19日、TechSpotが「Almost 86% of Japanese game developers are using AI in their workflows, up from 51% in 2025」と題した記事を公開した。日本のゲーム開発者における生成AI活用率が、前年の51%から85.8%へと急増したことを示す調査結果を詳報している。
1年で51%→85.8%:急増する日本のゲーム開発現場でのAI活用
2026年東京ゲームショウにて、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が実施した調査の速報結果が公開された。CESAは国内ゲーム産業を代表する業界団体であり、東京ゲームショウの主催者としても知られる。調査によると、日本のゲーム開発者の**85.8%**が生成AIをゲーム開発プロセスに活用していると回答している。
内訳を見ると、63%が毎日AIツールを使用しており、残りの22.8%は「時々使う」と回答。昨年の同調査では利用率が51%にとどまっていたことを踏まえると、わずか1年で34ポイント超の増加という急激な普及ぶりだ。
調査対象はCapcom、Sega、Level-5、Konami、Square Enix、Koei Tecmo、SonyといったCESAの主要加盟企業の開発者たち。日本を代表するスタジオが名を連ねており、業界全体の実態を反映した結果といえる。
なお、経済産業省の推計によれば日本のゲーム産業は国内コンテンツ産業の中でも特に規模が大きい分野であり、こうした大手スタジオの動向は業界全体への波及効果も大きい。
使い方は「補助」に限定 AIに主導権は渡さない
興味深いのは、AI活用の実態だ。AIが生成したコードをそのまま本番環境に用いる開発者はほぼゼロであり、現場でのAI活用は主に以下の用途に限定されているという。
- デバッグ・エラー修正
- 自動テスト
さらに、AIが出力した内容はすべて「人間の開発者が確認・修正・監督」することが徹底されており、各スタジオが使用できるAIツールや活用範囲を社内ルールで制限しているとのことだ。創造的な意思決定と最終的な品質判断は人間が担うという姿勢が、調査結果からも浮かび上がる。
この傾向は日本固有の慎重さによるものだけではなく、GitHubが公表したCopilot関連の調査や海外の開発者コミュニティにおけるベストプラクティスとも軌を一にしている。「生成AIはあくまでアシスタント」という認識は、プロフェッショナルな開発現場では国際的にも共通しつつある。
開発者が感じるメリットは「効率化」「開発期間の短縮」「コスト削減」
速報版(詳細レポートは2026年12月公開予定)では、AI活用による主なメリットとして以下が挙げられている。
- 業務効率・生産性の向上
- 開発サイクルの短縮
- 開発・運用コストの削減
CESA事務局長の増田勉氏は、今年の調査結果が開発環境における生成AI活用の拡大を明確に示していると述べる一方で、「新技術の導入にあたって知的財産権を損なってはならない」と釘を刺している。IPリスクへの警戒は、日本の大手スタジオが慎重な姿勢を維持する背景にある。
この点は国内の法整備の動向とも無関係ではない。日本では文化庁が生成AIと著作権に関するガイドラインの整備を進めており、ゲームキャラクターやアセットのIP保護に敏感な大手スタジオが慎重な社内ルールを設ける背景には、こうした法的不確実性も影響していると考えられる。
ゲーム業界が先行する「AI補助開発」の定着
今回の調査はゲーム業界に特化したものだが、その結果はソフトウェア開発全般における傾向とも一致する。Stack Overflowの開発者調査2024でも、AIツールの業務利用は急速に広がる一方で、出力をそのまま採用するケースは少数派にとどまるという結果が示されており、今回のCESA調査の構図と重なる部分が多い。
ゲーム開発はグラフィック生成・シナリオ執筆・デバッグ・QAなど工程が多岐にわたるため、AIが補助できるポイントも多く、他のソフトウェア領域に比べて採用率が高くなりやすい土壌がある。一方で、ゲームの品質はユーザー体験に直結するため、AIへの過度な依存を避ける姿勢も自然に根付きやすい業界といえる。
ただし、現時点で公開されているのはあくまでも速報版であり、具体的な活用方法の詳細や定量的なデータは12月の完全版レポートを待つ必要がある。
詳細はAlmost 86% of Japanese game developers are using AI in their workflows, up from 51% in 2025を参照していただきたい。




