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ビジネス・マーケット

OpenAI・Microsoft・Googleのデータセンターを建てる専業スタートアップCrusoeが約5,700億円を調達 — 契約総額はすでに1,400億ドル超

9月18日、SiliconANGLEが「AI data center builder Crusoe valued at $30.9B in $3.9B round」と題した記事を公開した。AIデータセンター構築を手がけるCrusoe Inc.がシリーズFラウンドで39億ドル(約5,700億円、1ドル≒146円換算)を調達し、時価総額309億ドルに達したという内容だ。

9月18日、SiliconANGLEが「AI data center builder Crusoe valued at $30.9B in $3.9B round」と題した記事を公開した。AIデータセンター構築を手がけるCrusoe Inc.がシリーズFラウンドで39億ドル(約5,700億円、1ドル≒146円換算)を調達し、時価総額309億ドルに達したという内容だ。


天然ガスのムダを電力に変えるビジネスから、AI専業建設会社へ

Crusoe Inc.は、デンバーを拠点にAI向けデータセンターの構築を専業とするスタートアップだ。同社の起点は意外なところにある。創業当初は油田・ガス田で廃棄されていた随伴ガス(フレアガス)を燃やして発電し、その電力でビットコインをマイニングするビジネスを手がけていた。エネルギーの無駄をコンピューティングに転換するという発想が原点にある。その後、AI向けインフラ需要の急拡大を見越してデータセンター建設・運営へと軸足を移した経緯がある。

創業時から「エネルギーと計算資源を自分たちでコントロールする」という思想が根付いており、これが後述する垂直統合モデルへと自然につながっている。


OracleがOpenAI向けに使用する巨大キャンパスを建設中

今回のシリーズFラウンドはAtreides Management、Mubadala Capital(アブダビの政府系ファンド)、Valor Equity Partnersが主導し、Nvidia・Salesforce Ventures・Robinhood Ventures Fundを含む20社以上が参加した。

Crusoeの事業規模を最も端的に示すのが、テキサス州アビリーンで建設中の1.2ギガワットのAIキャンパスだ。OracleがこのキャンパスをOpenAIのワークロード向けに使用する契約を結んでいる。同社はCrusoeが建設した施設をOpenAIへ提供するという構造であり、CrusoeはあくまでもOracleの発注を受けた建設・運営主体である点には注意が必要だ。さらに近隣ではMicrosoftのための900メガワット規模の施設も建設中で、Wall Street Journalの報道によればテキサス州でGoogleのキャンパスも手がけているという。

契約済みのデータセンター容量は合計で6ギガワット超に達しており、契約総額は1,400億ドル以上と開示されている。このスケールの大きさこそが、今回の巨額調達の背景にある最大の根拠だ。


電気部品から自社製造する垂直統合モデル

Crusoeのビジネスモデルで際立っているのは、データセンターを動かす電気部品の多くを自社生産している点だ。電力の流れを制御するインダストリアルコントローラーや回路遮断器、防塵・防水仕様の収納キャビネットまで内製化している。エネルギー事業から育てたサプライチェーン管理の知見が、このモデルを支えていると言える。

また、フルサイズのデータセンターを必要としない顧客向けには、「Spark」と呼ばれるコンテナサイズのコンピューティングモジュールを提供している。GPU・ストレージ・冷却システムをひとつの筐体に収め、衛星通信を内蔵することで地上の通信インフラが整っていない場所でも稼働できる設計になっている。


クラウドプラットフォームの収益が1年で20倍超——核心はManaged Inferenceの急成長

データセンター建設に加えて、CrusoeはCrusoe CloudというAI最適化クラウドプラットフォームも展開しており、過去1年で年間換算収益が20倍超に成長したと同社は述べている。今回の調達で最も注目すべきポイントは、この建設事業と1,400億ドルの契約総額という受注規模に、クラウドプラットフォームの急拡大が重なっている点だ。ハードウェアの建設から運営・ソフトウェアまでを一気通貫で押さえる垂直統合モデルが、単なる建設請負とは異なる評価を引き出している。

成長を牽引しているのが「Managed Inference」と呼ばれるサービスだ。ユーザーはハードウェアを管理することなくAIモデルを実行できる。内部ではMemoryAlloyというソフトウェアエンジンが推論効率を高めている。MemoryAlloyはCrusoeが独自に開発したエンジンで、モデルが頻繁に再利用するデータをKVキャッシュとして保持することでリクエストごとの再計算を省き、一部のワークロードではスループットを5倍に向上できると主張している。Managed Inferenceはローンチから1年以内に年間経常収益(ARR)が1億ドルを突破した。

さらに「Serverless Fine-Tuning」も提供しており、開発者がオープンソースのAIモデルをカスタマイズできる。Amazon S3などからトレーニングデータを取り込み、Vast Data製のストレージ上に保管する構成で、ペタバイト規模のデータに対応するとされている。


AIインフラ投資の過熱を映す調達額

今回の調達は、AI基盤への投資が2025〜2026年にかけていかに急拡大しているかを示す一例だ。OpenAI・Microsoft・Googleといった大手が自社だけでは対処しきれないデータセンター需要を抱え、Crusoeのような専業プレイヤーへ外注する構図が明確になってきている。エネルギー管理から部品製造・建設・クラウド運営までを一社で完結させる垂直統合モデルは、この需要過熱の中で強い競争優位として機能しつつある。

詳細はAI data center builder Crusoe valued at $30.9B in $3.9B roundを参照していただきたい。