9月19日、mixed-news.comが「ChatGPT Plus and Pro stop switching to Thinking for you, and GPT-5.5 retires October 14」と題した記事を公開した。ChatGPTの推論モードが静かに変わった。「もっとよく考えて」と促しても自動でThinkingへ切り替わらなくなり、モデルの退役・価格プランの再編も同時進行している。一連の変更が重なったことで、特にCodexを日常的に使っている開発者には実務的な対応が求められる局面だ。
「もっと深く考えて」と頼んでも、もうThinkingに切り替わらない
9月14日、OpenAIはChatGPT Plus・Proユーザー向けに、「InstantからThinkingへの自動切替」機能をグローバルで廃止した。OpenAIのリリースノートおよび変更履歴に記載されている。
これまでPlus・Proユーザーは、ChatGPTがプロンプトの複雑さを自動判断してThinkingモードへ切り替えるという挙動に慣れていたはずだ。Thinkingモードとは、回答を出力する前にモデルが内部で推論ステップを展開し、より精度の高い答えを導くいわゆる「遅い思考(Slow Thinking)」の動作モードを指す。この利便性が失われ、今後はモデルピッカーから手動で思考レベルを選ぶ必要がある。
GPT-5.6に関するOpenAIのヘルプ記事には、変更内容が明記されている:
「ChatGPTに『もっとよく考えて』や『深く考えて』と伝えても、自動的に別の思考レベルに切り替わることはない。」
OpenAIは変更理由を一切説明していない。なぜこの変更が重要かといえば、「自然言語で操作できる」というChatGPTの基本的な使用感に手が入ったからだ。これまでユーザーは思考レベルを意識せず会話の流れで調整できていたが、今後は能動的にモデルピッカーを操作する前提でワークフローを組み直す必要がある。
あわせて、Webアプリの「Higher intelligence(高度な知性)」設定もPlus・Pro双方から削除された。ただし安全上の目的では自動切替が引き続き行われる。
プランごとの思考レベル
現在の思考レベル(Thinkingスライダー)は以下の構成だ:
- Instant / Medium / High / Extra High:いずれもGPT-5.6 Sol搭載。GPT-5.6 Solは高速・高精度を両立させた最新の汎用モデルで、思考レベルの段階に応じて推論の深さが変わる
- Pro level:Proモデルを使用。Extra Highを超えるフル推論枠
- Plusが使えるレベル:MediumとHighのみ
- Pro・Business・Enterprise:全レベルが利用可能
- Free・Goユーザー:「Thinkボタン」が代替として提供され、小型モデルGPT-5.6 Lunaが動作する。GPT-5.6 Lunaはリソース効率を重視した軽量版に位置づけられる
- Business:Settings > General内でHigher intelligence設定を引き続き利用可能
GPT-5.5、10月14日にChatGPTから退役——APIは対象外
ここで、直近のモデル世代交代の流れを整理しておきたい。OpenAIは今夏を通じてモデルの統廃合を進めており、GPT-4.5は6月26日にChatGPTから退役し、そのユーザーの会話データはGPT-5.5へ引き継がれた。その後GPT-5.6が正式公開され、今度はGPT-5.5が同じ流れをたどる形となった。つまり「GPT-4.5退役→GPT-5.5への引き継ぎ→GPT-5.6公開→今度はGPT-5.5が退役」という世代交代のサイクルが繰り返されている。
変更履歴によれば、GPT-5.5は10月14日にChatGPT上の全プランから退役する。対象はコンシューマー、Business、Enterprise、Eduプランすべてを含む。
重要なのは、OpenAI APIはこの退役の対象外である点だ。APIユーザーはGPT-5.5を引き続き利用できる。
一方、Codex CLIを通じてChatGPTにサインインしているユーザーは、gpt-5.5からgpt-5.6-solへの移行が求められている。Codex CLIとはOpenAIが提供するコマンドライン上のAIコーディング支援ツールで、モデルを明示的に指定して使う開発者も多い。更新が必要なものは以下だ:
- 保存済みのモデル設定
- カスタムエージェント
- スケジュールタスク
gpt-5.5を指定しているスクリプト
Codexスクリプトをgpt-5.5に固定しているユーザーには10月14日までに1行を書き換える猶予がある。
なお、Codexの派生モデルであるGPT-5.3-Codex-Sparkはすでに9月14日に非推奨となっており、ChatGPTデスクトップアプリ、Codex CLI、IDEエクステンションから研究プレビューが削除済みだ。
GPT-6 Proのメッセージ上限も公開
同記事ではGPT-6 Proの利用枠も明かされた。GPT-6 ProはOpenAIの最新モデル「GPT-6 Astra」(9月3日発表)で動作する。GPT-6 Astraはこれまでの5系モデルとは世代が異なる最上位モデルで、現時点ではProプラン経由でのみアクセスできる。
ここで補足が必要なのが、Pro $200とPro $100という二段階のProプランが存在する点だ。OpenAIは2025年に入ってPro層を価格帯で分割しており、$200プランが従来のフルアクセス版、$100プランがより手頃なエントリー寄りの位置づけとなっている。Chatでの各プランの上限は以下の通りだ:
- Pro $200:週200メッセージ(GPT-5.6 Sol Pro向けに別途デイリー枠あり)
- Pro $100:週50メッセージ(GPT-5.6 Sol Proと共有)
- Business Standard:月15メッセージ(共有)
- Business Premium:週50メッセージ(共有)
Pro $200ユーザーが週の上限に達した場合、ChatGPTは自動的に「GPT-5.6 Thinking at Medium」へ切り替わる。
ただし現在、Pro $200への新規登録・アップグレードは9月10日から一時停止中だ(OpenAIのProティアページより)。既存のPro $200サブスクリプションは通常通り更新され、Pro $100は影響を受けない。
詳細はChatGPT Plus and Pro stop switching to Thinking for you, and GPT-5.5 retires October 14を参照していただきたい。




