9月28日、CNBCが「AMD acquiring Fei-Fei Li's World Labs AI firm in deal worth $8.2 billion」と題した記事を公開した。この記事では、AMDがAI研究者フェイフェイ・リーの設立したWorld Labsを82億ドル(全株式交換)で買収することで合意したことについて詳しく紹介されている。
AMDにとって史上2番目の大型買収
AMDは、サンフランシスコに拠点を置くAIラボ「World Labs」の買収を月曜日に発表した。買収額は約82億ドルの全株式交換。AMDとしては、2022年のXilinx買収(約500億ドル)に次ぐ、過去2番目の規模の買収となる。なお、AMDはすでにWorld Labsへの出資実績があった。
World Labsが開発しているのは「ワールドモデル(world model)」と呼ばれるAIモデルだ。ワールドモデルとは、3次元の物理環境をデジタル上でシミュレートすることを目的としたAIモデルの総称で、ロボットや自律走行車など物理世界と紐づくAIアプリケーションの開発に活用できると期待されている。ワールドモデルの概念や研究動向についてはStanford HAIの解説も参考になる。Li自身も発表の場でこう述べている。
「ロボットや車両、あるいはツールであっても、インテリジェントエージェントは実世界に投入される前に、物理法則を反映したリッチなデジタル世界の中で学習できる。それにより、大幅に安全性が高まる」
Fei-Fei LiがAMDの最高科学責任者に
World Labsを創設したのは、AIの先駆者として知られるスタンフォード大学教授のフェイフェイ・リー(Fei-Fei Li)だ。大規模画像データセット「ImageNet」の構築を主導した中心人物であり、現代のディープラーニングブームの礎を築いた研究者として知られる。ImageNetは複数の研究者による共同プロジェクトだが、リーはそのプロジェクトリーダーとして構想・立ち上げを牽引した。かつてGoogleでAI研究を統括した経歴も持つ。
買収後、リーはAMDの最高科学責任者(Chief Scientist)兼エグゼクティブ・バイス・プレジデントに就任する。AMD CEOのリサ・スー(Lisa Su)とリーは今年初め、World Labsのモデル「Marble」が複数の画像から3Dシーンを生成するデモを共同で披露している。
リーは月曜日のSNS投稿でスーを「親友」と呼び、次のように書いた。
「私たちのミッションは揺るぎない。数十年にわたって持続できる、世界最高水準のフロンティア研究組織を作り続けることにこれまで以上に胸が躍る」
AMDは取引完了まで、World Labsをチップ製造事業とは独立した組織として維持する方針だ。ワールドモデルの研究成果は、AMDが数年先のAIチップに求められる性能要件を先読みするうえでも活用される想定だという。
大手テック企業が相次ぐAI人材・組織の獲得
今回の買収は、テック大手が研究・エンジニアリング人材の確保に巨額を投じているトレンドの一環でもある。
- OpenAI:ジョニー・アイブのAIデバイス新興企業「io」を約64億ドルで買収(昨年)
- Meta:Scale AIの少数株主持分を140億ドルで取得(2025年)、創業者のアレクサンドル・ワングを新AI部門のトップに迎える
※元記事に記載のある競合他社の動向は上記の通り。なお、Nvidiaによる買収事例については元記事での記述が確認できなかったため、本稿では割愛した。
AMDがNvidiaに対してAI推論チップ市場での巻き返しを狙う中、ソフトウェア・研究資産の強化は不可欠な課題となっている。World Labsの買収は、チップ単体の性能競争から一歩踏み込んだ動きと見ることができる。
詳細はAMD acquiring Fei-Fei Li's World Labs AI firm in deal worth $8.2 billionを参照していただきたい。




