10月5日、OpenAIが「Building advertising for the way people use AI」と題した記事を公開した。ChatGPT内に新たなビジュアル広告フォーマットを導入し、計測ツールとパートナーシップを拡充する取り組みを詳述している。初期パートナーからはすでに具体的な成果が報告されており、WeightWatchersでは獲得単価が15.3%低下、Doseでは増分購入の67%が新規顧客という数字が出ている。
週間12億ユーザーを広告媒体へ
OpenAIは、ChatGPTを広告媒体として本格的に整備しはじめた。ChatGPTの週間ユーザー数は12億人に達しており、同社は自社の発表のなかでChatGPTを「世界最大のAIネイティブ消費者プラットフォーム」と位置づけている。サブスクリプション収益だけでなく広告収益も取り込むことで、より広い市場にリーチするビジネスモデルへの移行が明確になった。
広告収入をAIサービスの資金源とする構造は、GoogleやMetaが検索・SNSで確立したモデルと同じ方向性だ。ただしOpenAIは「広告がChatGPTの回答に影響しない」という原則を明示しており、ユーザー体験との分離を強調している。
GoogleがAI Overviews(旧SGE)内に広告を統合する実験を進めているように、AIアシスタントへの広告組み込みは業界全体のトレンドでもある。OpenAIはその競争に、独自の計測インフラとブランドセーフティ基準を整備した上で参入する形だ。
新ビジュアル広告フォーマット:画像生成時に表示
今回の目玉は、ChatGPTの画像生成機能と連動する新しいビジュアル広告フォーマットだ。
ユーザーが画像を生成している際に、商品の使用シーンやライフスタイルを訴求する画像広告が表示される。広告には明確なラベルが付き、ユーザーが生成中の画像とは切り離して表示される。テストは今月中に米国の一部広告主から開始される予定だ。
テキスト中心だった従来のChatGPT広告に比べ、ビジュアルで商品を訴求できる点は広告主にとって大きな変化だ。
計測ツールとパートナーエコシステムの拡充
広告効果の計測インフラも大幅に整備された。主な内容は以下のとおり。
- コンバージョンデータ連携:Hightouch(カスタマーデータプラットフォーム)、Tealium(タグ管理・CDPツール)、LiveRamp(データコラボレーション基盤)との統合により、広告主が既存システムからChatGPT Adsにコンバージョンデータを送信しやすくなった
- アトリビューション(効果帰属)パートナー:AppsFlyer、Adjust、Singular、Kochava、Branch、Triple Whale、Northbeam、DV Rockerbox、Airbridge、Tenjinと連携。これらはいずれもモバイル・Webマーケティング向けのアトリビューション計測プラットフォーム(MMP)大手で、Conversions API・クリックアトリビューション・レポーティングに対応する
- インクリメンタリティ計測:Haus、Measured、WorkMagicと協力し、地理ベースの実験(ジオ実験)で広告の因果的な効果を検証中。「どれだけ売上に貢献したか」をより正確に把握するための取り組みで、現時点では初期段階
初期パートナーからの成果として、具体的な数字も公開されている。
- WeightWatchers:DV Rockerboxによると、ChatGPT Ads経由の獲得単価(CPA)はペイドサーチのブレンドベンチマーク比で15.3%低下
- Dose(ウェルネスブランド):WorkMagicの計測で統計的に有意なリフトを確認。増分購入の67%が新規顧客
- Portland Leather:Triple Whaleによると、ChatGPT Ads経由訪問者の93%が新規ユーザー
ブランドセーフティと掲載環境の透明化
広告主が懸念するのは、自社ブランドがどのような会話の文脈に隣接して表示されるかだ。OpenAIは「感情的に傷つきやすい状況」「センシティブな文脈」では広告を表示しない掲載ガードレールを設けているとし、自動審査・人間によるモニタリング・継続的な改善を組み合わせて運用するとしている。
さらに、**DoubleVerify(DV)とIntegral Ad Science(IAS)**とブランドセーフティ評価のパイロットを開始する。両社はデジタル広告業界における独立した第三者計測機関として広く知られており、広告の掲載品質やブランドセーフティを客観的に評価することを専門とする。今回のパイロットではユーザーの会話データにはアクセスせず、制御されたテスト環境でOpenAIのブランドセーフティ基準がどう適用されているかを評価する。
また、特定ブランドの独自ポリシーに合わせたネガティブフレーズ機能(特定のキーワードが含まれる会話への広告掲載を除外する機能)も一部広告主向けに提供開始された。
OpenAIの広告ビジネスはどこへ向かうか
今回の発表は、OpenAIが広告を「ミッション達成のための資金調達手段」として位置づけている点が特徴的だ。「ChatGPTの回答は独立性を保つ」「会話はプライベートのまま」「ユーザーが体験をコントロールする」という3原則を繰り返し強調している。
一方、AIアシスタント内での広告表示はユーザー体験との緊張関係を生みやすく、どこまで許容されるかは今後の利用者の反応次第でもある。
広告出稿はads.openai.comから申し込める。
詳細はBuilding advertising for the way people use AIを参照していただきたい。




