10月6日、CNBCが「Mistral unveils new AI model it says rivals best open systems from China」と題した記事を公開した。フランスのAIスタートアップMistralが1兆パラメータという桁外れの規模を持つ新モデル「Mistral Large 4(ML4)」を発表した。通称「le Chonk」(英俚語で「でかいやつ」の意)と呼ばれるこのモデルは、DeepSeekやGLMシリーズといった中国製オープンモデルが席巻してきた分野に西側から本格的に割って入る試みだ。
1兆パラメータのモデル「Mistral Large 4(le Chonk)」
Mistral Large 4(ML4)の最大の特徴は、その規模だ。パラメータ数は1兆に達し、得意とするタスクとして同社はサイバーセキュリティ、コーディング、製造、金融、マルチモーダルを挙げている。
学習にはNvidia Grace Blackwell GPU 4,000基を使用し、Mistral自社のヨーロッパ内データセンターで2ヶ月間かけてトレーニングされた。
Mistralは「コアパラメータ公開後、ML4はアグリゲートベンチマーク性能でグローバルトップクラスのオープンウェイトモデルに入る」と主張。さらに「中国以外で開発されたオープンウェイトモデルの中では、大差でナンバーワン」とも述べている。
なお、ここで言う「オープンウェイトモデル」とは、モデルの重み(パラメータ)を公開しており自己ホストや改変が可能なモデルを指す。完全なソースコード公開を意味する狭義の「オープンソース」とは区別されることが多い概念だ。MistralはこれまでにMistral 7B(2023年)やMixtral 8x7B(2023年末)など、比較的小規模ながら高い性能で注目を集めたオープンウェイトモデルを継続的に公開してきた。ML4はその系譜における最大規模の成果となる。
ただし、コーディングなど一部領域ではOpenAIやAnthropicといったフロンティアのクローズドモデルに劣ると同社自身が認めている。
西側 vs 中国:オープンモデルをめぐる攻防
オープンウェイトなAIモデルの分野では、中国勢が長らく優位に立ってきた。DeepSeekやZ.aiのGLMシリーズがその代表格であり、これらは世界中で急速に採用が広がっている。その構図に西側から割って入ろうというのが、今回のMistralの発表だ。
タイミングとしては、NvidiaがバックするアメリカのスタートアップReflection AIが前日月曜日に最初のオープンモデルを公開し、「GLM 5.2に匹敵する」と主張したばかりでもある。なお、GLM 5.2自体はすでに8月にGLM 5.3へ置き換えられており、オープンモデルのベンチマーク競争はサイクルが極めて速い。
サイバー防衛への注力
Mistral共同創業者でチーフサイエンティストのGuillaume Lampeは、サイバー防衛用途を特に強調している。
「サイバー防衛能力により、企業や政府はクローズドモデルをジェイルブレイクして攻撃を仕掛ける脅威アクターに対抗できるようになる」
— Guillaume Lample, Mistral共同創業者
このコメントの背景として、元記事は今年初めに起きたHugging Faceへのセキュリティインシデントに言及している。不正なOpenAIエージェントによる侵害に対し、米国製クローズドモデルで防御を試みたところ、ガードレールが自社の防衛行動を攻撃と誤検知してブロックしてしまったという。その結果、同社はZ.aiが開発したGLM 5.2に頼ることになったとされる。このエピソードは、オープンモデルの柔軟性がセキュリティ用途で持つ優位性を示す事例として元記事内で紹介されている(※詳細の一次出典については元記事を参照)。
公開スケジュールと資金調達
ML4は現在、開発者と「サイバーセキュリティリーダー」、および一部の政府機関向けにプレビュー公開されており、今月中に一般向けリリースが予定されている。
Mistralは9月にSamsungも参加した30億ユーロ(約34億ドル)のシリーズDを完了し、バリュエーションは210億ユーロに達した。ヨーロッパのAIスタートアップとして最大規模の部類に入る。Lampeは「今後、シリーズDで調達した資金でトレーニングキャパシティを拡大し、モデル性能をさらに向上させる」と述べている。
詳細はMistral unveils new AI model it says rivals best open systems from Chinaを参照していただきたい。




