10月7日、TechSpotが「AMD vows to massively increase AI chip supply in 2027 as demand surges」と題した記事を公開した。AMDのCEO・リサ・スー氏が2027年に向けたAIチップの大幅増産を正式に宣言し、株価は年初来約194%上昇——AI向けGPU市場でNvidiaが圧倒的シェアを握る中、AMDがどこまで供給力を積み増せるかが業界の最大の注目点となっている。
AMDが2027年の大幅増産を宣言
AMDのCEO、リサ・スー(Lisa Su)氏が台湾・台北で記者団に対し、2027年に向けてAIチップ供給を大幅に増加させる方針を明言した。AMDは2026年を通じて供給量を段階的に引き上げており、2027年はさらにその規模を拡大するとしている。
この発表を受け、AMDの株価は記事公開時点で3.98%上昇し、1株あたり656.84ドルで取引されている。年初来の上昇率は**約194%**に達しており、AI関連銘柄への市場の期待の高さが数字に表れている。
現在、AI向けGPU市場ではNvidiaがH100や後継のB100シリーズで圧倒的なシェアを有している。AMDはデータセンター向けGPUとしてInstinct MIシリーズ(MI300X等)を展開しており、Nvidiaへの対抗馬として注目を集めているが、供給力の差が依然として大きな課題とされてきた。今回の増産宣言は、その課題への直接的な回答と位置づけられる。
サプライチェーン調整のためFoxconnと会談、TSMCやメモリ各社とも協議へ
スー氏の台湾訪問の目的は、CPUおよびGPU生産に関わるサプライチェーンの調整だ。Reutersによれば、すでにFoxconnとの会談を終えており、近くTSMCとも直接協議を行う予定という。また、メモリ供給の確保に向けて韓国のメモリメーカーとも今週中に対面で交渉する計画が組まれている。
AIチップの性能を左右するのはGPUコアだけではない。大量のデータを高速処理するためには、チップに積層されるHBM(High Bandwidth Memory)と呼ばれる広帯域メモリが不可欠であり、SK HynixやSamsungといった韓国メモリ大手が主要サプライヤーとなっている。また、AMDのチップはTSMCの先端プロセスで製造されるため、TSMCとのウェーハ確保交渉もチップ供給量を直接左右する。今回のスー氏による対面交渉は、こうしたサプライチェーン全体を一気に動かすための動きといえる。
なお、TSMCおよびメモリ各社との交渉は記事公開時点では「予定」段階であり、合意内容が明らかになったわけではない点は留意が必要だ。
サプライチェーン逼迫が続く背景
AMDがここまで積極的に供給増強を打ち出す背景には、AIブームによる深刻な部品不足がある。過去数年でサプライチェーンへの負荷は著しく高まり、コンシューマー向けエレクトロニクス全般の価格が高騰している状況だ。
記事中ではその具体例として以下が挙げられている:
- PlayStation 5 Pro:2020年11月の発売時は700ドルだったが、GTA VIの来月リリースを前に、GameStopが中古品をその約2倍の価格で販売中
- HP OmniBook 5:Apple MacBook Neoへの対抗として今月発表されたエントリーノートPCだが、ベース構成のメモリはわずか8GB——AIブーム前の廉価機に搭載されていた容量の半分程度
これらはいずれもAIチップ向けの高帯域メモリ(HBM)やGDDR需要の急増が、コンシューマー向けDRAM・フラッシュ市場にまで波及している状況を示す傍証として元記事で取り上げられているものだ。AIサーバー向け部品の需要が最優先とされる結果、民生品向けメモリの供給が圧迫され、搭載メモリ量の削減や価格高騰として現れているという構図である。
新工場建設でも解消には数年かかる
SK Hynixが380億ドルを投じた新工場建設を進めるなど、大手各社はいま生産能力の増強に躍起になっている。ただし、半導体工場(ファブ)の新設は設計・建設・装置搬入・量産立ち上げまでに一般的に3〜5年を要するため、専門家の間では「AIに起因する部品不足は当分解消しない」という見方が支配的だ。
AMDの2027年増産計画は、こうした構造的な供給制約を乗り越えるための具体的なコミットメントとして位置づけられる。NvidiaがAI向けGPU市場で圧倒的なシェアを持つ中、AMDがいかに供給力を積み増してその差を縮められるかが、今後の市場構図を左右する焦点になる。
詳細はAMD vows to massively increase AI chip supply in 2027 as demand surgesを参照していただきたい。




