10月7日、The Decoderが「Google bets Gemini can turn casual players into game developers with new Playground feature」と題した記事を公開した。Googleが新たに公開したPlaygroundは、テキスト入力だけでゲームのルール・物理演算・キャラクター・環境をその場で変更できるブラウザベースのプラットフォームだ。プログラミングの知識がなくても、会話形式のプロンプトだけでゲームエンジン相当の操作ができるという点で、従来のノーコードツールとは一線を画した試みとなっている。
コードゼロでゲームが作れる「Playground」
Googleが公開したPlaygroundは、プログラミング不要でゲームを作れるブラウザベースのプラットフォームだ。現時点では米国在住の成人が対象で、テキストによる会話形式でAIとやり取りしながらゲームのルール、物理演算、キャラクター、環境などを調整できる。変更結果はその場でテストできる。
裏側で動くのはGoogleのGemini、「Nano Banana」(社内コードネームとみられる非公式の呼称)、そしてLyriaの3モデルで、GoogleのスポークスパーソンNia CarterがThe Vergeを通じて明かした。
このうちLyriaはGoogleが開発した音楽生成AIモデルで、通常は音楽制作ツールやYouTube向けの楽曲生成に使われる技術だ。それがゲームプラットフォームのBGMや効果音生成に組み込まれている点は、Playgroundのマルチモーダルな設計思想をよく表している。なおGeminiはマルチモーダル入出力に対応した大規模言語モデルであり、テキスト・画像・コードなど複数の形式を横断して処理できる能力を持つ。Playgroundではその能力を活かして、プロンプトからゲームロジックの生成・変更までを一貫して担わせている。
完成したゲームはリンクで共有するか、公開ギャラリーに投稿できる。一部のジャンルではリーダーボードやマルチプレイヤー機能もサポートされる。Playgroundは無料で利用可能だが、Google Oneサブスクライバーはプランに応じて週次の利用上限が引き上げられる。公開されたゲームはGoogleのコミュニティガイドラインに基づいた安全審査を経る仕組みだ。
ノーコードゲーム開発の現在地
「コードを書かずにゲームを作る」というコンセプト自体は新しくない。GDevelop、GameSalad、RPGツクールといったノーコード・ローコードのゲーム開発ツールは以前から存在し、それなりの市場を形成してきた。しかしこれらのツールは基本的に「GUIで設定・配置する」モデルであり、自然言語でゲームのルールや物理挙動を直接書き換えるアプローチとは根本的に異なる。PlaygroundはLLMの能力をゲームエンジン層そのものに組み込むことで、この差を埋めようとしている点が技術的な注目ポイントだ。
Unity Sparkとの同時発表
Playgroundと同じタイミングで、GoogleとUnityはUnity Sparkも発表した。こちらはUnity Asset Storeへのアクセスを持つ、プロ向けのAI開発ツールという位置づけだ。
UnityのCEO Matt Brombergは、Sparkのターゲットを「クリエイティブなアイデアはあるが、技術的なスキルが足りなかったゲーマーやアーティスト」と説明している。クローズドベータは2026年内の開始が予告されているものの、記事公開時点(2025年10月)では具体的な時期は未定とされており、詳細は今後の発表を待つ必要がある。Playgroundがカジュアルユーザーをターゲットにしているのに対し、Unity SparkはUnityの既存エコシステムを前提としたセミプロ・プロ向けの補完的な位置づけと読める。
競合の動きと業界の流れ
テキストやプロンプトからゲームを生成するアプローチは、Googleだけが取り組んでいるわけではない。MetaはHorizon CreateおよびHorizon Studioで同様の機能を展開しており、RobloxもRoblox Assistantでクリエイター支援を進めている。
UnityもClaudeやOpenAI Codexの公式プラグインをリリースするなど、AI統合を加速させている。ゲーム開発のハードルをAIで下げようという動きが、プラットフォームをまたいで同時並行で進んでいる状況だ。
Playgroundがエンジニア視点で興味深いのは、Geminiを単なるコード補助ではなくゲームエンジンそのものとして機能させようとしている点だ。物理演算やルールの変更までをプロンプトで制御できるとすれば、内部でどのようにゲームロジックを表現・実行しているのかは気になるところだが、技術的な詳細はまだ公開されていない。
詳細はGoogle bets Gemini can turn casual players into game developers with new Playground featureを参照していただきたい。




