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カリフォルニア州、AIだけによる解雇を法律で禁止 — 雇用・医療・教育の3分野でAI規制が一斉施行へ

10月8日、PYMNTSが「AI Can't Fire You in California Without a Human」と題した記事を公開した。カリフォルニア州でAIのみによる解雇・懲戒処分を禁じる新法「SB 947(No Robo Bosses Act)」をはじめ、AI活用を規制する4本の州法が成立した経緯と内容について詳しく紹介されている。

10月8日、PYMNTSが「AI Can't Fire You in California Without a Human」と題した記事を公開した。カリフォルニア州でAIのみによる解雇・懲戒処分を禁じる新法「SB 947(No Robo Bosses Act)」をはじめ、AI活用を規制する4本の州法が成立した経緯と内容について詳しく紹介されている。


AIだけでは解雇できない——「No Robo Bosses Act」が成立

ガビン・ニューサム・カリフォルニア州知事は2026年9月30日、SB 947「No Robo Bosses Act」に署名した。この法律により、カリフォルニア州の雇用主はAIの判断だけを根拠に労働者を解雇・懲戒処分することが禁止される。

具体的には、AIを主な根拠として処分を下した管理職は、人事評価記録や個人ファイルなど別の証拠で決定を補強しなければならない。施行は2027年7月1日。

ニューサム知事は2025年10月、「条文の範囲が広すぎる」としてSB 947の前身となる法案を一度拒否していた(当時のPYMNTSの報道による)。今回成立した改正版について、AFL-CIO傘下のカリフォルニア労働組合連盟会長ロレナ・ゴンザレス氏は「職場でのAIにガードレールを設け、人間による監視を確保するもの」と述べている。


同日署名の3法——医療・教育にも規制が波及

SB 947と同じ9月30日、ニューサム知事はさらに3本の関連法に署名した。雇用分野のSB 947を含めると、今回の一連の規制は計4本の州法で構成される。

医療AI:臨床判断はあくまで人間が主体(AB 1979)

AB 1979「Health Care Services: Artificial Intelligence」は、病院やクリニックがAIをもって医師・看護師などの有資格者の判断を代替することを禁止する。AIはあくまで助言ツールに限定される。

法案を執筆したミア・ボンタ州議会議員は「テクノロジーが医療における人間の意思決定を置き換えてはならない」と述べた。

実際、ブルックリンのダウンステート大学病院ではAIが900件以上の診察ノートを下書きしているが、いずれも医師が確認・承認してから記録に登録されている。※この運用形態が AB 1979 の要件を満たすかどうかは、施行後の解釈・運用に委ねられる部分もあるが、人間の最終承認を必須とする点では法の趣旨と方向性が一致していると見られる(※編集部の考察)。

医療AI開発者へのバイアス対策義務(SB 503)

AB 1979と同じ医療分野を対象としたSB 503(アキラ・ウェーバー・ピアソン上院議員提出)も同時に成立した。こちらは医療AIの開発者側に義務を課す法律で、診断・治療向けAIの開発者に対し、アルゴリズムのバイアス(偏り)を低減する合理的な措置を義務付けている。AB 1979が医療現場での利用規制であるのに対し、SB 503は開発段階における品質・公平性の確保を求める点で補完的な位置づけにある。

学生データをAI学習に使用禁止(AB 1159)

AB 1159は、EdTech(教育テクノロジー)企業が学生データを生成AIや他のAIシステムの学習に利用することを禁止する。対象は企業のウェブサイトやアプリを通じて収集された個人情報で、学生を長期追跡できる識別子も含まれる。

さらに移民ステータスなどセンシティブな情報の収集・利用自体も禁止される。

同法は「高等教育学生情報保護法(Higher Education Student Information Protection Act)」も新設する。施行は2027年7月1日。カリフォルニア州の大学生約290万人はこれまで、幼少期の学生向けには存在していた類似の保護規定が適用されておらず、今回初めて法的保護の対象となる。

なお、カリフォルニア州がEdTech企業の学生データ利用を最初に規制したのは2014年。当時の法律は学生データの売買や標的型広告への利用を禁じたが、AI学習への利用は想定されていなかった。


連邦政府との対比——自主規制か、法規制か

連邦レベルでは対照的な動きがある。元記事によれば、トランプ大統領は9月29日、OpenAI・Anthropic・Google・MetaのCEO陣がAI開発の自主規制に関する合意書に署名したと発表した。監視の主体をモデル開発企業自身に委ねる形をとっており、法的拘束力を持つカリフォルニア州の手法とは大きく異なる。


カリフォルニア州の規制動向は、米国内だけでなく日本を含むグローバルな企業のAI人事・医療・教育への活用方針にも影響を与えうる。雇用判断へのAI導入を検討している組織は、この法的潮流を無視できない状況になりつつある。

詳細はAI Can't Fire You in California Without a Humanを参照していただきたい。