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カリフォルニア州、AIによる従業員の感情スキャン禁止法案を可決 — 採用面接・在宅監視ツールも直接の規制対象に

10月8日、The Cooldownが「New California bill would block employers from using AI to read workers' emotions」と題した記事を公開した。採用面接の映像を解析され、表情や声のトーンから「あなたの感情状態」を推定されているとしたら——そんな技術がすでに職場に普及しつつある中、カリフォルニア州議会がAIによる従業員の感情認識・神経データ収集を雇用主に禁じる法案を可決し、知事の署名待ちとなっている。

10月8日、The Cooldownが「New California bill would block employers from using AI to read workers' emotions」と題した記事を公開した。採用面接の映像を解析され、表情や声のトーンから「あなたの感情状態」を推定されているとしたら——そんな技術がすでに職場に普及しつつある中、カリフォルニア州議会がAIによる従業員の感情認識・神経データ収集を雇用主に禁じる法案を可決し、知事の署名待ちとなっている。


AIによる"感情スキャン"を職場から締め出す法案

カリフォルニア州議会は2026年8月下旬、上下両院でAB 1883(Assembly Bill 1883)を可決し、知事へ送付した。

この法案の核心は2点だ。雇用主がAIを使って従業員の神経データ(neural data)を収集すること、および従業員の感情状態を識別・推測・予測することを禁じる。

「神経データ」とは、従業員の神経系活動を計測して得られる情報と定義されている。AIを用いた感情認識ツールは、表情解析や音声トーンの分析などによって「この従業員は今イライラしている」「集中力が落ちている」といった推定を行うものだが、こうした技術が職場での人事評価や監視に使われることへの懸念が法案の背景にある。


なぜ今、この法案なのか

AI感情認識規制の動きは、カリフォルニアだけにとどまらない。

欧州では2024年8月に施行されたEU AI Actが、職場・教育機関での感情認識AIを原則として「高リスク」システムに分類し、厳格な義務を課している。米国内でも、イリノイ州が生体情報の収集・利用に同意を義務付けるBIPA(Biometric Information Privacy Act)を2008年に制定して以来、各州で類似の規制が相次いでいる。ニューヨーク市は2023年、採用選考におけるAI利用に監査・開示義務を課す条例を施行した。

AB 1883はこうした国内外の規制潮流の延長線上に位置する。ただし、感情認識そのものを明示的に禁じる職場向け法案としては、米国内でも先進的な取り組みといえる。


適用範囲は広く、禁止は限定的

「雇用主」の定義は広い。民間企業だけでなく、州政府機関、カリフォルニア大学、チャーター市、郡、学区、交通機関、農業・外国人労働請負業者まで対象に含まれる。

「職場監視ツール」の定義もまた広く、直接観察以外の手段で従業員のデータ・行動・通信・生体情報を収集するシステム・アプリ・デバイス全般が対象となる。具体的には映像・音声・GPS・電磁波追跡・継続的な作業時間追跡ツールなどが例示されている。

ただし、これは職場監視の全面禁止ではない。安全目的でのAI利用は引き続き許可され、AIを使わない監視手段も制限されない。また、航空機開発・国家安全保障・軍事・宇宙・防衛関連の連邦法規や連邦契約に従う雇用主には、「合理的に必要な範囲」で適用除外が認められる。


違反した場合のペナルティ

法案が成立した場合、違反1件につき最大500ドルの罰則が科される。労働委員(Labor Commissioner)と公訴官が調査・民事提訴を行う権限を持ち、差止命令・懲罰的損害賠償・弁護士費用の回収も認められる。

罰則額としては高くないが、従業員数が多い企業では累積額が膨らむ可能性がある。


企業への実務的影響

知事が署名した場合、雇用主は現在または導入予定のすべての監視技術について、AIで感情状態を分析しているか、または神経系データを収集しているかを精査する必要が生じる。該当するツールは廃止を迫られる。

AI感情認識ツールはすでに複数のベンダーが商用化しており、採用面接の映像分析や在宅勤務者のエンゲージメント測定などで実際に使われている。こうしたツールのカリフォルニア州内での利用が直接の規制対象となる。

なお、AB 1883はまだ法律ではない。次のステップは知事の判断のみだ。カリフォルニア州を拠点とする企業や、同州に従業員を抱えるグローバル企業にとっては、法案の行方を注視する必要がある。


詳細はNew California bill would block employers from using AI to read workers' emotionsを参照していただきたい。