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「Adobe丸ごと」をAIで1人再構築、無償公開 — Claudeとバイブコーディングで生まれたAdobe代替スイートの実力と課題

10月8日、Tom's HardwareのJhet Borjaが「Solo developer rebuilds Adobe Creative Suite in Rust using Claude, releases it free to all」と題した記事を公開した。AnthropicのAI「Claude」を使ってAdobe Creative Suite相当のツール群をRustでゼロから再構築し、無償公開したソロ開発者の取り組みが、クリエイター界隈で大きな波紋を呼んでいる。

10月8日、Tom's HardwareのJhet Borjaが「Solo developer rebuilds Adobe Creative Suite in Rust using Claude, releases it free to all」と題した記事を公開した。AnthropicのAI「Claude」を使ってAdobe Creative Suite相当のツール群をRustでゼロから再構築し、無償公開したソロ開発者の取り組みが、クリエイター界隈で大きな波紋を呼んでいる。


Claudeで「Adobe丸ごと」を1人で再構築

この取り組みを行ったのは、RedditユーザーID u/ai_art_is_art として活動するソロ開発者だ(元記事著者のJhet Borjaとは別人であり、開発者の実名は記事時点で非公表)。同開発者はAnthropicのAI「Claude」を活用し、Adobe主要製品に相当するソフトウェア群をRustで開発。PhotoCraft、LightCraft、ImageCraft、FilmCraftなど複数のツールをGitHub上で無償公開した。

元のReddit投稿はすでに削除されており、一次ソースとしての検証は現時点でできない状態だ。ただし、GitHubへのリンクを含むコメントは残っており、ダウンロード自体は可能である。本記事はTom's Hardwareの報道をもとにしている点をあらかじめ断っておく。

開発者の目標は「1ヶ月以内にAdobe製品と100%の機能同等性を達成する」こと。Adobeが何十年もかけて築いてきたものをソロ・AIで短期間に置き換えようという野心的な試みだ。

単なるクローンではなく「AI統合前提」の設計

既存のAdobe代替ソフトとの差別化ポイントはUIの統一性とAIネイティブな設計にある。

GIMPやKritaといった老舗のオープンソースツールは機能面で成熟しているものの、それぞれ単機能に特化しており、Adobeのような統合スイート体験は提供していない。AffinityのようなツールはPhotoshopの代替として高い完成度を誇るが、やはり個別ツールの集合体に留まる。この開発者が目指したのは、バラバラな無料ツールを使い分ける現状を打破し、一貫したUXを単一スイートとして提供することだ。

さらに特徴的なのが「エージェントネイティブ」な実装である。JSONコントロールチャネルとMCPサーバー(Model Context Protocol:AIがツールを操作するための通信仕様)を通じて、AIがソフトウェアのツールやメニューを直接操作できる構造になっている。ユーザーがAIに指示するだけで、AIが実際に画像編集や動画編集を行うという使い方を想定しており、従来の「AIアシスト機能を内包するソフト」とは設計思想が根本的に異なる。

「海賊行為」か「クリーンルーム実装」か

この公開に対する反応は真っ二つに割れている。

Adobeへの訴訟リスクを指摘する声に対して、開発者側は「クリーンルーム再実装(clean-room reimplementation)であり、Adobeのソースコードは一切使用していない」と主張する。クリーンルーム再実装とは、既存コードを参照せず仕様のみを元に独自実装する手法で、過去にもWine(WindowsアプリをLinuxで動作させるプロジェクト)などが採用し、法的に有効な防衛手段として認められてきた実績がある。ただし、今回のケースが同等の法的評価を受けるかどうかは、現時点では不明だ。

X(旧Twitter)での反応は辛辣なものも目立つ:

「"Something really cool is happening:" Piracy」

一方、Adobeの商慣行——サブスクリプション強制や解約妨害、Creative Cloud以外での利用制限など——への根強い不満から、支持する声も少なくない。Adobe製品への不満はクリエイター界隈で長年くすぶっており、それがこのプロジェクトへの注目を集める背景の一つになっている。

「バイブコーディング」の安全性問題

技術的な懸念も上がっている。ソロ開発者が短期間にAIを使って大量生成するコードは「バイブコーディング(vibe coding)」とも呼ばれる手法で、AIとの対話を繰り返しながら感覚的・高速にコードを生成していくスタイルを指す。生成速度の速さゆえにコードレビューが追いつかない問題が指摘されており、セキュリティ上のリスクが生じやすい。

Sonarが1,100名のプロ開発者を対象に実施した2026年版「State of Code Developer Survey」によれば、96%の開発者がAI生成コードを完全には信頼していない。プライバシー問題、悪意あるコードの混入、安全でないファイル操作などのリスクが指摘されており、チームなしのソロ開発者がこの規模のコードベースを検証するのは相当な負担だ。

また、一部のコミュニティでは「AIスロップ(AI slop)」——品質管理が不十分なAI生成コンテンツやコードを揶揄する俗語——として切り捨てる声もある。機能の完成度やコード品質については、今後のコミュニティによる検証が不可欠だ。

「本物のAdobe代替になり得る」と期待するテスターがいる一方、未実装機能も多く残る。今後どれだけの開発者がコントリビュートし、機能が埋まっていくかが、このプロジェクトの命運を左右する。現時点では、法的グレーゾーンとコード品質の両面で不確定要素が大きく、実運用への採用には慎重な判断が求められる。

詳細はSolo developer rebuilds Adobe Creative Suite in Rust using Claude, releases it free to allを参照していただきたい。