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MicrosoftがOpenAIを使わずAlibabaのモデルで「AI意思決定モデル」市場に参入 — 精度83.5%・85msで業界首位、火付け役スタートアップは早くも苦境に

10月10日、The Decoderが「Microsoft's Decision-1 model enters the fast-growing AI decision model race」と題した記事を公開した。MicrosoftがAlibabaのQwen基盤の独自意思決定モデル「Decision-1」をリリースし、精度83.5%・レイテンシ85msで業界トップを主張している。注目すべきは、Microsoftが自社と深い関係にあるOpenAIのモデルを一切使わずにこれを実現した点だ。わずか数週間前に元OpenAI研究者のスタートアップが切り開いたこの新カテゴリに、今や大手が続々と参入しており、先行者優位が急速に崩れつつある。

10月10日、The Decoderが「Microsoft's Decision-1 model enters the fast-growing AI decision model race」と題した記事を公開した。MicrosoftがAlibabaのQwen基盤の独自意思決定モデル「Decision-1」をリリースし、精度83.5%・レイテンシ85msで業界トップを主張している。注目すべきは、Microsoftが自社と深い関係にあるOpenAIのモデルを一切使わずにこれを実現した点だ。わずか数週間前に元OpenAI研究者のスタートアップが切り開いたこの新カテゴリに、今や大手が続々と参入しており、先行者優位が急速に崩れつつある。


OpenAIのモデルを使わず、Qwen基盤で独自開発

今回の最大のポイントは、MicrosoftがOpenAIのモデルではなく、Alibaba製のQwen3.5-9Bをベースに独自の意思決定モデルを構築したという点だ。

「意思決定モデル(Decision Model)」とは、汎用テキスト生成ではなく、分類・評価・ルーティングといった構造化された判断に特化したAIモデルを指す。AIエージェントが複雑な環境を処理する際の判断ロジックとして機能する。従来の大規模言語モデルが「文章を生成する」のに対し、意思決定モデルは「選択肢の中からどれが正しいかを判定する」という、より狭く・より高速な処理に最適化されている点が特徴だ。

この分野は2025年9月中旬に元OpenAI研究者が立ち上げたスタートアップ「Jev」が火付け役となり、その後OpenAI、Cloudflareと大手が相次いで参入している急成長分野だ。MicrosoftのDecision-1はそこに加わる最新の、そしておそらく最も大きな名前を持つプレイヤーとなる。


Decision-1のスペック

83.5%の精度・85msのレイテンシという数字がMicrosoftの発表の核心だ。

Microsoftによれば、Decision-1は36のベンチマークで合計150,000問近くを用いてテストした中で最も精度が高いモデルだとしている。この「36ベンチマーク・150,000問」という数字は、複数の独立したベンチマークセットをまたいで大量の問題を解かせることで、特定の評価セットへの過適合を避けた総合的な評価であることを示している。速度面では2位のH2O-Lightning-4Bと比べて2.5倍速い。


Microsoftのベンチマーク比較。Decision-1が精度83.5%・レイテンシ85msでトップ、Jev 1.13.0を上回る。画像: Microsoft

なお、Cloudflareのオープンソース意思決定モデル「Clef」も同じQwenをベースとしたモデルだが、Microsoftが採用したベンチマークセットに含まれていないため、今回の比較表には登場しない。ベンチマークの選定自体がMicrosoft側の裁量であることは念頭に置く必要がある。

対応する処理は以下の3種類だ:

  • 分類(Classification)
  • 評価(Evaluation)
  • ルーティング(Routing):AIエージェントが次にどの処理へ分岐するかを決定する用途

価格とアクセス方法

Decision-1はMicrosoft Foundry(Azure AI Catalog)とOpenRouterで利用できる。

料金は入力トークン100万件あたり$0.042、出力トークンは無料という設計だ。意思決定モデルはテキスト生成と異なり出力が短く構造化されているため、この料金体系は合理的である。入力に対してコストが発生し、出力(多くの場合は単一の分類ラベルや判定結果)は無課金という構造は、大量の判断処理をパイプラインに組み込む企業ユースケースに適している。


Jevへの打撃

記事はJevの状況についても触れている。Jevは2025年9月中旬に意思決定モデルという概念を世に出したが、アイデアが注目を集めた直後に、大手がオープンな小型言語モデルを活用して同等以上のものを作り上げた格好だ。記事では「Jevにとってここ数週間は厳しいものだった可能性が高い」と率直に述べている。

OpenAIがDecisions APIを、CloudflareがClefを、そしてMicrosoftがDecision-1を——いずれも短期間で矢継ぎ早に投入している。スタートアップが新カテゴリを作り、プラットフォーマーがすぐに取り込む——AIの世界で繰り返されるパターンが、意思決定モデル分野でも早速現れた形だ。Jevが今後どのような差別化戦略をとるかが、このカテゴリにおける数少ない残されたドラマといえるかもしれない。


詳細はMicrosoft's Decision-1 model enters the fast-growing AI decision model raceを参照していただきたい。