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Google DeepMindのAIが56年来の未解決数学問題を解いて査読を通過 — OpenAIとの対照的なアプローチが数学界で注目

10月12日、The Decoderが「Google Deepmind's AlphaProof Nexus solved dozens of open math problems and actually got peer reviewed」と題した記事を公開した。Google DeepMindのAIシステム「AlphaProof Nexus」が数十の未解決数学問題を自律的に解き、科学誌Scienceに査読論文として掲載されたことを報じる内容だ。OpenAIが査読を経ずにAI生成証明を大量公開して数学界の反発を招く中、DeepMindが真逆の手順を踏んだことが注目を集めている。査読を通した、という事実まず押さえるべきは、「査読(peer review)を経てScienceに掲載された」という点だ。AIによる数学的成果がこの形で公認されること自体、現時点では異例に近い。背景として、OpenAIは最近372件のAI生成数学証明をGitHubに一括投稿し、学術誌への提出を経ずに公開した。これに対し、元記事によれば「Association for Human Mathematics」(フィー...

10月12日、The Decoderが「Google Deepmind's AlphaProof Nexus solved dozens of open math problems and actually got peer reviewed」と題した記事を公開した。Google DeepMindのAIシステム「AlphaProof Nexus」が数十の未解決数学問題を自律的に解き、科学誌Scienceに査読論文として掲載されたことを報じる内容だ。OpenAIが査読を経ずにAI生成証明を大量公開して数学界の反発を招く中、DeepMindが真逆の手順を踏んだことが注目を集めている。

査読を通した、という事実

まず押さえるべきは、「査読(peer review)を経てScienceに掲載された」という点だ。AIによる数学的成果がこの形で公認されること自体、現時点では異例に近い。

背景として、OpenAIは最近372件のAI生成数学証明をGitHubに一括投稿し、学術誌への提出を経ずに公開した。これに対し、元記事によれば「Association for Human Mathematics」(フィールズ賞受賞者テレンス・タオが主導するとされる団体)がOpenAIへのボイコットを呼びかける事態となっている。AI生成の証明が数学の査読プロセスを「汚染する」との懸念が背景にある。

DeepMindはこの流れとは対照的に、従来の査読プロセスを踏んだ。AIが未解決問題を解くだけでなく、その成果を人間の数学コミュニティの検証に委ねたという点で、アプローチの違いは明確だ。

AIが56年来の未解決問題を解いた

AlphaProof Nexusの中核的な成果は、353件のエルデシュ予想のうち9件を解いたことだ。そのうち2件は56年間未解決だった問題である。

エルデシュ問題(Erdős problems)とは、20世紀を代表する数学者ポール・エルデシュが提唱した未解決問題群で、組合せ論や数論など広範な分野にわたる。一部には懸賞金も設定されており、数学コミュニティでは長年の難問として知られている。問題のリストは現在もオンラインで管理・公開されており、世界中の数学者が取り組んでいる。

何を解いたのか

エルデシュ問題以外にも、AlphaProof Nexusの成果は幅広い。

  • OEIS(オンライン整数列大辞典)から44件の予想を証明。OEISは整数列を体系的に収録・管理するデータベースで、数学・計算機科学の研究者に広く参照されている
  • 代数幾何学の未解決問題を1件解決
  • min-maxオプティマイゼーション(双方の最悪ケースを同時に最適化する手法で、GANや強化学習など一部のAIモデルの訓練にも用いられる)において、既知の上界を改善

どうやって解いたのか:アーキテクチャの仕組み

AlphaProof NexusはGemini 3.1 Proを中核に構築されており、形式言語「**Lean**」で証明の草稿を作成・修正する。

Leanとは、数学的証明をコンピュータが検証可能な形式で記述するための証明支援系言語だ。証明を編集するたびに自動チェックが走り、エラーメッセージが次の試みを誘導する仕組みになっており、AIが試行錯誤を繰り返す際のフィードバックループとして機能する。数学界でも近年注目が高まっており、Lean Communityを中心にライブラリの整備が進んでいる。

難易度の高いサブ問題には、別途開発された証明専門ツールAlphaProofを呼び出すことも可能だ。ただし、今回の9件のエルデシュ問題はAlphaProofなしで解いたとGoogle DeepMindは報告している。

数学界にとっての意味

この成果が示しているのは、AIが未解決問題を解くという能力論だけではない。AIによる数学的発見をどのように検証し、コミュニティに受け入れるかというプロセスの問題でもある。

OpenAIの大量投稿が引き起こした反発を踏まえれば、DeepMindが査読という既存の制度を経由したことは、技術的成果と同等かそれ以上に重要な選択だったといえる。AIと数学コミュニティの関係がどう構築されるかを左右する一例として、今後も参照されることになりそうだ。

詳細はGoogle Deepmind's AlphaProof Nexus solved dozens of open math problems and actually got peer reviewedを参照していただきたい。