10月14日、The Next Webが「Zuckerberg admits Meta spent $200B on AI without knowing it would work」と題した記事を公開した。Metaのマーク・ザッカーバーグCEOが2000億ドル規模のAI投資について「成功するかどうか、まったく明らかではなかった」と公に認めた——この告白が注目を集めるのは、フリーキャッシュフローが前年比91%減という財務的な現実と重なるからだ。売上高は好調でも、投資の重力はすでにキャッシュを圧迫し始めている。
「成功するか分からなかった」——CEO自身の言葉
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、AIインフラへの投資額として1000億〜2000億ドルという数字を挙げたうえで、支出を決断した時点で誰も成功を保証できなかったと認めた。
Bloombergの報道によると、ザッカーバーグはScale AIのCEOとして知られるアレクサンドル・ワン(Alexandr Wang)に「本当に大丈夫か」と問いただした。ワンの答えは「うまくいくかどうか、まったく明らかではなかった」というものだった。
※編集部の考察:元記事ではワンの肩書きを「チーフAIオフィサー」と表記しているが、同氏はScale AI CEOとして広く知られており、Metaにおける正式な役職・関与形態については現時点で確認が取れていない。読者は元記事および公式発表で確認されたい。
最高財務責任者(CFO)のスーザン・リーは以前から「失敗した場合のコストは甚大になる」と繰り返し警告していた。ザッカーバーグ自身、「リーに少し怖がらされた」と語っている。
不確実性の開示は"段階的"だった
この告白は一度に出てきたわけではない。経緯を時系列で整理すると、Metaの姿勢が少しずつ変化してきたことが分かる。
- 4月:投資がいつリターンをもたらすかと問われたザッカーバーグは「非常に技術的な問題だ」とはぐらかした
- 7月:エージェント型AI開発が「予想ほど加速していない」と社内で認め、賭けが実を結んでいないと述べた
- 10月:ポッドキャスト上で2000億ドル規模の投資と不確実性を公に認めた
キャッシュフローは91%減——巨大投資の「重力」が財務を押しつぶす
売上高は好調だ。前年比28%増の608億ドルを計上している。しかし問題はキャッシュである。
Metaのフリーキャッシュフローは第2四半期に91%減し、前年同期の85億5000万ドルから7億8400万ドルまで落ち込んだ。この急落は、売上の成長を上回るペースで設備投資(CapEx)が膨張していることを直接反映している。巨額のAIインフラ支出はコストとして先行計上されるが、そこから生まれる収益はまだ本格化していない。純利益も14%減少し、CapExの見通しは昨年の720億ドルから1300億〜1450億ドルへ大幅に引き上げられた。売上が伸びていても手元のキャッシュが急減するのは、この先行投資の構造的な重さが原因だ。
さらに、すべての支出が貸借対照表に載っているわけではない。Nikkei Asiaの調査によると、Metaのオフバランスシート債務は約4200億ドルに上り、うち270億ドルはルイジアナ州の単一データセンターに紐づいている。
比較対象として、Alphabetは契約済みの将来支出として8110億ドルを開示している(そのうち約5000億ドルは直近1四半期で増加)。Metaはこれに相当する数字を一切開示していない。ザッカーバーグがポッドキャストで語った数字は、投資家が財務書類で確認できるものではなく、あくまで本人の口頭発言だ。
IMFも同種のリスクを警告
IMF(国際通貨基金)は同週、こうしたAI投資構造を「逆方向リスク(wrong-way risk)」と呼んだ。投資が焦げ付くタイミングが、約束されていた収益が消えるタイミングと一致するためだ。
この構造はMetaだけの問題ではない。ビッグテック各社が同時期にAIインフラへ集中投資しており、仮に需要の実現が遅れた場合、複数のプレイヤーが同じタイミングで財務的な打撃を受けるリスクがある。IMFが「逆方向リスク」と名付けたのは、まさにこの連動性を指している。
欧州はAIへの直接投資ではなく、米国株保有を通じてこのリスクに間接的にさらされている。IMFによると、ユーロ圏・英国は先進アジア諸国より感応度は低いものの、以前より米国株の保有比率が大きく上昇しているという。
次の節目は10月21日
Metaは10月21日に第3四半期決算を発表する予定だ。株価は今年に入って12%超上昇している一方、前回の決算発表後には8%下落した経緯がある。CapExの積み上がりとキャッシュフローの回復見通しが市場の関心を集めることになる。
詳細はZuckerberg admits Meta spent $200B on AI without knowing it would workを参照していただきたい。




