10月13日、madrobot.blogが「Claude Sonnet 4.5 retires on November 30: every date, what breaks and how to switch」と題した記事を公開した。Claude Sonnet 4.5が2026年11月30日にClaude APIから廃止されるにあたり、単純なモデルID置き換えでは対応できない複数の非互換点が存在する。プリフィルの廃止、thinkingのデフォルト有効化、temperature設定の全面的な排除など、コードの修正なしに移行を完了することはできない。
本題:モデル名を変えるだけでは動かない
今回の移行で最も注意が必要な点が、後継のclaude-sonnet-5-5はSonnet 4.5が受け付けていた複数の設定を400エラーで拒否することだ。Anthropicが公開しているSonnet 5.5マイグレーションガイドによれば、主な非互換点は以下のとおりだ。
プリフィル(Prefill)
JSONを強制するためにアシスタントメッセージを途中で終わらせる手法(prefill)が動作しなくなる。This model does not support assistant message prefill.というエラーが返る。代わりにstructured outputs(モデルが指定したJSONスキーマに従って出力を生成するAnthropicの公式機能)を使うか、指示をシステムプロンプトやユーザーメッセージ内に移す必要がある。
Thinkingバジェット
"thinking": {"type": "enabled", "budget_tokens": N}の形式はサポート外となり、エラーになる。代わりにeffort level("low" / "medium" / "high"などで推論の深さを指定する、Sonnet 5.5以降の新しいパラメータ形式)を指定する形式に変更する。Anthropicはバジェット値とeffort levelのマッピングを公開しておらず、実際の挙動で確認するよう求めている。
Temperature / top_p / top_k
Claude 4.7以降のモデルではデフォルト値以外の設定がすべてエラーになる。AnthropicのPython SDK v1.0以降ではこれら3パラメータがSDKレベルで除去されており、渡すとTypeErrorが発生する(APIリクエスト送信前に弾かれる)。
Forced Tool Use
tool_choiceにanyやtoolを指定すると失敗する。autoに変更したうえでstrict tool(ツールの入力スキーマを厳密に定義し、モデルが必ず準拠した形式で呼び出すよう強制する機能)を使うことが推奨される。なお、BedrockではSonnet 5.5のstrict toolsが未対応のため、autoを使いつつツール入力をコード側で検証する必要がある。
Thinkingがデフォルトでオン
Sonnet 5.5はthinkingフィールドがないリクエストでもデフォルトでthinkingを実行する。そのためcontent[0].textを読む実装が壊れ、thinking tokenがmax_tokensと課金の両方に計上される。Thinkingを抑制するには{"type": "between_tools"}を送る("disabled"はエラーになるので注意)。なお、between_toolsはツール呼び出し間のみthinkingを実行する設定であり、thinking自体を完全に無効化する設定とは異なる点に留意が必要だ。
まず確認:廃止日はプラットフォームごとに異なる
「11月30日」はAnthropicが自社運営するプラットフォームにのみ適用される。
| プラットフォーム | モデルID | 停止日 |
|---|---|---|
| Claude API | claude-sonnet-4-5-20250929(alias: claude-sonnet-4-5) |
2026年11月30日 |
| Claude Platform on AWS | claude-sonnet-4-5 |
2026年11月30日 |
| Microsoft Foundry | claude-sonnet-4-5(またはデプロイ名) |
2026年11月30日 |
| Amazon Bedrock | anthropic.claude-sonnet-4-5-20250929-v1:0 |
2027年4月8日 |
| Google Cloud | claude-sonnet-4-5@20250929 |
未定 |
Amazon Bedrockは独自のスケジュールを設けており、2026年10月8日時点で「Legacy」ステータスに移行済みだ。現時点で新規ユーザーはBedrockでの利用を開始できず、既存ユーザーも15日間の非アクティブ後にアクセスを失う可能性がある。さらに2027年1月8日から「public extended access」となり料金が上がり、2027年4月8日に完全停止となる。
Google CloudはまだSonnet 4.5を正式に非推奨リストに載せておらず、廃止日は未定のままだ。
コスト比較:安くなるが注意点あり
| 項目 | Sonnet 4.5 | Sonnet 5.5 |
|---|---|---|
| 入力(100万トークンあたり) | $3 | $2 |
| 出力(100万トークンあたり) | $15 | $10 |
| キャッシュリード | $0.30 | $0.10 |
| コンテキストウィンドウ | 200,000トークン | 100万トークン |
| 最大出力長 | 64,000トークン | 128,000トークン |
| 知識カットオフ | 2025年1月 | 2026年6月 |
単価は約3分の1安くなる。ただし、Sonnet 5.5は新しいトークナイザーを採用しており、同じテキストが約30%多いトークン数に変換されるとAnthropicは述べている(詳細はAnthropicのモデル比較ドキュメントを参照)。画像については2000×1500ピクセルの画像でトークン数が約2.5倍になる。平均的なテキスト処理では若干安くなるが、デフォルトのthinkingが有効になることでコストが増加するケースもあるため、数日分の実際の請求で比較することが推奨されている。
移行手順
使用箇所を特定する — Claude ConsoleのUsageページでCSVをエクスポートし、APIキーとモデル別の使用状況を確認。コードとconfig、環境変数を
claude-sonnet-4-5で検索する。Claude Codeに初回スキャンを任せる — Claude Code上で
/claude-api migrate this project to claude-sonnet-5-5を実行すると、モデルIDと非互換設定を自動修正し、手動確認チェックリストを出力する。実際のプロンプトでテスト — 複数のeffort levelで比較し、回答精度・速度・コストを確認する。MaxおよびTeamプランのユーザーは毎月付与される無料APIクレジットを活用できる。
Claude Codeのモデル設定を更新する — Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundryを利用している場合、Claude Codeの
sonnetエイリアスがまだSonnet 4.5を指している。ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODELに使用するSonnet 5.5のモデル名またはデプロイ名を設定すること。
その他の補足
claude.aiアプリやGitHub Copilotへの影響 — 今回の廃止通知はAPIに対するものだ。claude.aiのチャット画面を使うだけのユーザーにはコード変更は不要だ。GitHub Copilotについては、Sonnet 4.5はすでに2026年9月1日に提供終了している。
他モデルの廃止スケジュール — 現時点で退職日が確定しているのはSonnet 4.5のみだ。注目すべきはClaude Haiku 4.5で、後継のClaude Haiku 5.5が10分の1の価格でリリースされており、退職日のフロアは2026年10月15日に設定されている。
Sonnet 4.5の復活可能性 — Anthropicはすべての公開モデルのウェイトを会社存続期間中保持することをコミットしているが、復活の保証はない。Claude Opus 3(2026年1月5日退職)は例外的に有料ユーザー向けに継続提供されているが、「今後すべてのモデルで同様の対応をするわけではない」とAnthropicは明示している。
詳細はClaude Sonnet 4.5 retires on November 30: every date, what breaks and how to switchを参照していただきたい。




