10月16日、The Decoderが「Muse Spark Open is Meta's answer to Qwen, GLM, and Kimi in the open-weight race」と題した記事を公開した。Metaが新たに公開した大規模オープンウェイトモデル「Muse Spark Open」の性能・仕様・ライセンス条件について詳しく紹介されている。
Apple M5 Ultraを搭載したMac Studio 2台でローカル動作
本モデルで技術的に最も注目すべき点は、それぞれ512GBのユニファイドメモリを搭載したMac Studio 2台でローカル実行できるとMetaが明言していることだ。
ここで言う「ユニファイドメモリ」とは、CPUとGPUがメモリ空間を共有するApple Siliconの特徴的なアーキテクチャを指す。従来のGPUサーバー構成とは異なり、大容量のメモリ帯域を低消費電力で活用できる点がモデルの推論に有利に働く。8,160億という規模のモデルを民生機に近いハードウェアでローカル実行できる構成として、エンジニアには具体的な指針となる。
8,160億パラメータ、Metaの新オープンウェイトモデル
「Muse Spark Open」は、総パラメータ数8,160億(アクティブ420億)を持つ。この構成はMoE(Mixture of Experts)と呼ばれるアーキテクチャによるものだ。MoEとは、入力ごとにモデル全体のパラメータのうち一部の「エキスパート」層のみを選択的に活用する設計で、総パラメータ数は大きくとも、実際の推論時に使用されるパラメータ(アクティブパラメータ)を絞ることで計算効率を高められる。Muse Spark Openの場合、推論時に実際に動くのは420億パラメータとなる。
Metaは本モデルを「米国発オープンウェイトモデルの中で最も高性能」と位置づけており、Llamaシリーズとは別ブランドでの展開となる。対応モダリティはテキスト・画像・動画・音声と幅広く、最大100万トークンのコンテキストウィンドウを備える。用途はコーディングとエージェント系タスクに最適化されている。
競合モデルとのベンチマーク比較
JobBench、MCP-Atlas、HLE-Diamond、ZeroBenchといったベンチマーク群において、MetaはMuse Spark OpenがQwen 3.8、GLM 5.3、Kimi K3を複数カテゴリで上回ると主張している。

具体的には、エージェント系・知識&推論・マルチモーダルの3カテゴリでリードしているとされる。一方、コーディングベンチマークでは一部競合に後れを取る場面もある。
比較対象にはInkling、Nemotron 3 Ultra、Qwen 3.8、GLM 5.3、Kimi K3が含まれる。ただし、Metaの有料クローズドモデル「Muse Wonder Full」には依然として大きく及ばない点は明記されている。
ライセンスと商用利用の条件
ウェイトはHugging Faceで公開されており、利用は基本的に無料だ。ただし、「Built with Muse Spark Open」というラベル表示が必須となる。
商用APIサービスとして提供する事業者向けには追加条件がある。年間売上が2,000万ドルを超えるプロバイダーがAPIサービスとして提供する場合は、Metaとの別途契約が必要だ。詳細な技術情報はMetaのリサーチブログで公開されている。
背景:オープンウェイト競争の現在地
中国発のQwen(Alibaba)、GLM(清華大学系のZhipu AI)、Kimi(Moonshot AI)がオープンウェイト領域で存在感を増す中、MetaがLlamaシリーズとは別ブランドで本格参戦した格好だ。
これらの中国勢モデルはいずれも大規模パラメータと高いベンチマーク性能を武器に、英語圏のオープンウェイトコミュニティでも急速に採用が広がっている。コーディングとエージェント用途に特化した大規模モデルを無償公開するという動きは、オープンウェイト競争の水準を一段引き上げるものといえる。
詳細はMuse Spark Open is Meta's answer to Qwen, GLM, and Kimi in the open-weight raceを参照していただきたい。




