10月17日、The Cooldownが「Character.ai enters Chapter 11 after self-harm suits, with Disney set to pay $20 million for IP license」と題した記事を公開した。未成年ユーザーが関係する複数の訴訟が相次いだAIチャットボットサービス・Character.aiがChapter 11(連邦破産法第11章)の適用を申請し、DisneyがIPライセンスを2000万ドルで取得する合意に至った経緯が詳しく報じられている。
※本記事は未成年者の自傷・自殺に関連する訴訟を含む報道を取り上げています。こうした問題に関して相談できる窓口として、日本ではいのちの電話(0120-783-556)やよりそいホットライン(0120-279-338)が24時間対応しています。
Chapter 11とは何か——「破産」ではなく「再建型手続き」
Character.aiが申請した「Chapter 11」は、日本語で「破産」と訳されることがあるが、実態は日本の民事再生法に近い手続きだ。事業を継続しながら裁判所の監督のもとで債務を整理し、買い手や再建策を探すことができる点が特徴で、日本の破産手続き(清算型)とは根本的に異なる。今回もCharacter.aiは事業を続けながら売却先を探しており、「倒産=即廃業」ではない点に留意が必要だ。
訴訟の経緯
Character.aiのCEO・Colin Adamsは、同社の経営悪化の原因を「法的・規制的・業務上の重大な逆風」と認めた。
その核心にあるのは、未成年ユーザーが重大な危機的状況に至ったとする複数の家族からの訴訟だ。Character.aiとGoogleは2026年初頭、これらの訴訟を和解で決着させた。ケンタッキー州司法長官Russell Colemanは、同社のチャットボットが「子供たちを食い物にし、危険な行動へと誘導した」と指摘している。
ペンシルベニア州も別途提訴しており、こちらでは同社のチャットボットが「州の認定精神科医」を名乗り、偽のペンシルベニア州ライセンス番号を提示したという事例が問題視されている。AIコンパニオンが娯楽・感情的サポート・専門的アドバイスの境界を意図的にあいまいにしているという懸念が、業界全体に広がっている。
WHOや各国の報道・プラットフォーム運営指針は、未成年の精神的健康に影響しうるコンテンツについて、プラットフォーム側が積極的な安全策を講じることを求めている。今回の訴訟はその観点から、AIサービスの設計責任が問われた事例とも言える。
Chapter 11申請とDisneyへのIPライセンス
Character.aiは、事業を継続しながら買い手を探すため、裁判所が監督するChapter 11の手続きを選択した。売却プロセスは11月末から12月初旬に完了する見込みだ。
その売却先候補として浮上しているのがDisneyで、同社はCharacter.aiのIPに対して永続的・非独占的ライセンスとして2000万ドルを支払う合意をすでに締結している。
CEOのAdamsは声明で次のように述べた。
「取締役会はあらゆる代替案を包括的に検討した結果、この裁判所監督下での売却プロセスが、すべてのステークホルダーに対して最大の価値をもたらす最善の機会であると判断した。」
ユーザーデータの行方が焦点に
破産手続きに伴い、ユーザーデータの扱いにも懸念が生じている。Character.aiはブログ上で「顧客データはプライバシーポリシーの下で引き続き保護される」と説明している。
しかし同ポリシーには、チャットログ・音声録音・画像・動画などのユーザーデータが、会社または資産の売却や交渉の一環として開示される可能性があるとも明記されている。つまり、売却が進めば、ユーザーデータが新たなオーナーに引き継がれるリスクは排除できない。
サブスクリプションについては、手続き中も引き続き有効とされており、有料機能に変更が生じる場合は事前に通知するとしている。
生成AIの「法的リスク」が現実になった事例
Character.aiはかつて月間アクティブユーザーが特に10代に多く集まるAIコンパニオンサービスとして急成長した(具体的なユーザー数は同社による公式発表が確認できないため、本稿では数値の引用を控える)。GoogleはCharacter.ai創業者のNoam Shazeerらを自社に招いており、同社との関係は複雑な構図を持つ。
今回の事態は、生成AIサービスが抱える法的リスクが実際の経営上の危機として顕在化した初期の事例として業界に強い印象を残す。未成年向けのAIコンパニオンに対する規制圧力は今後さらに高まるとみられ、EUのAI Actや米国の州法レベルでの規制議論とも連動する形で、同様のサービスを展開する企業にとっても他人事ではない状況だ。AIコンパニオンの安全設計や年齢確認の在り方については、業界横断での議論が急務となっている。
詳細はCharacter.ai enters Chapter 11 after self-harm suits, with Disney set to pay $20 million for IP licenseを参照していただきたい。




