10月18日、myelectricsparks.comが「AI Stock Selloff Gives Nasdaq Worst Week Since June」と題した記事を公開した。AI関連株の急落によってNasdaqが6月以来最悪の週間パフォーマンスを記録した市場動向について詳しく紹介している。
Nasdaqが週間-5%——6月以来最悪の週
AI関連株の売りが金曜日にウォール街を揺るがした。Nasdaqは1日で2%超下落し、週間では約5%の損失を記録。これは6月以来最悪の週次パフォーマンスだ。S&P 500は1.1%、ダウは0.3%それぞれ下落した。両指数がともに史上最高値を更新してからわずか10日後の出来事である。
CoreWeaveが5日間で25%下落——負債構造が問題の核心
売りの震源地となったのが、Nvidia出資のクラウド企業CoreWeaveだ。金曜日だけで13.5%下落し、週間では4分の1の時価総額が消えた。株価は上場後の最高値から65%以上下落している。
問題の本質は財務構造にある。CoreWeaveはデータセンター建設のために数百億ドル規模の借り入れを行っており、一部の社債利回りは15%超に達した。クレジット市場では**5年以内のデフォルト確率が50%**と見られている。
投資家が突きつける問いは単純だ——「AI企業は本当に借金を返せるのか」。現在、AI関連の設備投資の約3分の1が負債で賄われているという構造が、今回の売りの根底にある。インフレ指標の悪化で高金利が長期化するとの懸念も重なり、10年債利回りは一時5.097%まで上昇した。
※10年債利回りとは、米国政府が発行する10年満期国債の利回りのこと。一般的に利回りが上昇すると、将来の収益を割り引いた現在価値が下がるため、成長期待で買われているテック・AI株には売り圧力がかかりやすい。
半導体株が最大の打撃を受ける
チップ株への打撃は特に大きかった。VanEck Semiconductor ETFは週間で10%下落し、金曜日だけで3.3%安となった。個別では:
- SanDisk:-6.7%
- AMD:-5.9%
- Micron:-5.7%
半導体の広義指数は8日連続の下落となり、6月の高値を下回っている。ただし、AIハードウェア不足が続いているため、株価が下がっても実際のチップ価格は高止まりしている。
Gartnerが示す需給ギャップ
Gartnerの新たなリサーチがさらに不安を煽った。同社の予測によれば、AIプロバイダーは2030年までにインフラに7兆ドルを投じるが、AI関連収益は最大3.6兆ドルにとどまる見込みだ。この3.4兆ドルのギャップが売りの中心的な懸念となっている。
加えてGartnerは、CoreWeaveのようなネオクラウド(AIワークロードに特化したGPUクラウドインフラ企業。AWS・Azure・GCPなど既存の大手クラウドと区別する呼称)の80%以上が10年以内に廃業すると予測している。
Coin BureauのNic PuckrinはThe New York Postに対し、「AI建設ラッシュの中心にある企業のバリュエーションは非現実的であることが証明されるかもしれない」と述べ、Anthropicの最大2兆ドルとも言われるバリュエーションにも疑問を呈した。一方で「反発の余地はあるが、AI関連というだけで簡単に利益が得られる時代はほぼ終わった」とも付け加えた。
※この「ほぼ終わった」という表現はPuckrin個人の見解であり、市場全体のコンセンサスを代表するものではない点に留意されたい。
ショート勢が含み益——半導体指数の空売り勢に恩恵
売り方にとっては稀に見る好週だった。S3 Partnersのデータ(Bloombergが報道)によれば、フィラデルフィア半導体指数(SOX)のショートポジション保有者は今週だけで32億ドル規模の含み益を得た。CoreWeaveのショートポジションだけでも10億ドル超の利益が見込まれる。
※フィラデルフィア半導体指数(SOX)とは、米国および海外の主要半導体関連企業30銘柄で構成される株価指数。半導体セクター全体の健全性を測る指標として広く参照される。なお、元記事における出典はS3 Partnersの集計データであり、Bloombergはその内容を報道した媒体にあたる。
暗いだけではない——実需は依然として存在する
全面安の中にも例外はある。TSMCは6四半期連続で過去最高益を更新し、売上高は51%増を記録した。チップとメモリへの実需は供給を上回り続けており、この需給逼迫がコストを押し上げている。なお欧州では、ASMLのAI需要見通しが米国テック株の下落とは対照的に欧州株を支えた。
Wall StreetではDan Ivesのように「下落は行き過ぎ」と見る向きもあり、大手クラウド各社の決算発表がAI投資継続の根拠になり得るとの声もある。一方でGMOのBen Inkerは「AIへの支出が伸び悩めば、経済全体に影響が及ぶ」と警告している。
まとめ
今回の売りは、借り入れ頼みのAI投資に対して市場がようやく「値札を確認し始めた」動きとも言える。データセンターへの需要は実在し、チップ不足も続いている。ただし、AIという名前さえついていれば株価が上がる局面は終わりを迎えつつあり、貸し手は高いリスクプレミアムを要求し始めている。
詳細はAI Stock Selloff Gives Nasdaq Worst Week Since Juneを参照していただきたい。




