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ビジネス・マーケット

TSMCが四半期売上467億ドルで過去最高を更新 — 純利益率51%を維持しながら2nmが1四半期で3%→8%へ急伸

10月19日、My Electric Sparksが「TSMC Posts Record Quarter as AI Chips Drive $46.7 Billion in Sales」と題した記事を公開した。売上の半分以上が純利益に変わる**純利益率51.1%**を維持しながら、2nmプロセスのウェハ売上比率がわずか1四半期で3%から8%へ急増した——TSMCの2026年第3四半期決算は、単なる「過去最高更新」という言葉では収まらない中身を持っている。

10月19日、My Electric Sparksが「TSMC Posts Record Quarter as AI Chips Drive $46.7 Billion in Sales」と題した記事を公開した。売上の半分以上が純利益に変わる**純利益率51.1%**を維持しながら、2nmプロセスのウェハ売上比率がわずか1四半期で3%から8%へ急増した——TSMCの2026年第3四半期決算は、単なる「過去最高更新」という言葉では収まらない中身を持っている。


AIチップが売上の68%を占める過去最高の四半期

TSMCは2026年第3四半期の売上高として467億ドルを計上し、同社史上最高の四半期売上を更新した。純利益も6四半期連続で最高記録を更新している。

売上の内訳を見ると、AIデータセンター向けプロセッサを含む高性能コンピューティング(HPC)部門が**全体の68%**を占めた。スマートフォン向けが21%、残りが車載・IoT・民生機器向けとなる。クラウド大手がAIアクセラレータの調達を積み増し続けており、HPCの比率は今後もさらに高まる可能性がある。

AI向け半導体の旺盛な需要を支える背景には、TSMCが強みを持つ先端パッケージング技術がある。同社のCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)は、GPU本体とHBM(High Bandwidth Memory)を1パッケージに統合する技術で、NVIDIAのH100/H200系やAMDのInstinct系アクセラレータに広く採用されている。CoWoSの生産能力がAI向け出荷量のボトルネックになってきた経緯は過去の決算でも繰り返し言及されており、今四半期も供給制約の主因の一つとして位置づけられている。


2nmプロセスの急速な立ち上がり

技術面で注目すべき数字がある。ウェハ売上に占めるプロセスノード別の内訳は以下の通りだ。

  • **2nm:8%**(前四半期の3%から1四半期で急増)
  • 3nm:33%
  • 5nm:28%
  • 7nm:10%

7nm以下の先端ノードだけで**ウェハ売上の79%**を占める計算だ。

特に2nmの立ち上がり速度は際立っている。TSMCのN2プロセスはGAA(Gate-All-Around)トランジスタ構造を採用した世代であり、前世代のFinFET構造から設計・製造の両面で大きく変わる。新プロセスの初期ランプは通常マージンを圧迫するが、実際に粗利益率は前四半期の67.7%から**66.4%**へわずかに低下した。同社はこれを一時的なコストと説明しており、量産が進めば回復するとしている。

それでも純利益率は51.1%を維持した。売上の半分以上が純利益に変わる水準であり、同社は四半期末時点で1,260億ドルの現金および有価証券を保有している。半導体メーカーとしては異例の財務体力であり、巨額の設備投資を自己資金で賄える余力を示している。


設備投資は600〜640億ドル規模、2028年まで加速

今後の方向性を最も端的に示すのが設備投資の規模だ。TSMCは2026年の資本的支出を600億〜640億ドルと再確認した。すでに最初の9ヶ月で406億ドルを執行済みであり、第3四半期単体でも138億ドルを投じた。

なお、記事タイトルで「6.4兆円規模」と表記する場合は為替レートによって変動するため、本稿ではドル建て数字で統一する。

資金は台湾・アリゾナ・日本の新工場と先端ノードの拡張に充てられる。CEOのC.C.ウェイ氏は「需要と供給の差はまだ非常に大きい」と述べており、顧客が望む量のチップを現時点では供給しきれない状況が続いている。

CFOのウェンデル・ファン氏はエージェンティックAI(自律的にタスクを実行するAIソフトウェア)を次の需要ドライバーとして挙げた。推論処理の大規模化が新たなウェハ需要を生むとの見立てだ。従来の学習フェーズ中心の需要から、推論・エージェント処理へと需要の裾野が広がることで、必要なシリコン総量がさらに膨らむという構図である。

ゴールドマン・サックスやUBSのアナリストは、2027年の設備投資が850億〜900億ドル規模に達すると試算している。現在進行中のファブは世界で約20棟にのぼる。


競合との差と第4四半期の見通し

サムスンファウンドリーやインテルファウンドリーも同じAI向け受注を狙っているが、歩留まりとパッケージング技術の両面でTSMCに追いついていない状況だ。前述のCoWoSに加え、TSMCが独自に展開する3D Fabricと呼ばれる積層・パッケージング技術群が、顧客の囲い込みに寄与しているとされる。プロセス世代では競合に対して1ノード分のリードを保っているとされる。

第4四半期の売上ガイダンスは523億〜543億ドルで、これが実現すれば再び過去最高を更新する。粗利益率は65〜67%の維持を見込んでいる。リスクとしては、少数の大手チップ設計会社への受注集中、新プロセスの歩留まり問題、海外拠点の稼働率が上がるまでのマージン圧力が挙げられている。2nmの歩留まり改善ペースと、CoWoS増産の進捗が今後数四半期の焦点になる。


詳細はTSMC Posts Record Quarter as AI Chips Drive $46.7 Billion in Salesを参照していただきたい。