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「AIコードお断り」を明文化したNetBSDに寄付が殺到 — 年間目標5万ドルの2倍超を達成、Linux陣営のAI容認も一因か

10月20日、pbxscience.comが「NetBSD Finds a New Role as the AI-Free Open-Source Operating System」と題した記事を公開した。AIコード生成を明示的に禁止するNetBSDが、Linux陣営のAI推進の流れに反発する開発者から支持を集め、記録的な寄付を受けた経緯について詳しく紹介されている。「AIコードお断り」が売り文句になったAIコード生成ツールが開発現場に普及する中、主要OSSプロジェクトの中で唯一、AIコード禁止を明文化しているOSとして、NetBSDへの注目が高まっている。NetBSDは2024年5月、CopilotやChatGPT、Code Llamaといった大規模言語モデル(LLM)が生成したコードを「汚染済み(tainted)」とみなすポリシーをコミットガイドラインに明記した。なお「tainted」はNetBSD文脈では「出所の検証が困難なコードが混入した状態」を指す用語として用いられており、カーネルモジュールの信頼性管理などで使われる概念に由来する。プロジェクトのコアチームから事前に書面での承...

10月20日、pbxscience.comが「NetBSD Finds a New Role as the AI-Free Open-Source Operating System」と題した記事を公開した。AIコード生成を明示的に禁止するNetBSDが、Linux陣営のAI推進の流れに反発する開発者から支持を集め、記録的な寄付を受けた経緯について詳しく紹介されている。

「AIコードお断り」が売り文句になった

AIコード生成ツールが開発現場に普及する中、主要OSSプロジェクトの中で唯一、AIコード禁止を明文化しているOSとして、NetBSDへの注目が高まっている。

NetBSDは2024年5月、CopilotやChatGPT、Code Llamaといった大規模言語モデル(LLM)が生成したコードを「汚染済み(tainted)」とみなすポリシーをコミットガイドラインに明記した。なお「tainted」はNetBSD文脈では「出所の検証が困難なコードが混入した状態」を指す用語として用いられており、カーネルモジュールの信頼性管理などで使われる概念に由来する。プロジェクトのコアチームから事前に書面での承認を得ない限り、LLM生成コードのコミットは認められない。

寄付額が目標の2倍超に

その姿勢が、具体的な数字に表れた。NetBSDプロジェクトはMastodonで、2026年9月の寄付件数が個人120件、総額12万282ドルに達したと報告した。年間目標額5万ドルの2倍以上であり、寄付バーは完全に埋まったという。資金不足が常態のOSSプロジェクトとしては異例の状況だ。

Linux陣営のAI受け入れが背景に

この流れの背景の一つとして、Linus Torvaldsが2026年7月に「LinuxはアンチAIプロジェクトではない」と発言したことが挙げられている(元記事はこれを「一因とされる」と留保付きで紹介している)。

その後の動きを整理する。

  • 2026年8月:Debianが開発者投票の結果、AIアシスト貢献を条件付きで解禁(提出者が内容に責任を持つことを前提)
  • 2026年3月:Red Hat Global Engineeringが社内向けメモで「エージェント型ソフトウェア開発ライフサイクル」への移行を示唆
  • Open Source Summit Europe(プラハ)ではAIが展示の主役となり、BSDファミリーはほぼ話題に上らなかった
  • 2026年10月にはLinuxカーネル開発者が「AIツール使用の開示義務」を撤廃。Torvaldsは「提出するコードを理解することが重要」と強調した

手書きコードにこだわる開発者にとっての問題は、AIアシストコードが一度Linuxカーネルに入れば、どのディストリビューションも完全には回避できないという点にある。NetBSDの禁止ポリシーはその対極にある選択肢だ。

他のBSDはどうなのか

プロジェクト AIコードへのスタンス
OpenBSD Theo de Raadtはライセンス問題を理由に原則禁止の立場。ただしOpenBSDに同梱されるtmuxはAIアシスト変更を受け入れており、ポリシーに抜け穴がある
FreeBSD 中央委員会が2025年9月以降1年以上議論を続けているが、合意未達
DragonFly BSD 公式のスタンス表明なし

OpenBSDのTheo de Raadt氏がAIコードを認めない根拠として挙げるのは、LLMが参照した元の人間による著者を追跡できない以上、ライセンスを正当に付与できないという法的問題だ。

NetBSDの地位が変わりつつある背景

NetBSDはもともと「Of course it runs NetBSD(NetBSDはもちろん動く)」というスローガンで知られ、幅広いアーキテクチャへの移植性を強みとしてきた。2024年にはLinuxの台頭とFreeBSDのZFS統合強化により、その存在感は薄れつつあると見られていた。

しかし直近のハードウェアサポート縮小が状況を変えた。FreeBSD 15は32ビットx86と32ビットPOWERを、Debian 13はx86-32とMIPSをそれぞれ削除。RHEL 10はx86-64-v3を要求するようになった。主要ディストリビューションが対応アーキテクチャを絞り込む流れの中で、NetBSDの幅広い移植性が改めて評価される余地が生まれている。

2026年8月リリースのNetBSD 11はRISC-Vサポートを追加しており、主要プロジェクトが削っていくアーキテクチャを引き続き支える方向性は変わっていない。

「AIフリー」という立場が意図的なブランディングとして機能し始めているNetBSDの動向は、OSSコミュニティにおけるAIコード受け入れ議論の一つの断面を示している。

詳細はNetBSD Finds a New Role as the AI-Free Open-Source Operating Systemを参照していただきたい。