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米政府がDeepSeekを全面禁止 — 「自社で使っていなくても無関係ではない」サプライチェーンリスクとして企業も対応を迫られる

10月21日、InfoWorldが「US bans DeepSeek across federal agencies, putting AI supply chains under scrutiny」と題した記事を公開した。米国土安全保障省(DHS)がすべての連邦機関に対しDeepSeek製品・サービスの利用を全面禁止したことで、AIのサプライチェーンリスクが企業にとっても他人事ではなくなった。直接DeepSeekを使っていない組織であっても、ベンダー経由で技術を「受け継いでいる」可能性があるからだ。なお、この動きは孤立した出来事ではない。2025年初頭のTikTok禁止をめぐる議論や、中国製技術に対する包括的な規制強化の流れを受け、DeepSeekが2025年1月に公開されて爆発的な注目を集めた直後から、米政府機関内での利用制限を求める声は高まっていた。DHSの禁止令はその流れを制度として確定させたものと位置づけられる。

10月21日、InfoWorldが「US bans DeepSeek across federal agencies, putting AI supply chains under scrutiny」と題した記事を公開した。米国土安全保障省(DHS)がすべての連邦機関に対しDeepSeek製品・サービスの利用を全面禁止したことで、AIのサプライチェーンリスクが企業にとっても他人事ではなくなった。直接DeepSeekを使っていない組織であっても、ベンダー経由で技術を「受け継いでいる」可能性があるからだ。

なお、この動きは孤立した出来事ではない。2025年初頭のTikTok禁止をめぐる議論や、中国製技術に対する包括的な規制強化の流れを受け、DeepSeekが2025年1月に公開されて爆発的な注目を集めた直後から、米政府機関内での利用制限を求める声は高まっていた。DHSの禁止令はその流れを制度として確定させたものと位置づけられる。


連邦機関でDeepSeekが全面禁止に

DHS長官は、すべての連邦機関に対してDeepSeek製品・サービスの利用を禁止する命令を発令した。対象機関は60日以内にITシステムからDeepSeekを排除しなければならない。「やむを得ない事情」がある場合は、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)へ書面で適用除外を申請できる。

連邦官報に掲載された文書によると、禁止対象は杭州DeepSeek人工知能有限公司が開発したすべての技術であり、関連製品のみならず、DeepSeekの実装を利用して構築されたサードパーティ製ツールやソフトウェアも含まれる。財務省、国務省、司法省などの行政機関が対象となる一方、民間消費者、一般市民、州・地方政府、国防総省の国家安全保障システムは適用外だ。

DHSが挙げた懸念点は主に3点だ。

  • データ主権の問題:DeepSeekのサーバーは中国に置かれており、中国の法制度は政府のサイバー・諜報機関に民間インフラへの広範なアクセス権を与えている
  • 個人情報の収集とデータ移転リスク:アカウント作成時に個人識別情報(PII)を収集し、ユーザーをデジタルフィンガープリントで追跡する可能性がある。プロンプトへの応答過程で機密データが中国側に転送されるリスクも指摘されている
  • マルウェアや脆弱性の混入:2025年2月に公開されたNowSecureによるセキュリティ調査では、DeepSeekのiOSアプリに複数の深刻な脆弱性が発見されている

セキュリティ問題の実績

禁止令の背景には、DeepSeek自身のセキュリティ運用への不信感もある。2025年1月、DeepSeekはチャット履歴、APIシークレット、その他の機密情報を含む100万件以上のログエントリを、保護されていないデータベース経由で漏洩させた。同社はこの問題に対処したとされているが、プラットフォーム全体のセキュリティ慣行への疑念は払拭されていない。

Infotechのテクニカルカウンセラー、Erik Avakianは次のように述べている。

「ホスト型AIサービスを利用する場合、組織は知的財産、機密ビジネス情報、その他の機密データを、何が起きているか可視性も制御もほとんど持てない環境に送り込んでいる可能性がある」

また、DeepSeekのモデルが「本質的に悪意を持っている」わけではないと前置きしつつも、データプライバシー、中国の法律下での情報アクセスの可能性、ジェイルブレイク(安全制限の迂回)への脆弱性など、複数の未解決リスクがあると指摘する。


サプライチェーンリスクとして捉えるべき問題

今回の禁止令で企業にとって特に重要なのが、サードパーティ製品・サービスへの適用だ。自社で直接DeepSeekを利用していなくても、ベンダーや利用しているソフトウェアプラットフォームがDeepSeekの技術を内包していれば、知らぬ間にリスクを抱えることになる。Avakianはこれを「典型的なサプライチェーン問題」と表現する。

なお、DeepSeekの一部モデルはMicrosoft AzureやAWSなどのプラットフォームでも提供されている。

Avakianが企業に求めるアクションは次のとおりだ。

  • AIインベントリの見直し:利用しているAIアプリケーションだけでなく、その裏で動くモデル、フレームワーク、依存関係、外部サービスまで把握する
  • 調達要件の更新:ベンダー選定基準にAI技術の構成要素を含める
  • サードパーティリスク管理の拡充:サードパーティ経由で「受け継いでいる」技術リスクを評価する

DeepSeekを業務に使いたい場合の進め方としては、公開情報や匿名化済みデータを使い、自社管理下のサンドボックス環境から低リスクな用途で始めることを推奨している。文書要約、社内調査、コーディング支援といった用途が例として挙げられている。

「解決しようとしているビジネス課題は何か、という問いから始めよ。DeepSeekがその最善策かを判断し、セキュリティ管理を検証してから、リスク許容度に基づいてユースケースを広げていくべきだ」(Avakian)

また、こんな言葉も残している。

「オープンソースであること、低コストであること、技術的に優れていることは、エンタープライズ用途に適切であることを自動的に意味しない。他のソフトウェアサプライチェーンの意思決定と同様に扱え」


DeepSeekが同タイミングでオープンソースフレームワークを公開

サプライチェーンリスクへの警戒が高まるなか、DeepSeek自身は社内推論フレームワーク「DeepInfer」をオープンソース化したばかりだ。高スループット・低レイテンシを特徴とし、「プライベート展開からパブリッククラウドまで、大規模推論をより効率的にするためにコミュニティと協力し続ける」とXへの投稿で述べている。コスト削減への期待もあるが、Avakianはリリースされたばかりのフレームワークについて、自社環境での検証なしに節約効果を前提にすべきではないと指摘する。DeepInferをすぐに採用することはそれ自体、新たなサプライチェーンリスクとなりうる点には注意が必要だ。

詳細はUS bans DeepSeek across federal agencies, putting AI supply chains under scrutinyを参照していただきたい。