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GPT-6はCOBOLをモダン言語に97.9%の精度で変換できる — 世界のATM取引の大半を支えるレガシーコードの移行が現実解になるか

10月21日、The Decoderが「OpenAI says GPT-6 is much better with legacy programming languages such as COBOL and Fortran」と題した記事を公開した。OpenAIの最新モデルGPT-6が、COBOLからPythonやJavaへの変換タスクで**97.9%**という精度を記録したという。長年「技術的負債」として金融機関を悩ませてきたレガシーコードの移行問題に、AIが本格的に切り込み始めた。

10月21日、The Decoderが「OpenAI says GPT-6 is much better with legacy programming languages such as COBOL and Fortran」と題した記事を公開した。OpenAIの最新モデルGPT-6が、COBOLからPythonやJavaへの変換タスクで**97.9%**という精度を記録したという。長年「技術的負債」として金融機関を悩ませてきたレガシーコードの移行問題に、AIが本格的に切り込み始めた。


COBOL・Fortranでの性能が急伸——なぜ今レガシー言語なのか

COBOLやFortranは「古い言語」というイメージが先行しがちだが、現役の基幹インフラを支え続けている。IBMの推計によれば、**COBOLはオンラインバンキングシステムの40%以上、ATM取引の95%**を処理している(同推計は主に北米・欧州の金融機関を対象としたものとされる)。

こうした実態にもかかわらず、AIがこれらの言語を苦手としてきた理由は明確だ。訓練データが豊富なPythonやJavaScriptなどと比べ、COBOLやFortranは「低リソース言語(low-resource languages)」——すなわち公開されているコードサンプルが著しく少ない言語——に分類される。LLMは大量のコードを学習して推論能力を獲得するため、サンプルが少ない言語では精度が落ちやすい。加えて、COBOLを書ける現役エンジニアの高齢化と減少も深刻で、米GAO(政府説明責任局)は2023年の報告書で連邦政府機関の多くが老朽化したCOBOLシステムへの依存を続けていると指摘している。

OpenAIは今回、こうしたレガシー言語への対応強化を公式ブログで明らかにした。


評価指標と具体的な数字

OpenAIは性能測定のために2種類のベンチマークを構築した。

MultiLangBench:20言語でのゼロからの実装

MultiLangBench(GitHub)は、モデルにSQLite互換のデータベースエンジンをゼロから実装させるタスクだ。COBOL・Fortranを含む20の言語を対象にテスト通過率を計測する。なお、このベンチマークではGPT-6ファミリーの上位モデル「GPT-6 Astra」が最上位として登場する(後述のCOBOLマイグレーションベンチマークとは対象モデルが一部異なる点に注意されたい)。

なお、各結果は最大の推論努力(reasoning effort)を投入した条件で計測されている。推論努力とはOpenAIが導入した概念で、モデルが回答を生成する前にどれだけ深く「思考連鎖(chain-of-thought)」を展開するかの度合いを指し、高いほど計算コストと応答時間が増加する一方、複雑なタスクでの精度が向上する傾向がある。

モデル 平均テスト通過率
GPT-6 Astra 87.4%
GPT-6.1 Sol 約87%
GPT-5.6 Terra 約38%
GPT-6 Luna 40.3%

GPT-5.6 Terraの約38%からGPT-6 Astraの87.4%へ、2倍以上の跳ね上がりが確認できる。一方、GPT-6 Lunaは40.3%と旧モデル(GPT-5.6 Terra:37.9%)をわずかに上回る程度だが、コストは大幅に低い。


MultiLangBench上での平均テスト通過率。GPT-6 AstraとGPT-6.1 Solが約87%に達する一方、GPT-5.6 Terraは約38%にとどまる。| 画像: OpenAI

COBOLマイグレーションベンチマーク:モダン言語への変換精度

もう一つのベンチマークは、COBOLをC++、Java、Kotlin、Python、Rustのいずれかに変換する精度を測るものだ。こちらではGPT-6.1 Solが主な評価対象となっており、MultiLangBenchのGPT-6 Astraとはモデル系統が異なる。ざっくり言えば、MultiLangBenchが「多言語での実装能力全般」を測るのに対し、こちらは「COBOLのモダン言語移行」というより実務的なシナリオに特化している。

  • GPT-5.6 Sol(低推論努力):5.4%
  • GPT-6.1 Sol(低推論努力):86.6%
  • GPT-6.1 Sol(高推論努力):97.9%

前世代のGPT-5.6 Solでは低推論努力で5.4%と実用水準にほど遠かったが、GPT-6.1 Solは低推論努力の段階で86.6%を記録し、高推論努力では97.9%に達する。COBOLのモダン言語移行は長年の「技術的負債」として多くの金融機関が抱えてきた問題であり、この精度向上は現場エンジニアには直接刺さる話だ。


「高性能モデル」と「低コストモデル」の使い分け

今回の結果で浮かび上がるのは、GPT-6 Astra/GPT-6.1 Sol(高性能・高コスト寄り)とGPT-6 Luna(低コスト)の役割分担だ。MultiLangBenchではAstraとLunaで**87%対40%**という大きな差が生じており、レガシー言語の複雑な移行タスクには高推論モデルを選ぶ必要があることが数字で明確に示された。

一方で、COBOLマイグレーションベンチマークにおいてGPT-6.1 Solが低推論努力でも86.6%を達成している点は見逃せない。常に最大の推論努力を投入しなくても実用水準の精度が得られるケースがあることを示しており、コストと精度のバランスを考慮した使い分けが実務では重要になる。金融システムのような高信頼性が求められる場面では97.9%を狙って高推論努力を選ぶ、日常的なコード補助やプロトタイプ作成では低コストモデルで十分とする、といった判断軸が現実的だろう。レガシーシステムの移行プロジェクトは一般に長期・大規模になるため、モデル選定のコスト試算は早期に行っておく価値がある。


詳細はOpenAI says GPT-6 is much better with legacy programming languages such as COBOL and Fortranを参照していただきたい。