10月23日、Search Engine Journalが「Pichai Says AI Agents Will Click Through Pages And Use Protocols」と題した記事を公開した。GoogleのCEO Sundar PichaiがAIエージェントによるウェブアクセスの将来像として「ブラウザ経由の操作」と「エージェント専用プロトコル」の2方式が並立するという見解を示したもので、エンジニアやウェブ運営者にとって見逃せない論点が複数含まれている。
見落とされがちな落とし穴:robots.txtが効かないケースがある
エンジニアとして最初に押さえておくべきは、Googleが既に運用している Google-Agent というユーザーエージェント文字列だ。
Googleの公式ドキュメント(User-triggered fetchers)によれば、Google-AgentはGoogleのサーバー上でユーザーのリクエストに基づいてウェブを操作する「ユーザートリガー型フェッチャー」に分類される。そして重要な点として、エンドユーザーのリクエストに起因するフェッチャーは、通常robots.txtの指示に従わないとGoogleは明記している。
つまり、robots.txtでクロールを制限していても、ユーザーがGeminiのエージェント機能を通じてそのサイトを操作しようとした場合、その制限が機能しない可能性がある。厳密には「robots.txtに従わない場合がある」という条件付きの話であり、すべての状況で無効化されるわけではない点には注意が必要だ。なお、Googleはユーザーエージェント文字列がなりすまされる可能性についても言及しており、正規のGoogle-Agentが使用するIPアドレス範囲を公開している。
AIエージェントのウェブアクセスは「2方式並立」へ
PichaiはSources PodcastのAlex Heathによるインタビューの中で、AIエージェントがウェブにアクセスする方法として、2つの方式が今後ともに発展すると述べた。
- ブラウザベースの操作:人間がウェブを閲覧するのと同様に、エージェントがページを開いてクリックしていく方式
- エージェント専用プロトコル:エージェント間の連携や処理に特化して設計されたプロトコル経由のアクセス
Pichaiはプロトコル方式を「はるかにスケーラブルなアプローチ」と評価しつつ、普及には時間がかかると見ている。一方、ブラウザ経由の方式については「ユーザーが実際にやることと同じ操作なので、非常にエレガントなやり方だ」とも述べており、プロトコルが成熟するまでの間は両方式が共存するとの認識だ。
Googleが推進するUCP(Universal Commerce Protocol)
プロトコル側の具体的な動向として、元記事ではGoogleが複数の企業と共同で策定したUCP(Universal Commerce Protocol)が言及されている。UCPはエージェントによるEC取引を標準化するオープン規格で、GoogleはAI ModeやGemini上でのエージェントによる購買アクションを可能にするため、加盟マーチャントに採用を促している。
GoogleのUCP開発者向けページによれば、現在は直接購入(ダイレクトバイイング)を皮切りに、宿泊予約・フード注文といった機能も近日追加予定(ウェイトリスト受付中)とされている。
PichaiはMCP(Model Context Protocol)やペイメントプロトコルなど複数の動向にも言及し、「カオスな進化を経て、より相互運用可能な標準へ向かっていくことを期待している」と述べた。MCPはAnthropic発のプロトコルで、AIエージェントが外部ツールやデータソースと連携するための仕様として業界での採用が進んでいる。
広告ビジネスへの影響は「回答なし」
Heathはインタビューの中で、AIエージェントがブラウジングを担うようになった場合にGoogleの広告ビジネスはどうなるのかという核心的な質問をぶつけた。元記事ではエージェントが自身を名乗らずにブラウジングしていたことを理由にAmazonが他社AIエージェントのアクセスを遮断した問題も引き合いに出されており、エージェントのなりすましや透明性をめぐる業界全体の課題が背景にある。
Pichaiの回答は以下の通りだ。
「長期的に正しい答えは、ユーザーを最優先にして、ユーザーが何を望むかを問うことだ。」
ただし、この回答はエージェントが閲覧するようになった場合にGoogle自身の広告がどう機能するかについては直接言及していない。Pichaiは現在の状況をインターネット黎明期になぞらえ、「ミクロな均衡が生まれ、それが移行していく」と述べるにとどめた。
今後の展開
Pichaiは、現在主にUltraおよびProサブスクライバー向けに提供しているGeminiのエージェント機能を、今後数ヶ月以内により広いユーザー層に開放する計画を明らかにした。robots.txtの扱いやエージェントの透明性をめぐるルール整備は業界全体でまだ途上にあり、ウェブ運営者・開発者ともに動向を注視する必要がある。
詳細はPichai Says AI Agents Will Click Through Pages And Use Protocolsを参照していただきたい。




