10月23日、Google Cloudが「Expanding Claude availability and deployment choice on Google Cloud」と題した記事を公開した。Google Cloud上でAnthropicのClaudeを使う開発者にとって、デプロイの選択肢が実質的に広がる発表だ――新機能を提供開始と同時に使いたいチームと、コンプライアンスや data 主権を優先したい組織の両方が、同一プラットフォーム上で最適な構成を選べるようになった。
2つのデプロイオプションが正式提供開始
今回の発表の核心は、Anthropic管理によるデプロイオプションがGA(一般提供)になった点だ。これまでGoogle CloudでのClaudeはGoogle管理のオプションのみだったが、今回の追加によりユーザーは目的に応じて選択できるようになった。
背景として、GoogleはAnthropicの主要な出資企業のひとつであり、Google CloudはVertex AIを通じてClaudeモデルを提供してきた実績がある。Anthropic管理オプションの追加は、こうした深い連携関係をプロダクトレベルでさらに前進させるものと位置づけられる。
両オプションに共通しているのは、最新モデルへのDay 0アクセス(モデルの提供開始日当日から利用できること)・同一料金体系・Google Cloud統合請求の3点だ。差異はデータ処理者が誰かと、新機能へのアクセスタイミングに集約される。
Anthropic管理オプション:新機能を即日利用できる
エンジニアにとって実質的な差別化ポイントは「新機能のDay 0アクセス」だ。
Anthropic管理オプションでは、Claude Managed Agents(ベータ)、スキル、コード実行といったClaudeプラットフォームの新機能が提供開始と同時に利用可能になる。Google管理オプションではこれらの機能はGoogleのインフラへの統合完了後に順次提供されるため、タイムラグが生じる。
データ処理の観点では、Anthropicが自社のGoogle Cloudインフラ上でスタックを運用し、データ処理者はAnthropicとなる。認証はGoogle Cloud IAMを引き続き利用でき、Cloud Audit Loggingも維持される。既存のGoogle Cloudコミットメントの消化(引き落とし)にも対応している。
Google管理オプション:コンプライアンス重視の組織向け
一方、Google管理オプションはこれまで通りGoogleがデータ処理者として動作し、既存のGoogle Cloud契約のもとで運用される。
ガバナンスや規制対応を重視する組織向けに、以下の機能が引き続き提供される:
- **VPC Service Controls**(Google Cloudのセキュリティ境界機能。APIへのアクセスをネットワーク境界で制御し、データの外部持ち出しを防ぐ仕組み)
- **Customer-Managed Encryption Keys(CMEK)**(顧客自身がCloud KMSで暗号鍵を管理する仕組み。鍵の失効によりデータアクセスを即時遮断できる)
- データレジデンシー(米国・EU・APAC。データの保存・処理場所を特定リージョンに限定できる)
- BigQueryやModel Armorなど、Google Cloudサービスとのネイティブ統合
金融・医療・公共など、規制業界の組織や社内のデータガバナンスポリシーが厳格なチームにとっては、引き続きGoogle管理オプションが適切な選択となるだろう。
比較表
| 機能 | Anthropic管理 | Google管理 |
|---|---|---|
| モデル提供開始 | Day 0 | Day 0 |
| 新機能・ベータ | Day 0 | Google管理インフラへの統合後 |
| データ処理者 | Anthropic(Anthropic商用利用規約) | Google Cloud(既存契約) |
| VPC Service Controls / CMEK | 非対応 | 対応 |
| データレジデンシー | 非対応 | 対応(US・EU・APAC) |
| 料金・コミットメント消化 | 標準料金(対象コミットメント消化対応) | 同左 |
利用可能なモデル
どちらのオプションでも、以下の最新モデルにアクセスできる(モデル名は元記事のGoogle Cloud Marketplaceリンクに記載されているものをそのまま転記している):
※編集部の考察:上記モデル名は現行のClaude 3.x系の命名規則とは異なる表記となっており、今後の正式ドキュメントで名称が変更・整理される可能性がある。利用時はAnthropic公式ドキュメントおよびVertex AIモデルガーデンで最新情報を確認されたい。
どちらを選ぶか
判断軸はシンプルだ。新機能への即時アクセスを優先するならAnthropicく管理オプション、コンプライアンス・データ主権を優先するならGoogle管理オプションを選ぶことになる。金額面での有利不利はなく、いずれも既存のGoogle Cloudコミットメントを消化できる。
開発者にとって現実的な選択肢が増えた形であり、特にClaudeのエージェント機能(Managed Agents)を本番環境で早期に試したいチームには、Anthropic管理オプションへの切り替えを検討する価値がある。利用開始はGoogle Cloud Marketplaceから行える。
詳細はExpanding Claude availability and deployment choice on Google Cloudを参照していただきたい。




