10月24日、My Electric SparksのAizaz Khanが「DeepSeek and MiniMax Win State Approval for Global AI Use」と題した記事を公開した。中国政府がAI企業DeepSeekとMiniMaxの海外向けAIモデル提供を正式承認したことを伝える内容だ。米国が半導体輸出規制によって中国のAI開発を封じ込めようとするなか、北京がAIモデルの海外展開という「別の戦線」を公式に開いた格好であり、グローバルなAI覇権争いにおける新たな局面として注目を集めている。
「輸出規制」と「承認」が同時進行する奇妙な構図
承認の報道は10月23日(木)、中国国営放送CCTVの関連SNSアカウント「玉渊谭天(Yuyuan Tantian)」を通じて伝わった。玉渊谭天はCCTV傘下の政策解説系アカウントで、政府の公式見解を広く発信する役割を担っている。DeepSeekとMiniMaxの両社が、AIモデルを海外向けに提供することについて国家の承認を得たという内容だ。両社は報道機関からのコメント要請に即答しなかった。
タイミングが興味深い。わずか1週間前、中国政府はAI関連技術23項目の輸出規制を提案したばかりだ。対象にはAIモデル、AIエージェント、コンピューティングクラスターが含まれており、一見すると「国内に囲い込む」方向に見えた。
しかし商務省はその後、メッセージをトーンダウンさせた。大半のAI技術は引き続き輸出可能であり、オープンソース技術は簡素化されたライセンス手続きで対応できる。海外で自社コンピューティングセンターを運営する中国企業に課されるハードルも緩和される。今回の承認はその「緩和路線」と整合する。北京が目指すのは孤立ではなく管理だ。国家安全保障上の重要技術は自ら定義し、それ以外は世界に出す——そういう構図である。
DeepSeekとMiniMax、それぞれの立ち位置
DeepSeekは2025年初頭、オープンモデルの公開でシリコンバレーに衝撃を与えた。米国テック株を1日で数百億ドル規模で下落させたことは記憶に新しい(関連記事)。低コストかつ高性能なモデルを公開したことで、「米国の半導体規制があっても中国はAI開発で追いつける」という認識を世界に広めた企業でもある。今回の承認はその世界展開を公式に後押しする形となる。
一方のMiniMaxは香港証券取引所に上場する企業で、テキスト・動画・音声の各領域でマルチモーダルAIの開発を進めてきた。香港上場という立場から国際的な資本市場との接点も持ち、グローバル展開を視野に入れた動きを続けてきた。DeepSeekほどの派手な注目を集めてはいないが、開発の速度と実用化への姿勢は際立っている。
翌24日(金)、Yuyuan Tantianは追加の投稿を行い、「海外のインターネットユーザーが他の中国オープンソースモデルにも同様の承認取得を促している」と伝えた。世界市場からの需要が存在することを、中国政府系メディアが自ら発信した点は象徴的だ。DeepSeekとMiniMaxへの承認が、他の中国AI企業にとっての先例となる可能性を示唆している。
「誰が作るか」から「誰のモデルが使われるか」へ
今回の承認が持つ意味は、個別企業の話にとどまらない。米国は2年以上にわたって半導体輸出規制を強化し、高性能GPUの対中輸出を制限することで中国のAI開発を遅らせようとしてきた。NVIDIAのH100やA100といったチップは事実上入手困難となり、その制限は段階的に厳格化されている。
しかし北京はその制約に対し、開発したモデルを世界に押し出すという別の戦線で応じた。半導体へのアクセスを封じられても、すでに完成したモデルを世界の開発者に使わせることができれば、標準化・依存関係・エコシステムの構築という面で主導権を握れるからだ。
競争の焦点は「最高のモデルを誰が作るか」から「世界中の開発者が実際にどのモデルを使うか」に移りつつある。
DeepSeekとMiniMaxの承認は、その文脈における最初の公式な一手だ。記事は「この承認は同様のケースの先駆けとなる可能性がある」と締めくくっている。
詳細はDeepSeek and MiniMax Win State Approval for Global AI Useを参照していただきたい。




