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Anthropic

エルビス274曲の無断AI学習でAnthropicが提訴 — 約75億円請求、皮肉にもClaude自身が「著作権侵害に近い」と認めていた

10月26日、Jim Raineyが「Elvis Presley rights holder sues Anthropic, says Claude trained on unauthorized songs」と題した記事を公開した。エルビス・プレスリーの楽曲著作権を保有するパートナーシップ群がAIスタートアップAnthropicを提訴したこの件で、特筆すべきは訴状の証拠構成だ。Claudeが自ら生成した楽曲について「著作権で保護された楽曲を再現している」と評価していたという、AIモデル自身の出力が著作権侵害の証拠として引用されている。エルビスの楽曲274曲が無断でAI学習に使われたとして提訴訴訟の原告は、エルビス・プレスリーの楽曲カタログを管理するAuthentic Brands Group(ABG)が主導するパートナーシップ群だ。ABGはエルビスのブランドと知的財産ポートフォリオをElvis Presley Enterprisesから取得・管理するライセンシング会社であり、エルビス関連権利の中核的な保有主体として知られている。対象となるのは「All Shook Up」「Can't ...

10月26日、Jim Raineyが「Elvis Presley rights holder sues Anthropic, says Claude trained on unauthorized songs」と題した記事を公開した。エルビス・プレスリーの楽曲著作権を保有するパートナーシップ群がAIスタートアップAnthropicを提訴したこの件で、特筆すべきは訴状の証拠構成だ。Claudeが自ら生成した楽曲について「著作権で保護された楽曲を再現している」と評価していたという、AIモデル自身の出力が著作権侵害の証拠として引用されている。

エルビスの楽曲274曲が無断でAI学習に使われたとして提訴

訴訟の原告は、エルビス・プレスリーの楽曲カタログを管理するAuthentic Brands Group(ABG)が主導するパートナーシップ群だ。ABGはエルビスのブランドと知的財産ポートフォリオをElvis Presley Enterprisesから取得・管理するライセンシング会社であり、エルビス関連権利の中核的な保有主体として知られている。

対象となるのは「All Shook Up」「Can't Help Falling in Love」「Don't Be Cruel」「Return To Sender」など274曲に及ぶ代表曲だ。訴訟はサンフランシスコの連邦裁判所に提起されており、請求額は約5,000万ドル(記事執筆時点の為替レートで約75億円)に加え、訴訟費用と弁護士費用の補償を求めている。

Anthropicの広報担当者は「主張には同意せず、本件を全面的に争う方針だ」とコメントしている。

訴状の核心:Claude自身の出力が証拠として引用される

訴状が最も注目される点は、Claude自身の出力を著作権侵害の証拠として援用していることだ。Claudeが生成した派生楽曲について、Claude自体が次のように評価していたとされる。

「同じ構造、軽い言い換えで再利用された同じフック、そしてバース/コーラス/ブリッジのフルセット。これは『インスパイアされた』の域を超え、言葉が入れ替わっていても著作権で保護された楽曲を再現している。」

AIモデルが自分の出力について著作権侵害に近いと認識していたという構図は、訴訟戦略として異色だ。従来のAI著作権訴訟では学習データの取得経路や出力の類似性が争点となることが多いが、モデル自身の評価文が証拠採用される事例は珍しく、今後の訴訟実務に影響を与える可能性がある。

訴状はまた、AnthropicがClaudeのトレーニングに楽曲を組み込んだプロセスについても詳述している。エルビスの楽曲を「無期限に保持することを意図した恒久的な汎用中央ライブラリ」に格納し、そこからサブセットを選択・再コピーして次世代のClaudeモデルの学習に使用したとされる。つまり一度取り込んだ楽曲データが、モデルの世代を超えて繰り返し利用されたという主張だ。

フェアユース論点と法的争点

AI学習データをめぐる著作権訴訟では、Anthropic側が「フェアユース(公正利用)」を抗弁として持ち出すことが予想される。フェアユースとは、著作権者の許諾なしに著作物を利用できる米国著作権法上の例外規定であり、利用の目的・性質、著作物の性質、使用量の割合、市場への影響などの要素を総合的に判断して適用の可否が決まる。

ただし今回の訴状が引用したClaudeの自己評価——「著作権で保護された楽曲を再現している」——は、フェアユース抗弁の有効性を弱める材料として機能し得る。学習段階での利用が変容的(transformative)であると主張しにくくなるためだ。この点が、本件を単なる学習データ訴訟と異なるものにしている。

AI著作権訴訟の積み上がる前線

弁護団は訴状の中で、サンフランシスコ連邦裁判所には現在少なくとも6件の類似訴訟が係属中であることを明記している。音楽著作権をめぐるAI学習データ問題は、個別の企業対個人の争いではなく、業界全体の法的枠組みを問う局面に入っている。

音楽業界では、Universal Music GroupらがAI音楽生成サービスのSunoおよびUdioを著作権侵害で提訴した事例が先行しており、今回のAnthropicへの提訴もこうした一連の動きと連動するものとして位置づけられる。Anthropicをめぐっては、作家グループやニュースメディアなど複数の著作権者からの訴訟がすでに進行中で、今回の提訴はその延長線上にある。

訴状は「Anthropicは無数のクリエイターと権利保有者の権利を踏みにじり、許可なくその作品を使用し、識別情報を削除し、不当な利益を自分たちだけで保持した」と主張している。業界全体として、AI企業がどのような条件・対価のもとで著作物を学習データとして使用できるかという基準作りを迫られる局面が続いている。

詳細はElvis Presley rights holder sues Anthropic, says Claude trained on unauthorized songsを参照していただきたい。