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ビジネス・マーケット

好決算でも市場の不安が消えない — ビッグテックのAI支出膨張が招く「投資家の忍耐切れ」

10月27日、Los Angeles Timesが「Big Tech's strong earnings may not be enough to ease fears over AI spending」と題した記事を公開した。AlphabetやMeta、Microsoft、Amazonがそろって好決算を報告する一方、AI設備投資の膨張に対する市場の不安は払拭されるどころか深まっている——この逆説的な構図を、同記事は複数のアナリストの発言と市場データをもとに詳細に分析している。

10月27日、Los Angeles Timesが「Big Tech's strong earnings may not be enough to ease fears over AI spending」と題した記事を公開した。AlphabetやMeta、Microsoft、Amazonがそろって好決算を報告する一方、AI設備投資の膨張に対する市場の不安は払拭されるどころか深まっている——この逆説的な構図を、同記事は複数のアナリストの発言と市場データをもとに詳細に分析している。


好決算でも株価が下がる逆説

AlphabetやMicrosoft、Amazonはいずれも今四半期に2桁台の増収が見込まれている。だが市場の関心はその数字よりも、AIにいくら使うのか、そしていつ利益に結びつくのか、という2点に集中している。

この構図を端的に示したのがMetaの決算だ。Metaは水曜夕方に好決算を発表し、時間外取引で株価は急伸した。ところが木曜の寄り付きには一転して売りが優勢となり、株価は6.1%下落——7月以来最大の下落幅を記録した。原因は将来のAI関連設備投資(capex)の計画が1,250億ドル引き上げられ、年間計画の上限が大幅に拡大されると判明したことだ(元記事の具体的な絶対額の表記に基づく。原文の数値は引用にとどめる)。この重い支出計画は追加の債務発行を意味し、Metaの5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格は新高値を更新した。

Gabelli FundsのポートフォリオマネージャーであるJohn Beltonはこう語っている。

「投資家は今、capexの増加に対して一切の忍耐を持っていない。市場はしばらく問題を無視し続けられるが、いずれは影響が出るか、少なくとも市場をより脆弱にする。」


AI支出への懸念を増幅させた3つの要因

記事は、投資家心理を悪化させた要因として複数を挙げている。

① AIインフラ特化型クラウドプロバイダーの警告
CoreWeaveは、GPUクラスターを大規模に運営するAIインフラ特化の独立系クラウドプロバイダーで、近年急成長している。こうした企業群は「ネオクラウド」とも呼ばれ、AWS・Azure・GCPのような従来型ハイパースケーラーとは異なり、AIワークロードに特化した独立系事業者を指す。CoreWeaveはAIインフラの整備が債務によって賄われている実態を浮き彫りにした。金利上昇局面でこの構造は特にリスクが高い。市場調査会社Gartnerは、AI収益が支出規模を正当化できない場合、2030年までに3.5兆ドル超のAIインフラ投資が減損リスクにさらされると試算している。

② AnthropicのIPO前の数字が示す成長鈍化
上場を検討中とされる主要AIラボのAnthropicは、第3四半期の売上高が前年同期比約45%増だったと投資家に伝えた。ただしこの成長ペースは第2四半期から鈍化しており、AIビジネス全体の成長物語に影を落とした。

③ マクロ環境の悪化
原油価格は上昇し、ブレント原油は4月以来の高値水準で推移。米国10年国債利回りは1カ月ぶりに5%を割り込み、資金が安全資産へ流れている。イランとの戦争継続や米中間選挙(元記事が明示する地政学的リスクの一つ)も重なっている。

Argent Capital ManagementのJed Ellerbroekは「今まさに極度の安全志向になっている。投資家はデータセンターのcapex株から資金を引き揚げている」と述べている。


「マグニフィセント・セブン」は今年はアンダーパフォーム

AIへの重投資が響き、ビッグテック株のパフォーマンスは2026年に大きく崩れている。Bloombergのマグニフィセント・セブン指数の年初来騰落率は**わずか+6.5%**と、S&P 500の+11%やNasdaq 100の+15%を大幅に下回る。7銘柄のうち市場平均を上回っているのはAppleとNvidiaのみだ。

ただし、バリュエーションの観点では割安感が生まれている。同指数のPERは予想ベースで24倍を下回り、10年平均の約29倍や1年前の33倍から大きく低下した。MicrosoftとAlphabetはいずれも長期平均を下回る水準で取引されており、AmazonのPERは20倍を割り込み、2008年以来の低水準に近い。

Bloomberg Intelligenceによれば、マグニフィセント・セブンの今年の利益成長率は**約34%**と見込まれており、S&P 500全体の29%を上回る。2027年の利益成長率の市場コンセンサスは27%で、2カ月前の19%未満から急上昇している。


市場が本当に恐れているシナリオ

Bokeh Capital PartnersのCIOであるKim Forrestはこう指摘する。

「AIインフラ投資を主導する大手4社は今のところ反省していない。彼らは支出計画を続けるつもりで、それが投資家を不安にさせているかもしれない。」

BNY WealthのシニアアナリストKevin Sheaは「フリーキャッシュフロー(FCF)の下方修正がまた起きれば、AI支出の持続性への懸念が高まり、ネオクラウドなど市場全体に波及する。逆にFCFが上方修正されれば、市場は最悪期を脱したと安堵するだろう」と述べており、今週の決算発表がその分岐点になるとの見方を示している。

Pivotal AdvisorsのCEO、Tiffany McGheeはBloomberg TVでこう語っている。

「ハードルはさらに高く設定されており、企業が期待に応えても市場はがっかりする。それを大きく超えることを求めている。」

本記事が描く「好決算なのに売られる」という構造は、Metaだけでなくビッグテック全体の問題だ。タイトルではMetaを前面に出す記事も多いが、今回の元記事が論じているのは業界横断的な問題であり、AIインフラ投資の回収見通しが立つまで、この市場の緊張は続くと見られる。


詳細はBig Tech's strong earnings may not be enough to ease fears over AI spendingを参照していただきたい。