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スポーツグッズEC大手FanaticsがOpenAIでコーデ提案機能を構築 — 3万点のMLB商品でエンゲージメント10%向上、MVPを同週中に承認

10月26日、OpenAIが「How Fanatics and OpenAI streamline the fan experience」と題した記事を公開した。スポーツグッズECのFanaticsがOpenAIと協力し、AIを活用したコーディネート提案機能「Shop the Look」を構築・展開した経緯について詳しく紹介されている。

10月26日、OpenAIが「How Fanatics and OpenAI streamline the fan experience」と題した記事を公開した。スポーツグッズECのFanaticsがOpenAIと協力し、AIを活用したコーディネート提案機能「Shop the Look」を構築・展開した経緯について詳しく紹介されている。


Fanaticsが抱えていた課題:巨大カタログと季節性、チームロイヤルティ

FanaticsはNFL・NBA・MLB・NHLなど主要スポーツの公式オンラインストアを運営するグローバルなデジタルスポーツプラットフォームだ。スポーツECには一般的なアパレルECとは異なる固有の難しさがある。

まずカタログ規模だ。MLBだけでも数万点に及ぶ商品が存在し、チームごと・選手ごと・シーズンごとに入れ替わる。新しいユニフォームが発売されれば関連グッズも一斉に更新され、プレーオフ進出チームの商品は急激に需要が高まる。さらにスポーツファンには強いチームロイヤルティがある。「好きなチームのカラーで全身を揃えたい」という購買動機は一般ファッションとは異なり、コーディネートの軸がチームアイデンティティに直結している。こうした構造的な複雑さを人手のレコメンドロジックで捌き続けることには限界があった。この課題を解決するために、FanaticsはOpenAIとの協業に踏み切った。


30,000点のMLB商品でエンゲージメント10%向上

今回の取り組みで最も注目すべき数字は、約30,000点のMLB商品に対してOpenAI版「Shop the Look」をテストした結果、従来比でエンゲージメントが10%向上したという点だ。

この数字が示すのは、単なるレコメンドエンジンの刷新ではない。「ジャージを買いに来たファンに、同じチームカラーで揃えられる帽子やパンツも提案する」というコーディネート型UXが、実際に購買行動を変えたという実証だ。


仕組み:何がレコメンドを動かしているか

OpenAIのモデルは、商品データ・チーム情報・在庫情報を統合してコーディネートを組み立てる。在庫切れ商品は提案しない設計で、カタログの変動に合わせて毎日ルックが更新される。

Fanaticsのマーチャンダイジングルール(商品陳列・販促のビジネスルール)がフィルタとして機能し、チームや着用スタイルとの整合性を担保している。単純な類似商品の提案ではなく、ビジネスロジックとAIの推論を組み合わせた構成だ。

現在、Shop the LookはFanatics.com、NFL・NBA・MLB・NHLの公式オンラインストアを含むFanaticsネットワーク上の複数サイトで稼働している。


開発速度:最初の50件を24時間以内に構築

エンジニアリング観点でこの事例が面白いのは、開発スピードだ。

Codex(OpenAIのコード生成モデル)を使い、OpenAIとFanaticsのエンジニアチームは以下を短期間で実装した:

  • 商品・カタログデータのエンリッチメントツール
  • 相性の良い商品を探索するツール
  • レコメンドの評価ツール
  • 各商品のルック生成ツール

50商品に対するテストは1日以内に完了し、Fanaticsがレビューとフィードバックを実施。数日間のイテレーションを経て、同週中にMVP(最小限の実用製品)が承認された。

通常、ECサイトの新機能をスコープ定義からMVP承認まで数日で回すのは稀だ。Codexによるツール実装の加速がその前提にある。


OpenAIツール群の横断活用

Fanaticsは今回のShop the Look以外にも、ChatGPT EnterpriseとCodexをFanatics Corporate・Commerce・Collectibles・Betting and Gamingの各部門で横断的に活用している。エンジニアリング側の実装加速にCodexを、業務側のオペレーションにChatGPT Enterpriseを活用する構図が元記事から読み取れる。Codexを使った高速プロトタイピング → 実データでの検証 → 同週中の本番承認というサイクルが、大規模ECの文脈で実際に機能したことを示しており、エンジニアチームが短サイクルでビジネス側と反復できた点は、AI活用の組織的な側面としても参考になる事例だ。

詳細はHow Fanatics and OpenAI streamline the fan experienceを参照していただきたい。