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GoogleのロボットAI「Gemini Robotics ER 2」がCloud APIで公開 — モーメント検出91.3%精度・既存モデル比4倍高速で、工場ロボットの「頭脳」として使えるように

10月27日、Google Cloudが「Gemini Robotics Embodied Reasoning 2 is now available on Google Cloud」と題した記事を公開した。「考える部分(高レベル推論)」と「動く部分(低レベル制御)」の統合という物理AI最大の課題に対し、Gemini Robotics ER 2はクラウドAPIから呼び出せる「ロボットの頭脳」として実用段階に入った。現場映像をリアルタイムに解釈して自己修正し、APIを持たないレガシー計器まで読み取れる点が、製造・研究現場への導入を現実的なものにしている。

10月27日、Google Cloudが「Gemini Robotics Embodied Reasoning 2 is now available on Google Cloud」と題した記事を公開した。「考える部分(高レベル推論)」と「動く部分(低レベル制御)」の統合という物理AI最大の課題に対し、Gemini Robotics ER 2はクラウドAPIから呼び出せる「ロボットの頭脳」として実用段階に入った。現場映像をリアルタイムに解釈して自己修正し、APIを持たないレガシー計器まで読み取れる点が、製造・研究現場への導入を現実的なものにしている。


「ロボットの頭脳」がGoogle Cloudで使えるようになった

物理AIと呼ばれる分野——ロボットが実世界で自律的に判断・行動するための技術——は、ここ1〜2年で急速に具体化しつつある。その中心にある課題は、「考える部分(高レベル推論)」と「動く部分(低レベル制御)」をいかに統合するかだ。

Gemini Robotics ER 2(Embodied Reasoning 2)は、この「考える部分」を担うモデルだ。Google DeepMindが開発し、今回Google Cloudのプラットフォーム(Model Garden内)からエンタープライズ向けにパブリックプレビューとして提供開始された。固定アームから人型ロボット・四足歩行ロボットまで、あらゆる形態のロボットに対応する設計で、自然言語での対話、長時間にわたるタスク計画、マルチロボット協調などを担う。


特に注目すべき機能:動画からのリアルタイム自己修正

エンジニア視点で最も面白いのが、タスクの進捗検証と自己修正の仕組みだ。

工場や実験室の現場では、ロボットが「この工程は本当に成功したか」を確認してから次に進む必要がある。Gemini Robotics ER 2は連続する映像フィードをリアルタイムに推論し、以下を実現する:

  • タスク進捗の分類:二値(成功/失敗)、カテゴリ別、連続スコアでの判定。ワークフロー全体を最初からやり直さず、失敗したステップだけを再試行できる。
  • クリティカルな瞬間(モーメント)の特定:「液体の注入を止めるべき瞬間」など、映像中の重要フレームを精度91.3%、平均絶対フレーム距離0.96秒で検出。この数値は元記事が参照するベンチマーク上での比較結果であり、比較対象の大規模モデル群に対して4倍の実行速度、かつコンピュート負荷は大幅に低いとされている。
  • 計器の読み取り:円形ダイヤル、サイトグラス、デジタルディスプレイ、リニアスケール、液体温度計など10種類以上の計器カテゴリを視覚入力から直接読み取り・解釈できる。APIを持たないレガシー機器への対応が可能になる点は実用的だ。

なお、91.3%という数値はモーメント検出タスクにおける精度であり、計器読み取り全般の精度を指すものではない点に注意が必要だ。


「ツールとして」低レベルAPIを呼び出すアーキテクチャ

開発者向けの設計として、VLA(Vision-Language-Action:視覚・言語・行動を統合したモデル)やナビゲーションAPIをツールとして宣言し、Gemini Robotics ER 2がオーケストレーター(司令塔)として呼び出す構成を取る。映像・音声・テキストのマルチモーダルストリームを直接モデルに入力できる。

自然言語の指示でロボットに動作をさせながら、ロボット側が自分のアプローチを言葉で説明することも可能。オペレーターは技術的な専門用語なしに途中で指示を変更できる。


Google Cloud上でのエンドツーエンド構成

シミュレーションから本番デプロイまでの一連のフローをGoogle Cloudで完結できる構成が整備されている:

  • シミュレーション:MuJoCo-WarpやNVIDIA Isaac Simでロボット挙動をハードウェアに触れる前に検証。マルチモーダルモデルで合成シナリオを生成し、作業セル画像の自動ラベリングも行える。
  • トレーニング:ER 2の空間ポインティング・モーメント検出・進捗分類を使ってデモンストレーション映像をCloud StorageやBigQueryでキュレーション。カスタムVLAモデルの訓練はGKE(Google Kubernetes Engine:コンテナ化されたワークロードを管理するマネージドサービス)またはCluster Director(大規模GPUクラスタの管理・スケジューリング基盤)で実施。
  • 本番運用:エンタープライズIAMとセキュリティ制御付きでワークフローをデプロイ。SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:ロボットが自己位置を推定しながら環境地図を同時生成する技術)や経路計画など遅延に敏感なローカル処理はGoogle Distributed Cloudで工場フロアにオフロード。フリートのテレメトリはBigQueryに集約。

実際の導入事例

いくつかの企業・研究機関がすでにER 2を活用している。

Boston DynamicsはSpotによる巡回検査にER 2を組み合わせ、瞬間的な外観確認にとどまらず、映像全体へのAIモデル適用を可能にしたと述べている。VP兼GM Marco da Silvaは「毎月、指数関数的な成長を見ている」とコメントした。

A*STAR IMRE(シンガポール材料研究機関)は材料研究の自動化に活用。「APIを持たないレガシーマイクロ波反応器のタッチスクリーンを読み取る」「遠心分離機へのサンプルロード」「多忙な実験室内でのサンプル搬送」といった作業に対応させており、最終的に合成から分離まで一気通貫で実験キャンペーンを実行できる「セルフドライビングラボ」を目指している。


利用開始

Gemini Robotics ER 2は現在、Gemini platformのModel Gardenからパブリックプレビューで利用可能だ。

「考える」クラウドと「動く」エッジを組み合わせたエンドツーエンドの構成が一通り整ったことで、物理AI導入の入り口としてGemini Robotics ER 2が選ばれやすい状況になったといえる。ロボットシステム開発を検討している開発者・エンジニアにとって、まず試す価値のある選択肢だ。

詳細はGemini Robotics Embodied Reasoning 2 is now available on Google Cloudを参照していただきたい。