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Formation Bioが6億ドルのAI創薬ファンドを設立 — 「新薬を作る」ではなく「眠っている候補薬の開発」をAIで加速する新戦略

10月28日、TechStartupsが「Formation Bio launches $600M fund to accelerate AI-powered drug development」と題した記事を公開した。新薬開発の成功率は依然として低く、Phase 2を通過する候補薬は約30%に過ぎない——そうした製薬業界の構造的な非効率に、AIと専用資本の組み合わせで切り込もうとするFormation Bioが6億ドル規模の新ファンドを立ち上げた。

10月28日、TechStartupsが「Formation Bio launches $600M fund to accelerate AI-powered drug development」と題した記事を公開した。新薬開発の成功率は依然として低く、Phase 2を通過する候補薬は約30%に過ぎない——そうした製薬業界の構造的な非効率に、AIと専用資本の組み合わせで切り込もうとするFormation Bioが6億ドル規模の新ファンドを立ち上げた。


「創薬」ではなく「開発」をAIで効率化する

AI×バイオ領域への大型投資が続いている。Formation Bioが設立したのは「Formation Bio Drug Development Accelerator Fund」と呼ばれるファンドで、研究財団、機関投資家、病院、慈善団体から6億ドルの資本コミットメントを確保した。

Formation Bioのアプローチで特徴的なのは、新薬の「発見」ではなく「開発プロセス」にAIを投入している点だ。AIバイオ界隈では新分子の探索にAIを使う事例が注目されがちだが、Formation Bioが狙うのはその後段——臨床試験、患者リクルート、規制対応、実行コストといった「開発ボトルネック」の解消である。

具体的には、製薬企業や中小バイオ企業が保有するPhase 1・Phase 2段階の既存薬プログラムを買収・ライセンスし、自社のAI技術と臨床インフラを使って開発を前進させる。今後3〜5年で10〜15本のプログラムを取得する計画だ。

なぜ開発段階の既存薬なのか。創薬には「科学的に有望でも、財務・戦略的事情で大手の優先順位から外れてしまう候補が多数存在する」という構造的問題がある。Formation Bioはそこに目をつけている。


ファンドの構造:薬ごとに独立したSPVを設ける

資金構造も従来型とは異なる。各薬プログラムを個別の法人(Special Purpose Vehicle)に分離し、それぞれに専用資本を充てる仕組みだ。

Formation Bio自身もLPと並んでファンドに出資し、全プログラムの科学・臨床・運用サポートを担う。CEOのBenjamin Liu氏は次のように述べている。

「このファンドにより、LPは個別の創薬資産という重要な新興投資カテゴリーに、資本効率の高い形でアクセスできる」

この構造のメリットは二つある。投資家はバイオ企業全体ではなく特定の薬資産に賭けられること、Formation Bio側は自社バランスシートに頼らず複数プログラムを並行して走らせられることだ。各プログラムは取得から2〜4年以内に重要な臨床マイルストーンに到達することを目標としている。


同じ問題に異なるアプローチで挑むAnthropic

※以下の段落はTechStartups記事に含まれる内容を紹介している。Mithril Medicineの買収に関する詳細は元記事の記述に基づく。

Formation Bioの発表と前後して、AnthropicがAI創薬スタートアップのMithril Medicineを買収したことが明らかになった(買収自体は7月に完了)。Mithril Medicineは筋ジストロフィーの希少型治療薬を開発する一人企業で、創業者はClaudeを使って11の外部研究所の実験を統括し、18カ月以内にマウスでの有望な結果を出したという。

両社は同じ「製薬開発の非効率」という問題に、異なる方向から取り組んでいる。

  • Anthropic:AIで小規模チームが少ないリソースで新薬候補を発見・開発できるか検証
  • Formation Bio:AI+専用資本+共有インフラで既存の薬候補の開発を加速

どちらも「新薬上市まで数年・数千億円」という従来の製薬経済学への挑戦という点では一致している。


留意点

Formation Bioの戦略には合理性があるが、AIが臨床試験の科学的不確実性を消せるわけではない。初期結果が有望でも多くの候補は失敗する。Formation Bioは自社のAIアプローチが臨床成功率を一貫して改善できるかどうか、まだ実証していない段階だ。

また、Formation Bioはすでに2024年にSanofiおよびOpenAIと提携し、臨床試験の患者リクルートを改善するシステム「Muse」を開発するなどの実績を持つ。今回のファンドはその延長線上にある大きな資本実験と位置づけられる。


詳細はFormation Bio launches $600M fund to accelerate AI-powered drug developmentを参照していただきたい。